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彼女が嫉妬しています4
早苗が出て行ったあと、未希が、早苗のいた席に座った。
しきりに、自分の服をおしぼりでふいている。
あの女、やってくれたわね、などとつぶやいていた。
「どうしたの?」
「いいえ、別に。少し私にもばちがかえってきただけよ」
ばちって返ってくるんだっけ?
とか思いながら未希を見ると
未希は早苗が注文したケーキとコーヒーに手を付けていた。
「これで、口直しでもってわけで、そのまま残しておいてくれたんでしょうね」
とかつぶやいている。
食べ終わると、
「さっきの子は何て名前」
と聞いてきた。
「宝城早苗、幼なじみだよ」
と答えると
「宝城・・・なるほどね」
とつぶやいた。
よくわからない日だったが、とりあえず未希は機嫌が直ったようで、僕はほっとして帰った。