レポート51:『君がいないと、私は窒息死してしまいそうです』
春乃瑠璃視点。
彼が可愛い寝息を立てる頃、ゆっくりと部屋を後にして、リビングへと戻ると、ミーが心配そうに座っていた。
鏡夜の様子がおかしかったことに気づいていたのか、今日は同じベッドで寝ようとはせず。
きっと、私の心配をしてくれているのではないかと、そう思った。
「大丈夫だよ」
ミーをそっと抱き寄せ、顔を覗く。
「鏡夜がいなくたって……」
鏡夜がいない。
ただそれだけを考えるだけで、胸が締め付けられる。
この世で一番、大好きな人なのだから、仕方のないこと。
「いや、ちょっと寂しいけど……今は君がいるから」
暴れる様子もなく、呑気に『ミー』と笑むように鳴くミーに苦笑する。
たった1匹の家族が増えただけで、鏡夜がいない時の心細さが和らぐ。
もしかしたら、私が鏡夜離れするために鏡夜はミーを拾ってきたのかもしれない。
鏡夜は策士だから、それを含めていてもおかしくはないと思える。
「ほんと、妬けちゃうなぁ……」
それが誰かのためかと聞かれれば、鏡夜は私のためだと言うのだろう。
でも突き詰めれば、それはきっと、彼女のため。
鏡夜の意中の女の子への一途な想い。
それを向けられているのが私ではなくて嫉妬して、羨ましくて仕方がない。
その寂しさを埋めるためにミーをそっと胸へ抱き寄せていた。




