「なぁ…… あんた、俺達の依頼を受けないか?」
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鉱山の街【ギナンデ】の冒険者ギルドで、とある男が昼間から酔っていた。
「くそがぁ……」
男はもうすぐ40歳くらいの冒険者だった。
「あのガキ…… 謀りやがったな」
男は、とある冒険者クランの盾役だった。
平均寿命がけして高くないこの世界で、40歳を手前にしてクランの引退を考えていた男の元に…… ギナンデへの護衛依頼を持ったクランメンバーが現れた。
最近クランメンバーになったメンバー達で、昔ながらの耐えて凌ぐ盾役の男とは、反りが合わない若者達だった。
「この依頼を最後に、引退するつもりだったのになぁ……」
反りが合わないメンバーだが、最後の依頼にするつもりで受ける事にしたら…… オーガに襲われた。
(アレは…… 何だったんだろうな……)
ゴブリンを率いるオーガなど聞いた事がない。
運悪くユニークモンスターに遭遇してしまったと思った時に……
クランメンバーに置き去りにされたのだ。
かろうじて生き延びてギナンデに着いたが…… 意識を失い。
担ぎ込まれた治療院で目覚めたら、治療代に所持金のほとんどを失ってしまった……
運良くギルドで護衛対象だった商業団に会え、報酬を貰えたが…… 滞在費に消えそうだ。
クランメンバー達の姿は無く…… 盾を失った盾役はクランの本拠地に戻れず、途方にくれていた時……
「なぁ…… あんた、俺達の依頼を受けないか?」
おっさんと青年が話かけて来た……
おっさんは、ギナンデに着いたばかりのタロウだった。
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「なるほど…… 我を呼んだのは、盾役を欲するが故か?」
「ああ、【シズカ】を呼んだのはそうなんだが……」
「何じゃ?」
「盾役って言うよりも…… 時代劇の遊女みたいだな? 何でだ?」
「ふむ…… 我を呼ぶ時、適当に選らばなんだか?」
「確かに…… 盾役のオーガ女性ってしか、設定してないな……」
「それじゃな、我は【鬼人族】…… オーガから進化した種族じゃ」
「鬼人族? オーガの進化種族が何故?」
「盾役として呼んだからじゃな…… 基本的にオーガは守りをしないからの。オーガ系統で種族を守り死んだ我が選ばれたのであろうな」
「オーガは守りをしないのか?」
「うむ、我でも攻撃を真っ向から受ける事は苦手じゃ。我に出来る事は前線で盾を構えるのでは無く、後衛の前に立ち…… この扇で矢や魔、魔物の息を払い除ける事じゃ」
「なるほど、所謂タンクでは無い中衛型の盾役なのか…… しかし、オーガが盾役に向かないのは困ったな」
「主よ、何を困る事がある?」
「いや…… 盾役がいなくてなぁ」
「ならば…… 我を呼んだ様に、盾役に向いた鬼を呼び育てれば良いでわないか?」
そのシズカの言葉に従い、オーガとドワーフのハーフ青年【カイト】をキャラクタークリエイトした。
そして、カイトに盾の使い方を教える師を求めて…… 冒険者ギルドに入ったタロウは……
盾を失った盾役の中年男性……【イーサン】と出会った。
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