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超訳 河口慧海「チベット旅行記」  作者: Penda
第一章 出国からラサまで
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密事露顕の危機


 慧海はまた石けんを求めに、ダージリンで知り合ったツァ・ルンバの店へ赴いた。すると主人が気付いたらしく「あなたは私を御存知ではありませんか」と聞く。慧海が「知っているとも」と笑って答えると、驚いて、店の中へと招いてくれた。

 中はこざっぱりとした立派な商家で、はしご段を上がって本堂の部屋に着いた。そこにペートンという内儀さんがいて、主人が笑いながら「お前はこの方を知っているか」と尋ねた。が、やはり知らないという。「ダージリンでお前に差し込みが起こったときに、薬をもらって助かっただろう」と言うと、気付いた様子で、「まさかここでお目にかかろうとは思わなかった。うれしい事でございます」と再会を喜んだ。


 それから夫婦は慧海に、どうやってチベットに入ったのかと口をそろえて尋ねた。慧海が西北原から来たと説明しても、「西北原だって間道には兵隊がいるから通り抜けることはできない。空を飛んで来たとしか思えない」と驚いていた。

 慧海は、もしここで対応を誤り、日本人ということが露見すれば、恩人の大蔵大臣やセラ大に多大な災いをもたらす危機一髪の状況だと察した。ここは相手より先に行動して、危険を減らすことに尽きる。

 慧海は先手を取ってこう告げた。「お前たち二人で、ジャパン・ラマがこの国に来ているのを発見したと政府に言えばいい。そうすればお前たちは銭もうけができるだろう」

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