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お兄ちゃんは過保護  作者: ねがえり太郎
お兄ちゃんはやっぱり過保護
43/62

43.私の部屋で



「ねえ、勇気。私に聞きたい事って何なの?」


ご飯を食べ終わって、洗い物をキッチンシンクに一緒に運びながら私は尋ねた。


「……」


勇気は何故か私の質問に答えず、無言でシンクにお皿と茶碗を置いた。

自分から聞きたい事があるってうちに来たのに―――何で無言スルー

キッチンを立ち去る勇気の後ろに付いて行き、Tシャツの背中を摘まんで引っ張る。勇気がピタリと立ち止まって振り向いた。それからチラリと洗い物を食洗器に入れようとしているお母さんを見る。


「……お母さん、いる所じゃ聞きにくい事なの?」


勇気は頷いて「明日にする」と答えたので、私は聞き返した。


「私の部屋じゃ駄目なの?今日勇気、眠れなくなっちゃうんでしょ」


イマイチ内容に察しは付かないが、勇気にとっては今日聞かなければならない事なんじゃなかったのだろうか。さらっと私の部屋で確認すれば済むんじゃないかと思った。

すると勇気はウッと詰まって、首を振った。


「……蓮さんと約束したから」

「でもちょっとなら、別にお兄ちゃんも怒らないんじゃない」

「なあに?内緒話?」


お母さんがキッチンから出て来て、ニコリと笑って尋ねた。

気まずげに黙り込む勇気を、お母さんは腕組みをして見上げた。


「いいわよ、凛の部屋で話しても」

「え?いいの?」

「蓮君が何か言って来たら、私が『いい』って言ったって言えばいいわよ?」


私がホッと胸の前で手を組んで勇気を見ると、勇気は苦々しい表情かおをして首を振った。するとお母さんが腕組みを解いて、ビシッと勇気の胸に人差し指を突き出した。


「私は勇気君を信用してる。でも勇気君は……ひょっとして自信が無いのかな?」

「そんな事は無いです」


勇気は慌てたように首を振った。


「じゃあ、問題ないわね。―――気になるようなら、扉だけ開けといてくれればいいから。ホットミルクとココア、どっちが良い?」


お母さんが柔らかい声で尋ねると、肩の力を抜いた勇気が「……ミルクで」と呟いた。私は勇気の隣ですかさず「ココア!」と手を上げた。


「温めて持って行ってあげるから、お話しちゃいなさい。早くしないと、こわ~いお兄ちゃんが帰って来るわよ……!」


そう脅かすように言ってお母さんは微笑んだ。


本当だ!急がないと……!


私達は頷き目を見交わした後―――2階へ続く階段へと、急いで向かったのだった。




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