「私の名は【エル】、【エルファリア】。今日この時から、私がお前の師匠だ!」
「それじゃ、【堕ちない】様にね。彼を護るんだよ」
「………」
「【堕ちた】ら…… 【堕天】じゃなく、【サキュバス】にするからね」
「!?…… 解りました…… 全身全霊を持って護ります!」
「いや…… ある女の子を護って欲しいんだが…」
「ああ、あの子だね」
「知ってるのか?」
「【神聖魔法】の使い手は特別なんだよ。あの子が生まれた時から、過度な干渉は出来ないけど見守ってるよ」
「俺には…… 過度な干渉してないか?」
「君は、別世界の人だからね。君達の【力】は特殊だから、使命を果たしたら、ちゃんと帰って欲しいんだよ」
「俺達が帰らないと困るのか?」
「そうだね…… 例えるなら君達は、【循環式の浄化装置】なんだよ。この世界の【力の淀み】を正して貰う代償に君達の世界の【邪気】を祓うのさ」
「【邪気】? なんだそれは?」
「【邪気】は、厄介なんだよ。溜まると生き物が狂暴化するし、自然が崩れて異常現象を起こすし」
「それは大変だな……」
「ピンと来ないみたいだね。生き物が狂暴化するって言ったよね? 人もなんだよ……」
「マジかよ……」
ヤバイな…… 例えば、どっかの大統領が狂暴化してスイッチ押したら…… 地球が消えるな……
「だからね。循環の為にも、ちゃんと帰って欲しいんだよ」
「なるほどなぁ…… だが、帰らない奴が居たんじゃないか?」
「居たよ。この世界に残った人達がね。その場合はね…… 魂で対価を払うのさ」
「魂……」
「この世界に生まれるはずの魂を…… 君達の世界に送るのさ……」
「良いのか? それは……」
「この世界に生まれるよりは、安全かも知れないよ? 一応、安全場所に生まれる様にしてくれるみたいだし」
「だし?」
「君達の世界にも、私の様な存在が居るからね。その存在が便宜をはかってくれてるのさ」
「神は、居たのか……」
「それじゃ、そろそろ戻らないと…… 彼とあの子を頼むね?」
自称神が元天使に念押しして消えた……
「ものすご~~~く、不本意だが…… 貴様を護ろう」
「ちゃんとしないと、【堕ちる】ぞ」
「うるさい! 【神聖魔法】を使う少女のところに案内しろ!」
「解った。行くぞ…… 【エル】」
「フン、気安くするな!」
機嫌が悪い【エルファリア】こと【エル】を連れて、おやっさんの店に行く。
「お前が【アニア】か?」
「そうですが…… 貴女は?」
「私の名は【エル】、【エルファリア】。今日この時から、私がお前の師匠だ!」
「えっ…… え~!?」
「あの~…… あの方は?」
「彼女は…… エルファリア…… 【神聖魔法】の使い手です」
「「「「!?」」」」
驚くおやっさんとシスター達。
孤児の幼子が眠そうだなぁ…… 昼寝の時間か?
「アドルフ、ちょっと頼む」
「どうした? 旦那?」
「エル捜しで疲れた。ちょっと寝る」
「了解……」
俺は…… 幼子達を連れてベッドに倒れた。
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