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仮面舞踏会 ~隠密優等生《オタク》な俺と生徒会長《おさななじみ》の君と~  作者: 「S」
生徒会日誌Ⅱ ―波乱の球技大会(1学期編)―
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レポート72:『誰が誰のための作戦会議』

「どうだった?」


 校長室を出て、浮かない顔をした長重とそこに苦笑する氷室を目に瞬きする。

 とりあえず、愛の囁きうんぬんを抜いた事後報告を済ませようと思う。


「種目を変えなきゃ、問題ないってよ」


「そう……」


 結局のところ、長重の案は使えない。


 そのため複雑な表情を見せるかと思いきや、安心したのか、長重は胸を撫で下ろし、氷室は微笑する。


 ひとまずは、学校に対しての問題は削がれた。

 それにより、自分のルール改定案は実行に移すことができる。


 次に思考すべき問題は、それを実行するための下準備、方法論である。


「あとは、生徒にどう説明するか……だよね」


「そうだな」


 生徒をどれだけ惹きつけられるか。

 それによっては、せっかくの案も形無しである。


「とりあえず、戻ろうぜ」


 深い思考へと入る前に氷室の声が耳に届く。

 長重と目を合わせたのち、三人で松尾と富豪の待つ生徒会室に足を運ぶ。


 そしてまた、五人で活気づけるための告知手段、その後の流れにおける議題について話し合いが行われる。


「とりあえず、こんな感じか?」


「だな」


 ホワイトボードに大まかな流れを記載し、氷室と確認を取りながら、まとめ終わる。

 

「ねぇ、これほんとにやるの……?」


 すると長重からルール改定案の詳細が書かれた紙を目に何気ない疑問を飛ばされる。


「仕方ねぇだろ……これしか方法思い浮かばねぇんだから」


「……まぁ、伝達と下準備に関しては理解できたし、妥当だとは思うんだけどさぁ……チーム編成によっては荒れそうなんだけど……」


「あー、それは各自どうにかしてくれ」


「ええ!? そこは丸投げ!?」


 男女でやることが違うのだから、そこから先は当然である。


 無責任ではあるが、球技大会は男女合同ではなく、男女それぞれの内容であるからして、男子は女子に手出しできない。


 よって管轄外のため、どうすることもできない。


 男子だけにルール改定案を適用することも考えたが、今回の目的はサボり癖のある者全員が対象であり、それを改善するためのもの。


 女子でも起きている問題に対し、野放しにすることはできず、ルール改定案に関しては男女統一でなければ、先生たちも混乱する恐れがある。


 生徒全員を対象とし、先生方にも把握してもらうためには、下準備と伝達の流れから理解してもらうのがベスト。


 それには各学年の学級委員の協力も必要になってくる。


 企画を持ってきた時点で、企画者はその全てを把握しておかなければならず、周りにもその理解を得る必要がある。


 それ故、全てにおいて統一・男女平等というのが、隔たりなく、あらゆる事態に対処しやすい一番の方法であるわけで。


 ルール改定案を実行した場合、全てをまとめるのはこのルールを熟知した生徒会役員になる。


 それがため、男女それぞれの内容を全員で把握しつつ、各々で取り決めを行っている。


 男子の方は自分がいるためどうにかなるであろうが、心配なのは女子の方。


 女子の問題は、女子である長重と松尾が対処しなければならない。


 女子でない自分にしてやれるのは、精々、随時女子側の対処法をアドバイスしてやることくらい。


 そのため、あとは二人に任せるほかないのである。


「長重、ちょっといいか」


「ん、何?」


 今度は氷室の方が長重に用があるみたいなので、手持ち無沙汰な今のうちにこちらも富豪と打ち合わせをしたいと思う。


「富豪」


「何だ?」


「お前は……これでいいんだよな?」


「……ああ、そうしてくれ」


 氷室に聞こえない声で、ルール改定案における富豪の立場について確認を取る。


 彼の密かな申し出により、ルール改定案における流れの一部を変更するかどうか。


 こちらとしても、自らそちらに回ってくれるというのは指示が行き届きやすくなるためやりやすい。


 よって話し合いの結果、彼の真意をもとにその願いを聞き届けることにする。


 そうとなれば、書類の一部を訂正。

 皆には後から報告を入れようと思う。


「ええ!?」


「バカ! 声が大きい!」


「?」


 ふと長重の驚き声を耳に松尾が首を傾げている姿が目に入る。


 長重が何に驚いたのか気になってか、今度は松尾が長重に耳打ちで氷室から聞いたことを伝言されている。


 何を言っているのかはわからないが、それを聞いた松尾が目を輝かせ、長重と共に円らな瞳でこちらに視線を送ってくる。


 氷室はと言えば、不敵な笑みでこちらを捉えており、誰が見てもわかる通り、何かを企んだ絵面だった。


「何だよ……」


 そのわけを聞こうと二人に問うも、松尾と長重は顔を見合わせ、微笑み合う二人だけの秘密とされる。


 氷室に聞こうと思えば、富豪が何やらオーラを出して背後から圧をかけており、今度は氷室が「何だよ……?」と疑問符を浮かべている。


 どうやらそれぞれ思惑があるようで、退屈しない球技大会になりそうだなと、呑気にもそう思う。


 そうして着々と準備は進んで行った。



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