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お兄ちゃんは過保護  作者: ねがえり太郎
お兄ちゃんは過保護
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2.お兄ちゃんと私


「古代世界では、腹違いの兄妹きょうだいは結婚出来たんだよ」




昔話を披露したら本好きの友達のみおが真面目な顔でこう言った。

ちなみに私には友達は2人しかいない。そしていつも学校で一緒にいる友達は澪だけだ。


「え!……そうなの?」

「だから大昔だったら、本当にお兄さんのお嫁さんになっていたかもね」

「え~……」


ただ『子供ってバカな事言っちゃうモンだよね!』って話で締め括って笑って貰おうと思っただけなのに、神妙な表情で澪がそう言うからちょっと引いてしまった。


「……さすがにもうそれは無いなって、分かってるよ」

「そう?凛っていつもお兄さんの話するし、仲が良いじゃない?」

「それはそうだけど……血が繋がっている家族だったら、そんな気持ちになれるワケないよ……!」


私が慌てて手を振って否定すると、澪は表情筋があまり活躍しないお人形のような顔で首を傾けた。


「そうかな?」

「有り得ないって!澪だってそうでしょ、気持ち悪い話は止めよ」

「……」


こんな風に否定したけど、実は『気持ち悪い』とまでは思っていない。


18歳差と言えば親子でもあり得るくらいの年の差だけど、妹の欲目を抜かしても―――お兄ちゃんはとっても素敵だと思う。

野性的な眼差しはゾクリとするくらい色気がある(と従姉のお姉ちゃんが言っていた)し、気が利いてスマートで……買い物や食事に連れて行って貰えば女性店員さんの目が漏れなくハートになっちゃうくらい。

そんな時はついつい『この人は私のお兄ちゃんなんだからね!』……ってアピールしてしまう。これは独占欲?それとも優越感?やっぱりまだまだお兄ちゃんの一番でいたいって思っちゃうんだ。お兄ちゃんが大人の女の人とデートをしているのは知っているけど、一緒に居る時は私のモノ!って思わせて欲しい。


そんな私の身勝手な我儘に気付いている筈なのに―――お兄ちゃんはそれを受け入れて優しく笑ってくれる。何だかお姫様になったみたいに幸せな気分にしてくれる。

だから澪の言った事を『有り得ない』と思いつつ……本音を言うとちょっとだけ嬉しかった。ただ私は恥ずかしくて話を逸らしたかっただけだなのだ。




このように私は本当にお兄ちゃんが大好きで―――喧嘩した事もなければ、お兄ちゃんと気まずくなるなんて事もこれまで一切無かったのだ。


そう、あの日までは―――。


お兄ちゃんがあんなに過保護だなんて、私は全く思っていなかったのだ。



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