「安全とは言えないが… 俺達と行くか?」
とりあえず、おやっさんの店に向かう。
「親父! 無事だったか!?」
「何じゃ? 急に」
「何じゃ?、じゃないわよ! フォーブンの支店と冒険者ギルドから連絡が来てね。直ぐに出発したって言うから心配したの! 大丈夫? 怪我してない?」
「わしは平気じゃ」
店に着くと… 若い男女が飛び出して来て、おやっさんに詰め寄る。
「あら? お客さん?」
女性が俺達に気付いた。
「わしの護衛じゃ、休ませてくれ」
若い男女は、おやっさんの娘夫婦でした。
「明日、冒険者ギルドで依頼完了の報告をするから、報酬はその時じゃな」
「おやっさんとは、ここまでだな。色々世話になったな… ありがとう」
「礼を言うなら、わしの方じゃ。ゴブリンに囲まれた時は死を覚悟したからな。コレを渡して置こう」
「コレは?」
「わしの商会で常連客の証じゃ。わしの商会… 看板にコレと同じマークの店に行って、コレを見せなさい。可能な限りの便宜をはかる様に伝えて置く」
おやっさんから渡された物は、小さな金属プレートに鳥のマークが彫金してあった。
商会の名は、【ブルーバード商会】だそうだ。
翌朝… おやっさんの好意で朝食をいただき、冒険者ギルドに向かった。
「ところで、ハナの嬢ちゃんはどうするんじゃ?」
狼を連れて少女… 召喚された【魔物使い】イヌカイハナにおやっさんが聞いた。
「わ、私は… 」
殺されたくない勢いで、飛び出した少女はその後はどうするかどころじゃなかったのだろうな…
困った顔で俺を見てる… 仕方ないな。
「安全とは言えないが… 俺達と行くか?」
「どうせ… 危険なら、同じ境遇の人と一緒の方がましかも知れませんね… これからも、よろしくお願いします」
「そうか。供に旅立つか…」
「その事だか… おやっさん、俺達はちょっとダンジョンに潜ろうと思う」
「ダンジョンに? 何故じゃ?」
「追っ手の確認と資金集め… 出来れば、仲間を増やしたいな」
「ダンジョンで稼ぎながら仲間を探して、追っ手を迎え討つか」
「ああ」
「なるほど、追っ手の狙いを確認するのですね」
「追っ手があの国の国内だけなら、逃げる必要が無いからな。旅の資金を増やしながら仲間も増やして、旅の安全性を上げたい」
「わしは行商に戻るでの… 付き合えんが、護衛報酬を多めに出そう。旅に役立てくれ」
「おやっさん… ありがとう。冒険者ギルドでハナちゃんの冒険者登録もするぞ」
「私のですか!?」
「身分書は必要だし… 狼の使い魔登録もしないとな」
「うぉん♪」
「確かに必要じゃな…」
「無いと、後で面倒になるわね…」
「無いと、人里に入れないな…」
「必要ですね…」
俺達は一斉に狼を見た後… 登録と達成報告をする為に、冒険者ギルドに急いだ。
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