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お兄ちゃんは過保護  作者: ねがえり太郎
お兄ちゃんは過保護
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5.幼馴染の態度

思い切って学校で話しかけようとしたら、避けられた。




何で?




訳が分からない。

勇気はもしかしてやっぱりお兄ちゃんの事、怒っているのかな?

それともただ漫画読んでいただけなのに怒られて―――それが私のせいだと腹を立てているのかな?


勇気は男の子にも女の子にも好かれている。

私と違って。


学校では澪と一緒にいられるけど―――澪は基本的に1人でも大丈夫な子で、本を読んでいれば満足って言うマイペースな処がある。

一方私は、警戒心が強いくせに甘えたで寂しがり……と言うとても面倒臭い性格をしている。澪や勇気がいるから楽しく過ごしているけど―――勇気が近くにいないと言うだけで、途端に孤独が押し寄せてきて寂しくて落ち着かなくなってしまう。


今だってそう。

勇気はクラスの男の子と、野球部のマネージャーの女の子達と楽しそうに笑っている。朝顔を合わせた時に私が声を掛けようとしたら、ツイッて顔を逸らして逃げたクセに。バレバレだよ!絶対あれ、気付いていたよね。勇気はクラスの中心にいつも居て、そんな太陽みたいな男の子にいつも端っこにいる私が話かけるのは何だか恥ずかしくて―――今まであまり学校では話をしなかった。でも勇気がウチに来なくなったから、頑張って声を掛けようとしたのに。


私はそんな勇気の態度ひとつで心が折れてしまって、話し掛ける事が出来なくなってしまった。お兄ちゃんになら、ガンガン甘える事が出来るのに―――それはきっと絶対受け止めてくれる相手だから。私にとって勇気は、それに近いくらい信用できる相手だった。なのに今は勇気が目を逸らしただけで気持ちが萎れて声が出なくなってしまう。


その上一番頼りにしているお兄ちゃんとも、気まずくなって。

これって私が悪いのかな?

色んな人と仲良くできない私を構ってくれた貴重な2人との関係にヒビが入ってしまって、小さいけれど確かに私の中にあった『自信』がふにゃふにゃ揺らいで萎むのを感じている。私は今までその小さな『自信』と言う台に乗って背が高くなったと勘違いしていたみたい。今は見えるモノは床ばかり……澪が傍にいるのを許してくれるから、何とかここに居場所を作っていられるけど。もしかしてこんな私じゃいつか澪にも愛想尽かされてしまうのではないだろうか……なんて暗い考えが湧き上がりそうになって、プルプルと首を振って暗い雲を追い払った。


とりあえず、澪は傍にいさせてくれる。それを大事にしよう。

私は澪の前の席に座って、本を読む彼女の作り物のように美しい睫毛をボンヤリとみていた。


だけどやっぱり失いかけているもうひとつの大事な居場所が気になってしまう。顔を上げると、勇気が隣の男の子の肩に手を掛けて馬鹿笑いしているのが目に入る。フン!楽しそうにしちゃって、何さ!私なんかあの日からドロドロのグチャグチャのモヤモヤで大変なのに……!


妬みを籠めてジーッと勇気を見ていたら、目が合った途端またしてもフイっと逸らされた。


ちょっ……!無視?!

朝の挨拶スルーしたのも、私の気のせいじゃなくてやっぱワザとだったんだ……!


すると隣にいたマネージャーの女の子が、私と目を合わせてクスリと笑った。

頭がカッとなって沸騰した。


馬鹿にされた!


そう思ったのだ。その女の子は勇気の肩に触って耳に顔を寄せて何か囁き、私をまたチラリと見た。なのに勇気はますます意固地になったように、こちらを見ようとしない。


ハラワタが煮えくり返るとはこのことだろう。




「……っとに、腹立つ!」

「どうしたの?」




吐き出すように呟いた私に、本から顔を上げて澪が尋ねた。

私はとうとう黙っていられなくなって、お兄ちゃんの暴挙と勇気の態度の急変について彼女にセツセツと訴えた。いつも別世界の女神みたいに落ち着いている澪に、こんな纏まらない感情を訴えるのは、子供っぽい気がして嫌だったから隠していたのに。


でも仕方が無い。私は物知らずで、感情的なお子様なんだ。

大人になれなくてそれを指摘されてイライラしている子供なんだ。


それが真実だった。


すっかり吐き出してしまい、恥ずかしさとか悔しさとかいろんな感情が体の中にグルグルしていた。




澪もこんな私に愛想を尽かしただろうか。




そんな思い付きに悲しくなった。机に落としていた視線を持ち上げて彼女を見上げると―――何も言わず、澪はフフッと笑って私の頭を撫でてくれた。



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