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超訳 河口慧海「チベット旅行記」  作者: Penda
第一章 出国からラサまで
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雪中旅行


 チベットとネパール国境の雪山の頂上に座り、四方を眺めるのは愉快だった。しかしこれからどこへ向かったらよいのか。さっぱり見当が付かなかった。

 どのみち北に行くのではあるが、慧海(えかい)はマナサルワ湖に近いルートを考えながら磁石をかざし、西北の道を取った。

 登りは日光のさす側だったから雪がない道もあるほどだったが、下りは雪の深いこと。登りと違い、下りは30キロの荷物も苦にならない。だが、踏み込むと雪で足が40センチは埋まる。ストックで舵取りをするものの、雪の下の岩に足をとられることもあって閉口した。

 4キロほど下るともう雪もなくなり、角張った石が転がるガレ場になった。チベット靴が破れ、足のまめがつぶれて出血し、慧海は痛さにうめいた。


 8キロほど進むと雪解け水のつくった池が二つ並んで、そこに誠に美しい鴨が遊んでいたので、池の端に荷を下ろして眺めた。足は痛く腰は棒のようになっているが、景色がつらさを忘れさせてくれた。せっかくなので慧海は記念に、長方形の池に「慧海池」、丸い方に慧海の別名である「仁広池」と名付けた。

 またしばらく西北に下ると池があり、形にちなんで「瓢池(ひさごいけ)」と名付けておいた。さらに下ると向こうの雪山にテントが見えた。

 遊牧民でもいるのだろうか。このまま行けば、道のないところから人が現れたと怪しまれるかもしれない。慧海はそう考えたが、他の道は見つからない。テントの横には脇道があるようにも見える。さてどうしようかと座禅をして考えることにして集中した。


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