40.幼馴染と私 2
もどかしさにパタパタ地団太を踏んでいると、ムンズと肩を掴まれて飛び上がった。
「なっ……あ!勇気!」
振り向くとそれは勇気だった。
それまで全く気配を感じせさせなかったので、本当に驚いた。
「い、いたの~?声掛けてよ……!」
びっくりしたぁ~!
心臓のドキドキが止まらない。咄嗟に仁見さんに言い返せなかったのが悔しくて頭が一杯だったから、勇気が近づいているのに全く気が付かなかった。
「……いちゃ、悪いか」
ムッツリとしている勇気。
あれ?またご機嫌斜めに戻っちゃった?
「別に悪く無いけど……考え事してたから吃驚しちゃって……」
「ふーん。考え事、ね」
意味ありげに私を見下ろす勇気。
何だ?何が言いたいんだ。
勇気が反対したのに部活に入った事、まだ怒っているのかな?
やっぱ許せない?
許せないけど―――お兄ちゃんに頼まれたから、面倒見てるのかな。そんで更に手間かけさせやがって……!ボール拾いくらい真面に出来ないのかっ……とか、着替えている内に改めてムカムカしてきちゃった、とか?
「な、何?」
勇気を見上げ、恐る恐る尋ねる私を暫く見下ろし続け、それからゆっくり首を振って溜息を吐いた。
「別に。腹減った、帰るぞ」
「……」
やっぱ機嫌……悪いよね……!
でも今は立場が弱いので、黙って私は頷いた。
だって勇気に手を離されたら、野球部で私誰とも話せず独りぼっちになっちゃいそうなんだもん……!
あー、もう全く!私って、進歩しないなぁっ!




