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はぐれゴブリン

()()()

他者からの攻撃や環境変化などにより定住地や、自身の縄張りを追われた群れや個体が、新たな定住地を探して放浪している状態を指す。


リゼルがゴブリンを()()()と断定した理由は毒が()()()()()()()ためだ。


この毒は現地採取によって調合(コンパウンド)されたもので、この地に生きる生物であれば大なり小なり耐性があるはずである。しかも、味方誤爆(フレンドリーファイア)のリスクからそこまで強力になるようには調合(コンパウンド)していない。


にも関わらず、あの威力はおかしい。


以上の事からリゼルは()()()と断定した。


はぐれには特徴がある。

より好戦的で狂暴化するのだ。

新たな定住地を勝ち取らないと先はないことが分かっているからなのか。


「ルーク!ルシア!()()()だ!気をつけろ!」


「はいっ!」


「はいです!」


―――もう一つ、はぐれの大きな特徴としてあるのが、相手が「群れ」の場合、「群れ」全体を相手にしなければならない、ということだ。


通常なら巣の奥に居るボスとも戦闘になる、ということになる。


毒付着短剣(ポイズンタバルジン)のおかげでルークは3匹のゴブリンを圧倒していた。


元々の身体能力(フィジカル)は目を見張るものがあるルークだが、短剣(ダガー)という、冒険者、対モンスターにはまるで向いていない職業判定(ギフト)()()()()()()()事で、成果を出せずにいる。


通常なら先駆けを処理できればそれで戦闘は終わるのだが、はぐれ相手に、そうは行かず、次々とゴブリンがルークに襲いかかっていた。


ルークは驚異の集中を見せ、常に複数のゴブリン達を相手にしていた。

それ故後衛に迫る影を感知できなかった。


ホブゴブリンの強襲である。


後方茂みから後衛を狙って襲いかかってきた。


前衛を複数のゴブリンで引き付け、後衛にホブゴブリンが強襲。

知能の高い彼らならではの連携である。


「下がってくださいです!」


ルシアがリゼル達の前に素早く出る。


「ルシア!水鉄砲(ハイドロポンプ)だ!」


「はいです!」


ルシアはリゼルの指示に一瞬戸惑いながらも、素直に受け入れた。


この状況で水鉄砲(ハイドロポンプ)

ルシアの疑問は一瞬の戸惑いに現れたが、目の前に迫る脅威に迷う暇もなく、水鉄砲(ハイドロポンプ)をホブゴブリンの顔目掛けて放った。


リゼルは放たれた水鉄砲(ハイドロポンプ)強苦剤(CACAO95%)を投げ入れた。


強苦剤(CACAO95%)を入れていた容器の蓋は開けられ、程なく強苦剤(CACAO95%)水鉄砲(ハイドロポンプ)は混ざり合った。


透明で透き通った水球は、深い緑色に変色して、ホブゴブリンの顔に命中した。


「グゲギャギャ!!」


ダメージは無いがホブゴブリンの視覚と嗅覚を一時的に無効化する事に成功した。


ホブゴブリンはリゼル達を見失い、キョロキョロと辺りを探しているようだ。


明らかにホブゴブリンは目と鼻の先にいるリゼル達を認識出来ていない。


その様子を見たリゼルは呟いた。


「予想通りだ!」













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