すべてに挑むこの胸に
その後もアドベント、”煌黒の鉄拳”を練習し続け、遂に”煌黒の鉄拳”を制御する事に成功した。
「(使い続けてわかったことは、放った後にスキが生まれること……ただ、このアドベントはデュエル中に何回も使えるのが強みだぜ)」
改めてアドベントの項目を見て分かったことは、それぞれのアドベントには発動条件や回数制限があること。
この条件や制限に気を配りながら戦うことが必要とされる。
「とりあえず、他の決闘者でも探すか!」
デュエリストコードへのアクセスを解除。他の決闘者を探す為に草原を移動しようとしたが、自分の位置から数百メートル離れた先には誰かがいた――とりあえず、その誰かに勝負を挑むことにする。
「いきなりで悪いが、俺と勝負しようぜ!」
声をかけた者は振り向き、その姿を見せた――相手は自分と同じぐらいの身長の青年。
自分と同じくデュエルギアを左腕につけていたが、何やらかの違和感を感じた。
「そのデュエル受けてたつよ……君はこのデュエルにピースを何個かける?」
「俺はこのデュエルにピースを一つ賭けるぜ」
「一つか……何だ、期待したと思ったら初心者じゃないか。しょうがないなぁ、僕はこのデュエルに3つ賭けるよ」
目の前の青年の言葉に怒りを覚える。相手が自分よりはるかに上だと知っても、この勝負を逃げることだけは考えはしない。
「……なら、俺はこのデュエルにすべてのピースをかけるぜ」
自分の言い放ったことを聞き、余裕と共に勝利するという確信の笑みを浮かべる青年。
心の中は怒りと勝利への情熱の炎で燃え上がり、戦いの火蓋は切られた。
「正気か? でも、君に負ける可能性なんてさらさら無いから僕も全部賭けるよ」
余裕な表情を浮かべる相手、そして向かえ打つような表情の自分。
両者は次に、同じことを言う。
「「アクセス! ……デュエルスタンバイ!」」
互いに「アクセス」の掛け声とともにデュエルギアのスイッチを押し、その姿を変える。
姿が変わり、両者は相手の様子を確認する。
相手のスーツは背中に戦闘機の可変翼が装備され、バーニアに似た噴射口がついている。
恐らくだが、相手の特異な戦術は空中戦または空襲。
他には腰に着いたホルスターに二丁拳銃のようなものも見られる――空に逃げて二丁拳銃、弱った相手をそのまま倒すのが相手の戦い方なのだろう。
デュエルが始まる前に思うことはただ一つ――この勝負は負けられない。
「さあ、勝負だ! その余裕こいた面を一発殴ってやるぜェッ!!」
バーニアを使って素早く移動、そして至近距離からの一撃を狙う。
「甘いね、そんなんじゃ僕には勝てない」
相手は腰のホルスターから二丁拳銃を取り出し、こちらの動きを読んだかのように銃口を向けて連射する。
バーニアで移動していた自分の体に二丁拳銃の銃弾を連続で浴び、動きを止められたまま後方に弾き出された。
「くっ、なんて威力だ……連射する武器にしては威力が高いぜ」
「当り前じゃないか、僕は君とは違ってスーツが進化していて君は最弱のデュエリストコードのバスター……性能面でトップクラスの空襲者に勝てる訳ないじゃないか!」
たった今、相手の発言の中に気になったことがいくつかある。
一つ、スーツが進化するという事。二つ、バスターが数あるデュエリストコードの中で最弱であること。三つ、相手のデュエリストコードはトップクラスであること。
説明書にも書いていなかった情報を持っているという事は、説明書に載っていた”不正な決闘者”ということだ。
これなら、デュエルギアに違和感を感じたのにも納得がいく。
これが解った時、自分は思わず笑ってしまう。
「へぇ、なるほどな」
「何がおかしいのかな? 僕が強くて気でも狂っちゃったかな?」
「そいつは違うぜ……ところでアンタ、不正な決闘者だろ?」
刹那、互いに笑っていた状態が冷めたように静まり返る。
互いはスーツのマスクに顔を隠してでもわかるほど、睨みあっている。
「ほう、すごいじゃん。僕がクリミナスってわかっちゃうなんてさ……で、どうする? クリミナスとわかったから君は逃げるの?」
相手は自分の心に揺さぶりをかけてくるように煽っている。
例えこれが罠であろうと、この戦いは逃げるの事はしたくないーー自分が自分らしくいるためにも。
「いや、俺は逃げねぇぜ……宣言通り、俺はアンタの顔面を一発殴る!」