「貴方は!? 殺されたんじゃ… ?」
国境まで後、馬車で半日の距離にある林で夜営中…
「明日は国境だな。おやっさん、何か気を付ける事があるか?」
手に入れた馬車を隠す為に、明日は、おやっさんの馬車一台で国境に向かう事にした。
「冒険者プレートを見せれば良い。話は、わしがする」
「明日は暗い内に出発だな。早めに寝ろよ」
「「「「「はい」」」」」
見張りは、アドルフの後に俺とおやっさんなので、馬車に仮眠に向かうと… アリスが付いて来た。
「一緒に寝るか?」
「うん♪」
アリスの頭を撫でながら、俺は眠りに落ちた。
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「そろそろ、国境じゃぞ」
アドルフと交代して見張りをし、予定通り暗い内に出発したので、馬車の荷台で微睡んでいたら、おやっさんの声で起こされる。
川と橋が見えて来た。川が国境で橋が検問らしい。
「ボドフさん、今回は速いですね?」
「思いの外繁盛してな。仕入れに戻る事になったんじゃ」
「それは凄い。こちらは… 護衛ですか?」
「雇われの冒険者だ。これで良いかい?」
「はい、確認します」
「最近、この辺りで盗賊の被害が出た。気を付ける様に」
「それなら、撃退した。これが賊の水晶じゃ」
「なんと! 確認する… 間違いないな。持って行け」
「なんだ? コレは?」
「盗賊討伐は初めてか?」
「ああ」
「これは証明書代わりだ。冒険者ギルドに、このプレートを渡しな。報酬が受け取れるぞ」
「解った。ありがとう」
「向こうさんでも、盗賊や魔物が出てるらしいからな。気を付けろよ」
ベテランの兵士が忠告してくれてる内に、若い兵士が俺達の身分の確認を終えた。
「問題無し、通れ!」
俺達は、おやっさんの馬車で橋を渡り、向こう岸へ。
立派な馬車を引いた馬は、アドルフが乗っている。
「よう、ボドフさん。行商は順調かい?」
渡った先で… 違うデザインの兵士に止められて、手続きをする。
どうやら、この兵士も、おやっさんの顔見知りらしいな。
「最近は、魔物も活発になっている。気を付けてな」
手続きを終えて、新たな国に入った。
「今日は… ここまでだな?」
「そうじゃな。暗くなる前に夜営の準備じゃ」
「アドルフ、どうだ?」
「この辺りなら、大丈夫そうだぜ」
「解った。馬車を出すぞ?」
日が沈み始めたので、街道沿いの林近くで夜営をする事にした。
「ちょっと、薪を拾ってくるか…」
「旦那… 変だ… 大型の魔物と人の気配が近付いて来るぜ」
「魔物と人? 追われてるのか?」
「違うな… たぶん、魔物に乗って移動してるな」
「邪気は、感じないわよ?」
「どう言う訳だ?」
「ゆっくり近付いてるな…」
「アリスとアニアは、馬車の中へ!」
「「はい!」」
「アドルフ!」
「あっちだ…」
立派な馬車にアリスとアニアを乗せて、俺とアドルフは魔物のいる方を警戒する。
おやっさんとエルが、いつでも逃げ出せる様に馬車の準備を済ましていると…
「あの~… すいません。旅の者ですが… 道に迷ったので、水と食糧を売って貰えませんか?」
若い女性の声で話し掛けて来た。
「姿を見せろ… 魔物もだ!」ガサ!
小さいな… アニアぐらいか? 隣の魔物は… 狼か?
姿を現したのは… 小中学生ぐらいの少女と馬ぐらいある狼だった。
有名なアニメ映画みたいだ。
「この狼は、悪い魔物じゃ有りません」
「うん?」
必死に狼の魔物を庇う少女… その少女に、俺は見覚えが有った。
「貴方は!? 殺されたんじゃ… ?」
城で見た… 一緒に召喚された【職業 魔物使い】の少女がいた。
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