カヤさん
うちの村には「カヤさん」がいる。
ひどいほどにきさくなおとこの人だけれど、
村のみんなはだれもあいてにしていない。
かやの外だからカヤさんなのかな。
ある日、田んぼを分けてもらえないカヤさんが、
また山のほうへのぼっていく。
山に田んぼがあるのかな。
きになって、きになって、それをつけてみた。
でも、なにかがおかしい。
カヤさんがとおるみちは、みんなくさぼうへ。
まい日とおるみちじゃないのかな。
ついには、いきものたちのすみかにやってきた。
いきものたちはなんでか、
カヤさんをみてもにげださない。
カヤさんはふくをぬいだ。
そこに体はなかった。
すけているあばらから、べろりと出てきた
かやのなかにいきものたちはたべられていく。
それでもにげださない。
かやさんとは、そういうことだったのか。