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1日を2度体験出来る男の人生譚  作者: うんも


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16/22

天瀬海美 ー始ー

ー始ー

ー続ー

ー終ー

と続きますm(*_ _)m

 私は引っ込み思案で優柔不断だった。

 幼稚園の頃、かくれんぼで遊ぶか鬼ごっこで遊ぶかすら直ぐに決められなかった。

 時間を貰って自分の感情とゆっくり話し合ったら決めることは出来る。ただ、周りの友達達は直ぐにかくれんぼ組と鬼ごっこ組に別れて行く。

 残りは私のみ。みんなの視線が私に集まる。そんな直ぐに決める事なんて出来ない。

 そしてみんな待ちくたびれたのか私を除いて遊び出す。

 みんなの視線が私から外れると緊張していた糸が切れたのか目の前が白くフラッシュする。これが私の日常だった。


 そんなある日、幼稚園で演劇会をする事になった。演目を『浦島太郎』か『桃太郎』で多数決を取る事になっていた。

 先生が浦島太郎がいい人。と言うと、子供達が手を挙げる。同じく桃太郎でも子供達が手を挙げる。

 私はそんな直ぐに決める事が出来ずどちらにも手を挙げることが出来なかった。別に手を挙げれなかった事はどうでもいい。私の1票が関係ない程の差があればいいのだから。


 しかしこの時は丁度10票ずつ別れてしまった。


 私のクラスは21人だった。1票足りない……そう私の1票が。普通なら誰が手を挙げてないかなんて分からない。しかし普段の行いが、私が手を挙げていないと結論付けてしまった。


 「海美ちゃんはどっちにするの?」


 みんなの視線が私に集まる。私の1票でどちらかに決定してしまう。

 たった数秒の差。みんなと同じタイミングで手を挙げていれば誰が悪いとはならなかっただろう。

 しかし今回の場合、私が数秒遅れただけで私が決めた様に見えてしまう。浦島太郎組と桃太郎組からの熱い視線。

 多数決とか言いながらたった数秒遅れるだけで多数決で無くなる。どちらかに手を挙げても私1人が半分の子供に恨まれる。私と同じ票を持った10人は恨まれず私1人だけが。


 こんなの可笑しい。


 たった数秒で何で私だけ……何でみんなもっと考えないの? 可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい。


 もういいや。


 今までに無いぐらい目の前が白くフラッシュしている。まるで大勢の人に写真を撮られているかの様に。

 何でみんなもっと考えないのよ……みんなが変えられないなら私が……そして私は叫んだ。


 『時間が足りないのよ!!』


 叫んだと同時に私は気を失った。







 




 目覚めた時、私はよく分からない場所にいた。

 浮遊感も落下感もはたまた体がどこかに接触している感覚すらない。まるで星や惑星がない宇宙空間にいる感覚だった。


 そんな私の元に白いモヤみたいな物が漂い出した。


 「目覚めたんだなーー?」


 声が聞こえる。目の前にある白いモヤは喋れるはずがないと頭では分かっていても、その白いモヤが喋っていると錯覚させる。


 「ここ……どこなの……?」


 「おぉ、目覚めたんだなー! 私が時間あげるよーー欲しいんでしょ?」


 時間をあげる? どう言い事だろう? でも貰えるなら欲しい。私には考える時間が少ないから。


 「欲しい!!」


 「わかったーー」


 白いモヤが私の周りを高速で回っていく。高速で回っているにも関わらず風は感じない。意味があるのかすら分からない。


 「出来たよーー息止めてみてーー」


 もう時間くれたの? 息を止めたらいいの? 

 私は言われた通り、頬と肺を膨らませ息を止めた。


 別に何も変わらない。ただ苦しいだけ。強いてあげるなら、先程まで火の揺らめきの様に漂っていた白いモヤが完全に止まっている。

 限界を迎えた私は息を大きく吸い込んだ。それと同時に白いモヤも動き出す。


 「もう息止」


 もう一度息を止めてみた。また白いモヤが止まる。でも私の手足はバタバタと動かすことが出来る。

 そしてまた息を吸い込む。


 「めたーー? 出来たみたいだね。でもみんなにバレたらダメだよーーさっき手と足ズレて見えたよーー」


 息を止めてじっと考える。

 そっか、みんな止まってるから私が移動したら消えた様に見えるのか。バレたらダメって、バレたらどうなるんだろう?

 息の限界が迎えたので思いっきり息を吸い込む。


 「バレたらどうなるの?」


 「んーー。ないしょーー」


 その白いモヤがケラケラ笑っている様に感じた。


 「内緒かぁーわかった。また幼稚園戻れる?」


 「戻れるよーー。もう行くのーー?」


 息を止めて考える。

 もう幼稚園戻ってもいいよね? 戻ったら浦島太郎か桃太郎かもう決まってるのかな? 決まってなくても大丈夫か。私には時間がいっぱいあるし。ゆっくり考えて決めよ。

 息を吸い込み口を開いた。


 「もう行くよ。時間くれてありがとう」


 「うん。いいよーー最後に形式だけーー」


 白いモヤが身嗜(みだしな)みを整えた感覚がした。


 「妾が与えたのは『時の停止』汝が妾に再び会えるその日まで死ぬでない」


 私はその言葉を最後に意識を失った。






 「ふぅーー。やっと終わったーーこれで妾が一番乗りじゃな。お前ら、妾が先に待ってるからな」


 先程まで1つしか無かった白いモヤが3つに増えていた。


 「何なの? あの喋り方。子供っぽく喋ってたと思ったら急に真面目に話すし」


 「そんなの演出に決まってるじゃろ。今まで散々失敗してきたのじゃ。手法を変えずにどうする。あの女子(おなご)、妾の最後の言葉を一生忘れないと思うぞ」


 「ふーーん。手法ね。私も試して見ようかしら。そうね。神々の戦いに巻き込むなんてどうかしら? 創造の神? いや、破壊の神も良いわね。でも関連性も無いし少し飛躍しすぎかしら。時間だから3次元……空間……4次元……!! 私考える事出来たからこれで。またねー」


 3つあったモヤのうち、1つが消える。


 「あやつホントせっかちじゃのう。それで爺は見つかったのか?」


 「ほぉっほぉっほ。儂はそんなに急いでないからのー。気長に待つとするかの」


 「ふーーん。まぁ、好きにしたらいいじゃろ。それじゃ」


 「ほぉっほぉっほ」


 白いモヤが全て無くなり、この場所に時と停止が孵った。



お読み頂きありがとうございます!(´▽`)

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