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プロローグ

この作品に目をとめていただき、まことにありがとうございます。完結までなんとか頑張りますので応援よろしくお願いします。

「なんだ、また来たのか雛形」

 そう面倒くさそうに私に言い放つ彼、冴島誡さえじま まことは、今日も泥まみれのエプロン姿で私を出迎えた。

「駄目だった?今日こそはキチンと成形させちゃうもんね!

それに、どーせ私以外に若い子なんてこないんだから目の保養になるんじゃない?」

 そう軽口を言って私は定位置である椅子に荷物を置き、通学鞄の中から可愛らしい熊がプリントされていて少しだけ茶色く汚れたエプロンを取り出す。

 彼は目の前の作業に視線を集中さしていて私が入ってきてから一度もこちらに顔を向けていない。

「こんな場所、若い娘が頻繁に出入りするとこじゃないだろーに」

 巧くいかなかったのか嘆息まじりだった。

「知らないの?若い子の間でも最近はけっこうブームなのよ?

 最近では中学や高校の旅行プログラムにも組まれてたりしてるらしいしね」

「だったらなんでウチの工房は老人ばっかなんだ?俺が生まれてから今日まで17年間そんな客も弟子も来た事ないぜ?」

「そんなの決まってるじゃない。今時、こんないかにもな店に入ろうなんて思う物好きな若人いるわけないじゃない」

 都会から少し離れた住宅街に佇むこの店の外観は一言で言えば古臭い。

 庭にある釜からはモクモクと灰色の煙が昇り、ここは戦後直後の日本か!と叫ばずにはいられない今にも腐り落ちそうな木材二階建ての旧日本家屋。

 周辺には現代的な造りをした一戸建て高級住宅街の中で明らかにこの建物だけが浮いている。

 私は乱雑に詰まれた工具の中から今日のノルマに必要な道具を取り出し、手袋を嵌めると再び椅子に腰掛け深呼吸して気持ちを落ち着ける。

「いるじゃねーか」

「は?」

 不意にかけられた言葉に驚き、落ち着きかけた心が少し乱れた。

「オマエ」

 気がつくと彼は作業を止めて薄汚いタオルで手を拭きながら子憎たらしい半笑いでこちらを見ていた。

 今更ながら、なんでだろうなと私も思った。

 なんでこんな奴に会いたいと思ってしまったんだろう。

 でもこいつに出会ってから確実に私は変わってしまったんだろうなと思う・・・。

 人は恋をすると変わってしまうのか、それとも恋が人を変えるのか、う〜ん哲学!っと唸ると彼は冷めた目で私を見ていることに気づいた。

「何考えてるか知らんが、お前頭悪いんだから考えるだけ無駄だ。

せめて目の前ことに集中してくれ」

「はいはい分かりましたよー先生!本日もこの不肖の弟子にご教授くださいませませー」

 このくらいでカチンときたら彼とは付き合っていけない。

 「素直すぎてなんかコエー」

 っと彼がまたぼやいているが気にしない。

 今は目の前の作業に集中だ!

 さぁ今日も始めようか、私の分身造りを・・・・・・。



 

 






次回、いよいよ物語が始まります!

どうかよろしくお付き合いください。

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