空襲者に鉄拳を
失踪する前に戻ってきました!
本当に遅くなり申し訳ございません。これから、活動を復帰します。
そういえば、レビューをいただきました!ありがとうございます!
「ま、せいぜい足掻いてよ……あんだけ大口叩いたのに簡単に負けないでね」
「上等だ! 俺は全身全霊全力の力で倒す!」
再び脚部のバーニアを作動させ、相手との距離をつめる――しかし、空襲者はこちらの移動先を予測し的確な銃撃を浴びせる。
だが、こちらも両腕で胴体への銃撃を防御。銃弾を弾き飛ばしながらも徐々に距離を詰めていく。
「(うーん、次の攻撃は真正面から来るかな? それとも……)」
空襲者が何かを考えるうちに、手に持つ二丁拳銃の銃弾が切れる。
この隙を狙うために防御を崩す。すぐさまバーニアで空襲者の左側へ回り込み、腰をひねらせ空襲者の肩へ蹴りを浴びせる。
まともに上段蹴りをくらった空襲者はよろめく。たった今、生まれた次の攻撃へのチャンスを逃さないように相手の胸に蹴りを放つ。
渾身の蹴りは衝撃と同時に相手を後方へ数メートルほど飛ばす。
「アアアァァッ!!」
叫びをあげながら後方に吹き飛び、岩の壁に背中を打ち付けられる空襲者。
体勢を立て直した空襲者は何かを喋りだす。
「くぅっ……何故だ、何故だ、何故だ、何故だァーッ! 僕がこんな奴に、こんなダメージを!」
相手は怒りが抑えきれずに取り乱している。おそらく、見下していた相手に深手を負わされたことが余程悔しかったのだろう。
今、空襲者が持つ銃は一丁。相手のスーツは先ほどの攻撃によって傷ついている部分がある。
スーツの耐久力――言わば、決闘者にとっての命を示す数字に等しい。
耐久力が無くなった決闘者は強制的にアクセスを解除され、相手に賭けているピースを渡すことになる。
今のところ、お互いの耐久力は半分に近い。今は威力が高く、たった一つだけしかないアドベント――”煌黒の鉄拳”に賭けるしか勝ち筋はない。
「手加減はもう終わり……君にどんな方法を使ってでも勝つ! フウゥンッ!!」
立ち上がった空襲者は背中の折りたたんでいる可変翼を展開、可変翼に取り付けられたエンジンを起動させ空へ飛び立つ。
空中で可変翼を操作しながら高度を調節し、空中で動きを止めながらも右手に持つ銃でこちらを狙い定める。
「まずいぜ、こっちには対空性能はない……アイツがずっと飛んでられて銃の弾数も無限なら勝てる見込みがない」
「ハハハッ! どうやら君には打つ手はないようだね! 終いにしてあげるよ……」
相手が引き金を引くとき、咄嗟に思いついた戦法があった。
「(まてよ、この戦法が通じるなら勝てる可能性はゼロにはなっていねぇ……この戦法に賭けるぜ)」
一発目の銃弾が放たれた刹那、なんと克也は避けずに防御の体制に入った。
「ハハハハハッ!! マヌケがァッ!! 気でも狂っちゃったかなぁーッ!?」
容赦なくこちらへ銃弾が降り注ぐ。だが、こちらはただ防御するだけだ。
降り注ぐ銃弾の雨にスーツ全体の装甲にダメージが入っていき、後ろに足が傾いてしまうほど。
そして、全弾撃ちきった空襲者は勝ち誇ったような表情を浮かべ空中に居座る。
銃弾による衝撃で克也の周りの地面は土煙で何も見えなくなる。
「……この瞬間を待っていたぜ!」
克也は煙の中でボロボロになりながらも立ち、体勢を立て直していた。
「なっ!? あれだけ喰らって何故、倒れない! 何故だ!」
「お前に対しての怒りと、俺の勝利の執着心だ! 今度はこっちからの反撃だ!」
克也は先ほどの土煙で見えなくなっていた時、密かに足元にボロボロの弾頭をかき集めていたのだ。
そして克也はかき集めた数ある弾頭を上に放り投げ、自分の目の前に来た瞬間に力を込めた右手で弾頭を殴る。
すると、何発もの弾頭は銃で撃つよりも速く空襲者へ飛んでいく。
空中で方向が散らばる弾頭は空襲者のいたるところを撃つ。
飛んでいた空襲者は可変翼を破壊、更には銃も破壊され耐久力が一気に減る。
「ぐああぁっ!」
可変翼を破壊された空襲者は落下していき、さらに耐久力が減っていく。
「よし、決まったぜ!」
弾頭のすべては空襲者に命中しなかったが、多大なダメージを受けて倒れ込んでいる。
だが、こちらも先ほどまでのダメージによる痛みで今にも倒れそうだ。
「おい、俺もそろそろ限界だ……勝負をつけさせてもらうぜ」
「……ハァ、ハハァ、勝負をつけさせてもらうだって? それは僕の方だ!」
体を震えさせながらも立ち上がる空襲者。倒れそうになりながらも倒れないようにこらえる克也。
残された力を振り絞って互いに向かい合い、立ち向かっていく。
克也と空襲者がぶつかり合う時、お互いは拳を前に突き出す。
激突する拳は衝撃を生み、互いに反動で後退り――その次に先手を打つのは空襲者。
空襲者の左足は風を切るような速度で蹴りを浴びせようとするが――こちらは右腕の一撃で素早く対応、空襲者の蹴りを受け止めると同時にダメージを与える。
「ぐあぁぁっ! 畜生めがッ!」
「今だ! アドベント発動!」
「させるかぁぁッ!」
空襲者は体当たりをするように拳をつきだす。
つきだされた拳はこちらの胴体を打ち、後方へ殴り飛ばした。
「今度はこっちのアドベントを発動! "リミッター解除"!」
アドベントを発動した空襲者は蒸気を吹き出し、真紅に輝きながら点滅。
「俺もアドベント発動! "煌黒の鉄拳"!」
克也の右腕には、練習をしていたあの時と同じ感覚になる。
必死になって力を抑え、制御するーー頭のなかで制御するイメージを思い浮かべながらだ。
「なあ、これがお互いの最後の一撃にしようぜ……行くぞ! ハアァァッ!!」
「僕も全力で行かせてもらう! くたばれッ!」
お互いは決着をつけるために駆け寄り、徐々に間合いをつめる。
互いの拳が交差し、互いの顔面に。そして、お互いの攻撃の行方ーー先に倒れたのは空襲者だ。
間一髪で空襲者の拳は、克也に届いてはいなかった。
「……俺の勝ちだぜ、そして」
『あなたの勝利です。相手の決闘者とのデュエルにかけていたピースを入手しました』
「何でだ……何でなんだよ……君みたいな奴に僕のようなエリートが……」
息を切らしながら呟く空襲者、その姿は哀れだと感じてしまうほど。
空襲者の持つ三つのピースはこちらのデュエルギアへ渡され、空襲者の持つピースは一つもない。
ピースをすべて失った空襲者は脱落となるーーはずなのだが、何故か空襲者のデュエルギアに脱落の表示はでない。
おそらく、空襲者が"クリミナス"であるからだ。
「クリミナスだから脱落しないってか……だが、ピースを手にいれてもなッ! テメェを何発か殴らないと気がすまねェッ!」
体をふらつかせている空襲者の胸ぐらを掴み顔面を殴ろうとするが……突如として背後から何者かの気配を感じる。
「その子を離してくれない? 私の仲間なの……」
掴んだ胸ぐらを離して後ろを振り向く。そこには自分よりも身長の高い仮面をつけた女性が立っていた。