「愚か者の末路か…」
「アドルフ、他に気配は?」
更なる襲撃を警戒し、辺りを探る…
「ちょっと遠いが、何かいるな… 馬か?」
「邪気は… 感じないわ」
「確認しよう… 追われると厄介だ」
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「馬車だな…」
「馬車ね…」
「ああ、馬車だ…」
アドルフの【気配察知】に反応した馬を見に行ったら…
けっこう立派な馬車が停まっていた。
「アドルフ、人の気配は?」
「…無いな」
「ちょっと、こっちに来て」
「どうした?」
「あれ…」
「賊のアジトか…」
馬車から、少し離れた場所に洞窟を見つけた。
「人の気配は… しない」
「行くの?」
「出来れば、調べたいな」
洞窟の前に馬車を停められたので…
「アドルフと俺が見て来るから、エルとおやっさんは…」
「旦那、その必要は無さそうだ…」
「アドルフ?」
「人の気配はしないが… 血の匂いがする」
「何!?」
アドルフと俺が洞窟を覗くと… 人の足が見えた!
倒れてる…
「【ライト】、こいつは!?」
血溜まりの中に、ローブ姿の人が倒れてる。
「こいつが犯人ね」
「犯人?」
「【禁断魔法】を使った犯人よ」
「「「な!?」」」
「賊を倒した時… 【聖痕】が反応したの。【邪気】が使い手に返ったのね」
「じゃ、こいつは…」
「自分の【禁断魔法】で死んだのよ」
「愚か者の末路か…」
エルの【聖痕】と【神聖魔法】で【禁断魔法】が使い手に跳ね返ったらしい… 白いローブ… 教会の関係者か?
「しかし、惨い死に方じゃな…」
ローブの男は… 顔の穴と言う穴から、血を吹き出していた。
「生きたまま魂を喰われたのね… 人の命を軽く見るからよ」
あの~ エルさんや… あんた、俺を殺そうとしたよな?
「どうする?」
「この男は、私が埋葬するわ」
「解った。終わったら、おやっさんと警戒してくれ。おやっさん警戒を頼む。アドルフと俺は、何かないか調べる」
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「盗賊団のアジトだったか」
「旦那の【アイテムボックス】が有って、良かったぜ」
一連の戦闘で… Lvアップしていて、【アイテムボックス】もLvアップした。
スキルLvが上がったのは… 職に就いたからか?
「残るは、馬車か… どうする?」
「持って行けば、いいじゃろ?」
「怪しまれないか?」
「盗賊団の水晶板は回収している。盗賊団が持っていた事にすれば良い」
「立派な馬車だが、目立たないか?」
「ちょっと試して見るか…」
「何を… !?」
「お、【アイテムボックス】に、入ったぞ」
「馬車が…」
「きえちゃった?」
冒険者が乗るには… 不釣り合いな立派な馬車を【アイテムボックス】に収納出来た。
「何と、非常識な…」
「これなら、移動に使えるな」
馬車が二台になった俺達は、国境に向かう事にした。
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