3話 ギフト
「はー、なんか疲れた」
只生えている草を食べただけなのに、どっと疲れがたまった。
「取り合えず食うものは食ったし、肝心のギフトを調べるか」
文庫本サイズの本を見つめながら宗次は気持ちを切り替える。
小説やゲームは嫌いではなかった為、色々な魔法やスキルが思い浮かぶ。
「王道ファンタジーな魔法を覚えたいけど、先ずは生きていく為のギフトにしないとな」
どうすれば生きていけるか考えながらページを捲る。
どうやら辞書のようにあいうえお順に並んでいるようだ。
「これなら調べやすそうだ」
そう考えていると、先日買った小説を思い出す。
あれも主人公が異世界転移する話だった。
「あの魔法なら何でも出来る超チートスキルになるな」
《想像魔法》
それは自分が想像出来るもの全てを現実世界に再現する魔法だった。
一章で召喚された原因の魔王を、メテオで城ごと瞬殺したのは笑ったものだ。
「えっと、そ、そ、そ」
ページを飛ばしながら、『そ』の項目を探す。
「あった」
<想像魔法>
属性:無
内容:主神が司る。
思い浮かぶありとあらゆるものを現実世界に再現できる。
一日につき一回だけ使用可能で、全魔力の半分を消費する。
※死後主神の従者として仕えることになる。(オススメ☆彡)
「・
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使えるけど、使えねー」
どう考えても地雷臭がする。
任期が書かれていことから輪廻の輪から外れて、世界が終わるまで隷属されること請け合いだ。
「これはダメだ。数十年楽しただけで、後は無間地獄とか嫌がらせかよ」
「異世界転移の王道<勇者>や<使徒>なら…」
<使徒>
属性:光
内容:主神が司る。
神々の命を受けた存在。
<神聖魔法><魔力消費半減><高速詠唱><カリスマ(極)><威光(極)><獲得経験値増加(帝)>を覚える。
※神命がないとスキルが解放されない。
パラパラ
<勇者>
属性:光
内容:主神が司る。
巨悪と理不尽を殺す存在。
<魔法剣(聖・光)><聖剣(極)><神速(極)><絶対防御(帝)><幸運(帝)><必要経験値減少(帝)>を覚える。
※<魔王>が現れるとスキルが覚醒する。
「王城で召喚されれば使えるか?生活基盤がないと死にスキルになるな」
パラパラ
<剣技>
属性:無
内容:武神が司る。
剣を扱う能力が上がる。
等級によって必要経験値減少。
パラパラ
<鑑定>
属性:無
内容:商業神が司る。
ありとあらゆる物を見極める。
等級により見極める制度が上がる。
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「思っていた以上に難しいな」
街や村にいれば使えるスキルやジョブは多いが、何もない草原で0から生きていくとなると、1つでは足りない、
そもそも魔物を倒す力が在るのかも分からないまま、人里を見つけるまで森を彷徨うなんてバットエンド一直線だ。
「ここを拠点にして、少しづつ行動範囲を広げるのが無難か。となると…」
ページを読み飛ばしながら目的のギフトを探す。
「あった。<ダンジョンマスター>」
<ダンジョンマスター>
属性:無
内容:ダンジョンを作りその主となる。
ダンジョンポイント(DP)を消費することで様々なことを行う。
ダンジョンコアが破壊されない限り不滅。
「これなら直ぐに死ぬことはないだろう。ファンタジー世界で人に拘る必要もないし、ますは生きることだ」
そう決意し、本に手を置く。
−俺はダンジョンマスターになる!−
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