表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/49

今日も彼女は病んでいる

「毛皮のコートがほしい」

高校生の彼女、未希はそういった。

俺は、聞こえないふりをして、

「さあ、帰ろうか」といった。


「毛皮のコートがほしいわ」

未希ははっきり言った。


「そうか、じゃあ買えばいいな」

俺はそっけなく言った。


「祐介、あなたは私の彼氏よね」

「まあ・・・」

「私の言うことにはすべて従うと誓ったわよね」

「いや、それは言ってないだろ」

「あなたは私と結婚してほしいのよね」

「いや、そこまではまだ・・・」


未希は大きなため息をついた。

「コートすらくれない彼氏、こんな私に生きている意味なんてあるのかしら」

大げさなことを言い始めた。

「そんなコートぐらいで」

そういうと、未希は、

「生きている意味なんてないわね。でも、それよりも生きている意味がないのは、この彼氏じゃないかしら」

・・・

「私は、別にあなたに何かしようというわけではないわ。ただ、あなたが、彼女にコートも買ってくれないあなたが、たまたま、不幸に見舞われたとしても、それは自業自得よね」

俺は焦り始めた。

「未希、冷静になろう、まずは話し合おう」


「いや、もう話し合ってもむだな気がするわ。結論は出たと思う。あとは神様がどうあなたを裁くのか、そういう話よね」

俺は、いよいよ焦り始めた。

「まて、まだ結論は・・・」


未希は俺の言葉も聞かず、藁を取り出した。

そしてそれを人形の形にしていく。


「わかった。毛皮のコートは俺が何とかしよう」


俺は叫ぶように言った。


それを聞くと未希は、わざとらしく驚いたような顔をして、

「あら、そう。それなら、神様に尋ねるまでもなく、あなたは不幸に見舞われたりはしないわね」


そういって、藁を鞄にしまった。


俺は胸をなでおろした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ