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お兄ちゃんは過保護  作者: ねがえり太郎
お兄ちゃんは過保護
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4.お兄ちゃんと喧嘩



あの日以来、勇気は私の家にやって来ない。

ちょっと落ち込んだ私を気にしてくれるのか澪がいつもよりちょっとだけ多く遊びに来てくれるけど―――頻繁に来てくれていた勇気がいないとやっぱり物凄く寂しい。


お兄ちゃんとはあれ以来ギスギスしている。

と言うか、私だけ一方的にギスギスしている。


お兄ちゃんが怒った顔がとても怖かった。そんな怖い顔を私に見せたのは本当に幼い子供の頃以来の事だった。

それに全然、全くお兄ちゃんが怒った理由に納得できない。

お兄ちゃんがイキナリ怒ったせいで、勇気と会えなくなって寂しかった。もともと私はクラスの子達に敬遠されているので、親しい友達は勇気と澪しかいないのだ。


お兄ちゃんなんか仕事があるから帰りも遅いし、休みの日は綺麗な女の人とデートしていていない事も多い。なのに私の数少ない友達を取り上げるなんて……!


ズルい。お兄ちゃん


頭がグチャグチャで、胸がモヤモヤしてお兄ちゃんの顔を見るのがつらかった。

気持ちが収まらないので、お兄ちゃんと目が合うと私はプイッと逸らしてしまう。


お母さんはそんな私とお兄ちゃんを見て、困ったように笑っている。


分かってる―――きっと私が我儘なんだ。

理不尽な事を言われている気がするけど、お兄ちゃんは私に危険があったり、困った状況に陥りそうな時だけ物凄く怖い顔で怒るんだ。

だからきっと―――ちゃんと話し合えば、お兄ちゃんが怒る理由が分かれば元通りに楽しい食卓が戻って来るのに。


今はお通夜みたいに静かな食卓。


私に話しかけたそうなお兄ちゃん。

必死でそれを避ける私。

それを眉を八の字にして見守るお母さん。


ちょっと前まで、いつも冗談を言って笑い合っていたのが夢みたいに思えて―――とてもとても悲しくなった。



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