部活の様子です3
そんな経緯で入部したわけだが、とりあえず、平穏な部活生活を送っていた。
ただし、小山先輩は、ゴールデンウイークにどこかに調査に行きたいらしく、僕たちはそのためのネタを調べるよういわれた。
「じゃあ、よろしくね。未希と奴隷君・・・おっと違う違う、祐介君」
最悪な言い間違いをしながら、小山先輩は陸上部に行った・・・
小山先輩は、体を鍛えるために陸上部にも所属している。
あまり大会に出ることはなく、また、調査のために出かけるときには遠慮なく陸上部をさぼるらしい。
それでも、大会に出ると結果を出してくるため、他の部員も顧問も、何も言わないらしい。
「あれ、これ、おもしろそうじゃない?」
未希が声をあげた。
渡された記事を見ると、
「消えた村!?」
という表題がでている。
どうも、とある地方の村が一夜にして消失してしまったらしい。
「村が消える、というのがどういうことかわからないけど、いいんじゃない」
未希は乗り気だ。
「確かにあまり聞かない話だから、小山先輩も賛成するかもね」
「ええ、どうやって消したのか、調べてみようじゃない」
そう話していると
「あら、それはおもしろそうですね。私も興味ありますわ」
そういって入ってきたのは、早苗だった。
「あれ、早苗、どうしたの?」
急な登場に驚いて聞く。早苗は確か茶道部のはずだが。
「茶道部は?」
「あの部活は、ひまな時に行けばいいのですよ。今は私は超常現象に興味を持ちましてね」
長いきれいな髪をとかしながら、優雅に答える。
未希が少しとがった声で言った。
「ここは部員が入るところなんだけど」
早苗は少しもひるまずに答える。
「もちろん存じておりますわ。先ほど小山先輩に入部届を出してきましたわ」
「!」
未希が驚く。
「なんであんたが・・・」
「だから超常現象に興味があるのですわ」
なんで超常現象部?誓約書は出したのかな?
そんなことを考えていると、
「ちなみに誓約書という書類は、私の主義と合わなかったので、祐介が私の分まで仕事をするということで理解してもらいましたわ」
早苗は平然と言った。
・・・また負担が増えた。
「それより、後ろのあなたはどうしたのかしら?」
早苗が後ろの小柄な女性に声をかける。
「あ・・・私も入部することにしました。雨宮優子です。よろしくお願いします」
顔を少し赤くしながら、あいさつした。
どこかでみたような・・・
「あ!喫茶店の」
そういうと、雨宮さんは、ますます顔を赤くしながら、小さく
「はい・・・」
と答えた。
未希は、突然のメンバーの増加に苛立ち気味だ。
「雨宮さんは誓約書を書いたのかしら?」
早苗同様に誓約書を俺に押し付けた未希が言った。
「ああ、あの紙ですか・・・どうも私がサインしようとすると破れてしまったので・・・入部届だけ・・・」
どうやら、今のところまともに書いたのは俺だけのようだ。
「これからよろしくお願いしますね、桐生院未希さん」
早苗が微笑みながらいった。
「未希で結構よ。あなたのことも早苗と呼ばせてもらうわ。宝城早苗さん。」
未希は、強い声で、言い切った。
「私も優子でいいです・・・」
雨宮さんもそういったが、未希と早苗はお互いにらみ合うばかりで、ほとんど聞いていないようだった。