「あの人は、ザコスさん…… デニスさんが受けた依頼の行方不明冒険者だった人です」
馬車に揺られて…… 半日…… 日が傾きかけた頃に壁が見えた。
「あれが、わしらの今日の目的地で…… あいつの故郷…… 国境間近の街【フォーブン】だ」
「街を壁で守ってるのか…… デカイな」
「立派な街だな。旦那」
「もうすぐ、日が落ちる。冒険者ギルドに回ったら家の支店に行くぞ」
門を通った後、親父…… おやっさんがそう言った。
因みに…… 俺とアドルフは、おやっさん達の護衛として街に入ったので…
俺とアドルフの入場料は、おやっさんが払ってくれた。
「先ずは…… 冒険者ギルドか……」
「疲れてるところ…… すまんが、あいつの死亡報告と最後に受けた依頼が知りたい」
「解ってるぜ。おやっさん」
「何故1人で、彼処に行ったか…… 知りたいんだろう?」
「すまん、報告の為に付き合ってくれ」
「発見者は、俺達だからなぁ…… 気にするな」
「そうだぜ」
馬車を冒険者ギルドの停留所に止めて、おやっさんと俺達はギルドの中へ……
「すまんが」
「はい、あっ! ボドフさん。お帰りなさい」
「おお、ダビィ嬢か! 今日着いてな…… それより、あいつ…… デニスの死亡報告に来た」
「!? デニスさんが…… そんな事って!」
「間違いない…… この二人が森で見付けてな…… わしに遺品を渡してくれたのだ」
「デニスさんが亡くなるなんて……」
「それでなぁ…… デニスの持ち物に【浄めの塩】が有ったらしくてのぅ…… あいつの最後の仕事を確認したい」
「【浄めの塩】…… デニスが最後に受けたのは…… 行方不明冒険者の捜索依頼です」
「行方不明の冒険者の捜索…… その冒険者は?」
「大旦那さま!」
「どうした! お前1人か? あいつは?」
「馬車に冒険者風の男が!」
「「「「な!?」」」」
俺とアドルフにおやっさん、ギルドの受付嬢のダビィさんが停留所に向かう。
「やめて下さい!」
「うるせぇな! 俺が護衛してやるから、馬車の中身を見せろ!」
「わしの馬車に何してる!」
「ジジイ、お前が馬車の持ち主か? ついてるなジジイ。俺が護衛してやるから荷物を教えな」
「護衛は必要ない! しばらくは、この街で商売だ。解ったら帰れ!」
「おい、ジジイ…… 態度に気を付けろよ。商売出来なく「また、貴方ですか! ザコスさん!」チッ、ジジイ…… てめえの顔は覚えたからな」
冒険者風の男が通りに消えた……
「何だ…… あいつは?」
「あの人は、ザコスさん…… デニスさんが受けた依頼の行方不明冒険者だった人です」
「あやつが!? デニスは何故に?」
「ザコスさんには…… 良くない噂が幾つも有るんです。その中にデニスさんの妹、孤児のシスターに付きまとってるって噂が……」
「だから…… 確認に行ったのか……」
「どう思う? 旦那」
「ああ…… 怪しいな」
「どう言う事だ?」
「行方不明の冒険者を捜しに行った冒険者が死に…… 行方不明の冒険者が生きて帰った…… 教会に行った方が良いかもな」
「まさか! 妹分を狙って、邪魔なデニスを始末したのか!?」
「あの態度を見る限り…… やばいかもな」
「噂通りの奴なら…… そのシスターが狙われるな」
デニス…… お前さんの装備の借りは、妹に返す事になりそうだ。
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