表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/114

まえがき:『おさらい日誌Ⅰ』

 高2の春、放課後の廊下で『真道鏡夜しんどうきょうや』は五市波いつしば高校の生徒会長『長重美香ながえみか』と鉢合う。


 『真道鏡夜』と『長重美香』は幼馴染だった。

 にも拘らず、二人は初対面のように接する。


 なぜなら彼女には、中学以前の記憶がないから。

 それは紛れもない、二人が発端として巻き込まれた事故だから。


 鏡夜が五市波高校に入学してきた理由も、常にフードで素顔を隠している理由も、全ては『長重美香』のため。


 彼女の記憶を取り戻す。

 それが『真道鏡夜』の目的であり、贖罪だった。


 中学の学園祭による事故で、長重美香は記憶を失くした。

 その原因が自分にあるから、彼女にあるべき場所へ帰って来てもらうために鏡夜は過去を捨てて今を生きている。

 それを知る由もなく、話しかけてきた長重は鏡夜を生徒会の副会長に任命する。


 鏡夜の恩人であり、五市波高校の校長『春乃瑠璃はるのるり』はそれを後押しし、五市波高校に入学以来よくつるんでいる、元ヤンキーながら現在はバスケ部レギュラーの『氷室輝迅ひむろけんしん』もまた、生徒会会計として応援する。

 生徒会書記には、『松尾あかね』という鏡夜と氷室の関わりのある人物も交え、生徒会は結成される。


 初めの取り組みは、目安箱についてだった。

 その中に入ったお悩み相談を解決していくというのが主な仕事内容。


 一件目の相談事は氷室と同じバスケ部の後輩がいじめを受けているという解決を求めた『いじめ案件』だった。元凶はバスケ部の先輩だという疑惑から、鏡夜と氷室は先輩たちと対峙する。鏡夜が持ちかけたバスケ対決により勝負は決し、作戦通り先輩たちの改心に成功する。


 ただ、その思惑の裏で動いていた人物に静かな怒りを覚えながら、それでも鏡夜は手引きした人物を問い詰めることもできず、許せない思いを胸に抱いて、『いじめ案件』は幕は閉じていた。


 間もなくして立て続けに起きたのが『浮気騒動』という、学内で女子生徒を口説いて回る男の改心だった。


 その男の名は『富豪聖ふごうひとし』。

 氷室と松尾の知り合いであり、同じ中学の同級生。


 中学までは『男の娘』だった彼が、高校デビューで美青年と化し、ナンパに励んでいることを知った氷室は、この一件を預かり、解決を図るべく富豪に勝負を挑む。


 一方で、生徒会の皆は氷室の提案により、迫る中間テストを学年順位上位で乗り切るために勉強会を開き、各々目標通りの成果を見せる。


 中間テストを無事に終えたことで、同時に氷室と富豪の勝負も決していた。


 氷室の狙い通り事は運び、富豪はその日以降『真道鏡夜』なる人物を知るべく、庶務として生徒会役員に加わることに。


 それぞれの思惑が交錯しながら、それでも互いの本性を知る由もなく、新生・生徒会は始動していた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ