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解放者

毎日のヨーグルト効果で快便

 「う〜〜ん……」

 寝ぼけ眼を擦りながら謎の空間で目覚めた。


 徐々に意識がはっきりしていき、この空間の全容が明らかのなった。


 白ってな、何百色あんねん。とか気にならないくらいこの空間は1色の白に統一されていた。

 周りが白だからこそ際立つ左右に表示されている①、②の数字。


 ①の下には水面に映像を映し出したかの様に波打っており、その映像からは俺が漏らした映像がダイジェストで流れている。


 逆に②の方を見ると、そこにも①と同様に映像が映し出されていた。

 しかし、映像は①とは違い俺が天瀬(あまがせ)さんに『うんこ』っと言っているシーンが流れていた。


 なるほど……まず間違い無いのはこれは夢ではない。

 夢の中で夢と気づく事があっても、現実世界を夢と思うことは無い。思っているとしたらそれはただの現実逃避だ。


 今の俺の精神状態は間違いなく後者。

 そこから導かれる答えは……


 天才数学者もびっくりな計算式をBGMと共に脳内で再生する。


【2+5=  -1×3=  4+8-1=  -5+(-7)×2 ……】


 俺の計算式の途中で何処からともかく声が聞こえてきた。



 「まず初めに、仮解放(・・)おめでとう」



 誰か知らんが何言ってんだ?

 この2つの映像を見て何が開放(・・)おめでとうだ。口の開放も、尻の開放もどちらも事故ってるだろ。全然めでたくないわ。


 俺の思考を読んだのか謎の声は続けた。


 「いや、そっちの開放では無く能力が解放されたんじゃよ。①と②があるじゃろ。お主は同じ時間を2度体験した。その結果が①と②じゃ。好きな方を選んで明日に進むとよい」


 まてまてまてまて、落ち着いて状況を整理しよう。俺の脳にはまだ天才数学者の余韻が残っている。


 能力とか何とか言ってるが、この状況から察するにこれが俺の能力なのだろう。

 そして能力が解放されたと言ってるが、俺は能力を解放した覚えがない。中学の時は無駄に解放しまくってたが……そもそも能力を持ってる人他にも居るんか?


 俺の疑問に答えるように謎の声さんは再び説明しだした。


 「さっきも言ったがここがお主の能力じゃ。ちっとばかし長くなるがいいかの?」


 「いや、短めで頼む」


 対話する対象が見えないので、取り敢えず適当に声を出してみた。


 「せっかちじゃのう。それとわざわざ声に出さなくてもよい」


 そこで謎の声さんは言葉を切り、改めて説明し出した。



 「さっきも言ったが、ここはお主の能力下じゃ。お主は今後どちらか一方の結果を選ぶことが出来る。勿論、1回目の結果で満足したなら2回目はする必要ない。ただ、どちらか一方は必ず選ばなくてはならんぞ。なに、難しく考えずゲームを思い浮かべれば良い。①のセーブと②のセーブ。選ばれたセーブを①と②に上書きする。飽くまでバックアップじゃからの」


 ここで謎の声は1度言葉を切り、何かを啜って再び喋り出した。

 こいつ呑気に何か飲んでるんか?



 「して、能力の発動条件じゃがそれは睡眠じゃ。寝ると毎回この空間に飛ばされる。1回目はちとワシの都合で止める前に②に行ってしもての……干渉出来なくなったんじゃ。そこはまぁー置いておいて、この能力も万能ではないのじゃ」



 ふむふむ成程、これで上司とのすれ違い通信も天瀬(あまがせ)さんとの違和感も説明がつく。

 俺は鍵を持っていたが、天瀬さんはそもそも鍵穴が無かったのだ。俺は1人鍵を振り回してただけか……

 鍵を振り回したら敵は倒せるかもしれないが、迷宮は脱出出来ない。そもそも迷宮がないのだから。



 「もし①で9時に起き、13時に昼寝をしたとするじゃろ? そしたらこの空間に1度移動する。そこで①を選べばただの昼寝ですむが、もし②を選んで21時に睡眠したとしよう。②の結果が受け入れられず①を選んだ場合、時間軸は②の方が進んでいる。起床する結果は②に引っ張られるのじゃ。13時に昼寝して、起きたら次の日の5時とかになってしまうのじゃ。お主の能力は飽くまで『時の選択』じゃ。まぁーお主の能力を表に現したから確認せい。ただ、ワシとお主で空間に差があるからの。ズレていたらごめんじゃぞ」



  9時   13時   21時   5時

①―起床―――昼寝……………………起床

②―起床――――――――就寝………起床



 俺の能力の大筋は大体理解出来た。

 普通に考えてこれ良くね? が、第1印象だ。貰えるものは貰っておこう。しかし何故俺が解放者みたいなのになったんだ?


 「それは簡単じゃ。極度の緊張状態からその緊張を一気に解放して無になることじゃ。するとどうなるか。目の前が白く点滅した状態になるはずじゃ。その状態で何かを願うのじゃ。するとその願いに沿った能力が授けられる」


 俺がエロゲ主人公とか何とか言ってた現象か!! あいつらも解放者の資格があったのか。だがあいつらは白色フラッシュ時、願いなんて無視して『うっ!!』しか言わん。

 『うっ!!』に沿った能力が解放されてもたかが知れてるだろう。

 あんな奴らずっと『うっ!!』『うっ!!』言っとけ!!

 絶対に推しヒロインのテキストはこれ以上進めん!! 貴様は必ず『うっ!!』するからだ!!


 俺の目からは白色フラッシュの後遺症か、涙が溜まっていた。



 「取り込み中悪いんじゃが、話を進めるぞ。そもそもお主が思ってるほど解放者になる条件は簡単では無い。現に数人しか居らんからの。そんなに気にしなくてもええわい。でもまぁー解放者の能力に気づけるのもまた解放者じゃ。それより初めに仮解放おめでとうと言ったが、お主①では解放者じゃが、②のお主は解放者ではない。『逝く物違いだがこちらの方が100倍気持ちいい』に沿った能力は無かったみたいじゃな」


 俺はうんこ中に何を言っとるんや。そんなことより


 ①のお漏らしうんこマン+解放者特典か

 ②のお言葉うんこマン+解放者特典なしか


 どっちもうんこマンだしどっちでもいいか。

 大体聞きたい事は聞けたしそろそろ行くか。俺は若干躊躇いながらも①の映像に重なった。












 「ふぅ――。人の解放者を盗み見るとか質が悪いの―」


 「あら? 気づいてたの? あんたのジジ臭い喋りの方が余っ程質が悪くてよ。所々爺設定抜けてたし」


 お互いの姿形(すがたかたち)は全く見えない。ただ、この空間にお互いが存在している事ははっきり認識している。


 「今練習中なんじゃよ。所でワシの解放者をどう思う?」


 「ふん! あなたの解放者はただの雑魚ね。精々私の解放者の足を引っ張らないことね。先の戦いでは奇しくも敗れてしまったけど、同じ失敗は二度と繰り返さないわ! 空間の神もここまでね」


 「そうかのう。お主もそのよく分からん設定やめた方がいいぞ」



 これを最後にこの場所に時と選択が孵った。

読んで頂きありがとうございます。

ゆっくりいきましょー

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