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「送迎るよ」
「起きて、お着替えして」
宿の一室
掛け布団の中に潜り込んだ少女に声を掛けた
数分の間
返事を待つ男性の前に愚図愚図、頭が這い出て来る
「眠い、疲れた、お腹一杯」
敷布に顔面を埋めたまま零す少女に対して
寝台の端に腰を下ろす男性が其の頭をぽんぽん、して笑う
「はいはい」
「車の中で眠って良いから、ね」
然うして立ち上がる
男性は上着の内 衣嚢から取り出す
指輪を左手薬指に嵌めた
其れは「終了」の合図だ
其れは少女と男性が、「部下」と「上司」に戻る瞬間だ