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答えはう〇こに隠されている

土日は外食。

今日の晩御飯は炊き込みご飯と味噌汁と鯖の塩焼き

魚以外朝に作ってきたよ。

 鳥のさえずり、カーテンの隙間から差し込む日差し、この段階で多くの人は胸騒ぎを覚える。


 そして次に取る行動は時刻の確認だ。


 現代ならスマホで時刻を確認する事が多いだろう。俺も例に漏れずスマホで時刻を確認した。


 無情にもLEDライトは俺の望んでいない数字を(かたど)っている。

 その数字は()しくも昨日と同じ数字。俺は昨日の失敗を忘れたのか? あんな事忘れるわけが無い。


 では何故今日もギリギリに目覚めたのか? そんな事はどうでもいい。2連チャンで休む訳には行かない。普段通りなら別に2回連続で休もうが関係ないが今日は違う。


 今日休むと間違いなく昨日の事を引き摺っていると勘違いされる。何かの間違えで天瀬(あまがせ)さんが上手いこと説明してくれている事にかけるのもありだが、彼女の性格的に望み薄だ。


 ここは何も考えずに最効率の行動を取ろう。


 まずは昨日使う予定だった会議の資料。もう必要ないかもしれないが一応持っていこう。

 後はお腹の調子も確認してと、ヨシッ!! 今の所は問題無し! 出発!!



 朝の通勤電車と言う物は、まるで決められているかの様に顔ぶれが一緒だ。そんな所に昨日今日でノコノコ現れていいのか?


 答えは良い!!


 俺は気絶していた設定だ。漏らした事も気づいていない設定で行けば何も問題無いのだ。


 では何故こんな事をダラダラ説明しているかと言うと、今非常に漏れそうなのだ。


 昨日の俺なら大事な会議を優先して電車に飛び乗っただろう。だが今日は違う。

 2連続遅刻より、2連続うんこまんを絶対に避けるべきなのだ。


 と言う事で俺は遅刻覚悟でトイレの列に駆け込んだ。


 混み具合から待ち時間はおよそ10分。昨日の絶望的な目標と違い、今日の目標は手が届く。これなら行ける。負けるな外肛門括約筋! 頑張れ外肛門括約筋!


 俺の順番が回ってきたタイミングで、駅ホームのアナウンスが流れた。


 『只今、〇〇駅を走る電車がお客様と接触したと連絡を受け、〇〇線の電車は運転を見合わせております。急ぎのお客様は振替輸送をご利用ください。繰り返します……』


 10分前の俺を褒めてやりたい。


 俺は駅のアナウンスをBGMにし、便器の中に全てを解放した。

 又しても成人向けゲーム。もういいや、エロゲーの主人公みたく俺の眼球に謎の白色フラッシュが現れた。『逝く物違いだがこちらの方が100倍気持ちいい』


 暫く余韻に浸っていると会社からメールが届いた。


 『人身事故があったが会社に間に合うか?』


 流石に間に合わない。でもまぁー昨日と違って多少の遅れで会社には着くかな。

 その旨を送信してっと。そしたらすぐに返信があり『今日の会議までには必ず来い』とあった。


 あれ? 昨日の会議今日に変更したのかな? それならそうと早めに伝えて欲しいものだ。

 取り敢えず今日は気分がいい。優雅に会社に向かうとするか。



 会社には数十分程度の遅れで出社する事が出来た。どんな顔してデスクに着こうかと思ったが、隣の席の天瀬(あまがせ)さんはまだ来ていなかった。

 上司も俺の事を変に意識する訳もなく、いつも通り作業している。


 と、思っていたら上司が声をかけてきた。

 きた! うんこか?


 「あ――皆月、今日の会議だけど先方が急なトラブルで来れなくなった。来週の何処かになると思うからまた決まったら連絡する」


 「またっすか?」


 「また?」


 「ん?」


 「ん?」


 ダメだこりゃ。上司とすれ違い通信している。全然意味が違うが……


 「昨日が先方と会議する予定だったじゃないですか。自分休んでしまいましたが……」


 「何寝ぼけた事言ってんだ? 昨日お前遅くまで資料作ってただろ。んな事より時間出来たんだ、資料しっかり積めとけよ」


 どう言う事だ!? どうなっている!? ダメだ、仕事が手につかない。

 そうか! そうだ! 答えはうんこに隠されている。


 俺が答えに辿り着いたと同時に、オフィスの扉から3時間30分程遅れて天瀬(あまがせ)さんが出社してきた。何故か相当落ち込んでいる様に見える。そんなに遅刻したのが嫌だったのかな?


 それより天瀬さんの出社タイミングが神がかってる。

 答えのキーを持ってる俺と、答えの鍵穴を持ってる天瀬さん。

 2人の鍵が揃った時、この迷宮は開かれる。


 俺は勢いよく立ち上がり、天瀬さんに叫んだ。




 「天瀬さん!! うんこ」




 ……やっちまった。何を先走っているんだ! 一事は映画のクライマックスかと思っていた時もあった。

 そのクライマックスは俺だけなのであって天瀬さんはまだ序章。いや、それ以前に登場すらしていないかもしれない。

 だったらどうするか? そんなの決まっている。この俺のいる土俵に引き上げれば良いだけだ!


 俺が同じ土俵に立たせるため、次の言葉を発声しようとしたが、天瀬さんが先手を打ってきた。


 「皆月さん。独特な挨拶ですね! 丁度甥っ子も今年5歳なんですが、皆月さんと同じ事を言ってますよ。私に報告しなくてもいいのでどうぞ勝手に行ってください」


 違う、違うんだ! 聞いてくれ、聞いてくれ天瀬さん!


 甥っ子さんがうんこうんこ言ってるかもしれないが、俺が言ってるうんこは甥っ子さんと種類が違うんだ!

 決して固形やシャバの種類の話では無い。それよりもっと高度な話なのだ! 

何度も言う。硬度では無く高度な話だ。


 今日はダメだ。この不利な状況で戦う訳にはいかない。

 ここは今日1日準備して明日の戦に備えるとしよう。


 その日を大人しく過ごした俺は、明日の迷宮脱出作戦に備えて眠りにつくのだった。

読んで頂きありがとうございます。

のんびり酒でも飲みながら行きます。

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