「……そうか…… あいつは…… 死んだのか……」
呼び出した時に持っていた弓をアドルフが構えると……
ヒュン…… ドスッ!
「グゲェ!?」
親父と鍔ぜり合いしていたゴブリンの頭に矢が刺さる!
「ギギャア!? テキ! テキダ!」
死んだ仲間にゴブリン共が騒ぎ出す!
俺は…… 木の影からゴブリンの背に、剣を突き刺す!
「グッフ……」「ニンゲンダ! ニンゲンガイルゾ!」
ゴブリンが俺に気付き、向かって来るが…… ヒュン…… ドスッ!
「ウッ!?」「ギギャア!」
アドルフの放った矢がゴブリン共を襲う。
「手を貸すぞ!」
「すまん! 助かる!」
アドルフに援護されながら、親父と協力して残りのゴブリンを叩く!
・
・
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「グ、ギャアァァ!」
親父が最後のゴブリンにトドメを刺す……
「終わったな……」
「ああ…… お主…… 達は、何者だ?」
森の奥から出てきたアドルフと俺を見て、親父が警戒してる……
「旅人だ。魔物に襲われて道に迷った」
武器を下ろして、親父に話し掛ける。
「旅人?」
「ああ、ゴブリンを解体しても?」
「良いぞ。わしが警戒しよう」
「俺も警戒するよ」
アドルフがゴブリン共を解体して、矢と石?を回収してる。
「なるほど…… 二人で人里を捜していたのか」
「元は、川で水を補給しようとしたんだが……」
「魔物の襲撃に合ってな…… 荷物を置いて逃げて来た」
「そいつは気の毒に…… ところで…… お前さんの剣に見覚えが有るんだが……」
親父が俺の持つ剣を見てる…… 元の持ち主の関係者か?
「森の中で死体を見付けてな…… 弔って装備を譲り受けたんだ」
「……そうか…… あいつは…… 死んだのか……」
親父がさみしそうに呟いた……
「知り合いか?」
「その剣は…… わしが、あいつに渡した物だ」
「そうだったのか…… 人里に着いたら返そうか? ここで武器無しは辛い」
「なら…… あいつの装備をわしが買い取ろう」
「良いのか? こう言っては何だが…… 俺達が殺ったかも知れないぞ?」
「フッ…… 殺った奴は、そんな事は言わん」
ゴブリンの解体が終わったので、親父達と森を抜ける。
「悪いな。乗せて貰って……」
「命の恩人だ。かまわんさ」
馬車の荷台で、新しい装備の感触を確める。
親父に装備を渡した代わりに、親父が商品から代わりの装備を譲ってくれた。
「しかし…… 良いのか? 売り物なんだろう?」
「気にするな。お前さん達のおかげで形見が出来た。あいつの兄弟達もなっとくできるだろう……」
「親族が居るのか?」
「いや…… こいつ達と一緒で…… 孤児だが、教会に兄弟同然に育った孤児達が居る」
親父の馬車には…… 12~3歳ぐらいの【獣人】が二人居た。孤児らしい。
「教会の孤児か…… だから、【浄めの塩】を持っていたのか」
「何? 【浄めの塩】だと!?」
「持ち物に有ったぞ」
「いくら教会育ちでも、孤児の冒険者が持つには…… 怪しいな」
どうやら…… きな臭い事になりそうだ。
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