「さって、貴様に【力】を授ける」
光輝く人型に怒られながら…… ちょっと考える…… 死んだの俺のせいか? 後ろから刺した騎士が悪くねぇ? 元はと言えば、俺を召喚したヤツらが悪くねぇか?
「ぬ? 転移者よ。何故に【力】を持たぬ?」
「いやいや、貰ってないから!」
「ぬ?…… あっ!」
「おい…… 今、あって言ったよな?」
この照明人間野郎、何か知ってるな!
「誰が照明人間だ! 我は貴様らの言葉で言う【神】ぞ」
おう!? 心を読んだ? しかも、【神】だと!? アレ……? 【女神】じゃないのか?
「【女神】? 其奴は、我の代理の【天使】じゃな…… あやつめ! 手を抜きおったな……」
「手を…… って、俺の事か!?」
「貴様は…… 例えるならば、【入れ物】じゃな。勇者やそれに次ぐ【力】の持ち主達を世界の壁を越えて召喚する為の【入れ物】…… それが貴様じゃ」
「それで…… 世界の壁を越えたから、用無しって訳か」
「いや、本来ならば何かしらの【力】を与えて、生き延びる様にするのじゃが…… あやつめ! 転移者が多すぎて、素質以外の【力】を与えなかったな」
「つまり、俺は勇者達のコスト軽減の運搬コンテナで、それ以外は…… 【能無し】って訳だ」
「いや……その…… すまんの……」
謝られてもな…… 死んでるし…… 知らない内に勇者達の運び屋にされて、能無しとして殺されるとは…… 俺の人生こんなもんか……
「詫びと言っては何だが…… 天使の【力】を貴様に回して生き帰させよう。【力】も授けるので、よく考えるが良い」
えっ…… 生き帰る? マジで!? しかも、【力】もくれるのか?…… ちょっと待ってよ……
「何か…… 隠してねぇか?」
「そ、そんな事は……」
「じゃあ、しんどいし…… 死んだままで良いや」
「それは困る! 勇者達を帰せ無くなる!」
「つまり、帰りも俺と言う【入れ物】が欲しいと?」
「そうじゃ…… 転移者達は、貴様らの言葉で【レンタル】している様な物での…… 帰さんと…… その…… いろいろと面倒な事になるのだ」
つまり、俺はレンタル屋の返却袋か……
「だから、簡単に死なれると困る!」
「いやいや、俺を殺した奴に言え!」
只のニートが背後からの攻撃を避けれるか!
「殺した奴? 背後からの攻撃とな…… 貴様の記憶を読む……!? 何と…… 人に殺されるとは、転移者を殺すなと…… あれほど教えたのに…… 許せん!」
お、【神】が怒ってるよ…… 教えたって、【神】が? 何時よ?
「はて? 何時だったかの? 1000年くらい前かの?」
「アホか! 1000年あれば、国1つぐらい滅ぶわ!」
「うむ、そう言えば…… 国の名が違うかの?」
「次からは、100年に一度ぐらいで教えろよ……」
「うむ、そうするとしよう」
大丈夫か? この【神】?
「さ~て、貴様に【力】を授ける」
あっ…… 誤魔化したな。
「うっ、おほん! 貴様を殺した奴の【力】と、もう1つ! 天使の【力】を使い。貴様の望む【力】を授ける! さあ、おのが望みを浮かべるが良い」
おのが望みを浮かべるが良いって、急だなおい! 【力】か…… 面倒くせえ~! ゲームみたいに好きにキャラ作って育てられたらな……
「うむ…… その【力】を授けようぞ!」
「へっ!?」
「では、生き帰るが良い。その【力】で生き延びよ!」
「え、ちょっと!?」
あれ? 【神】は?
俺は…… ずぶ濡れで川岸にいた……
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