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エピローグ。または、私たちについて。
その日、山岳地帯の境目の大きな湖はどこまでも青い空を輝かしく反射していました。
その畔には赤、黄、青、白、橙などの色とりどりの花々が咲き乱れていて、魔法使いクレティアはそれを眺めながら、キセルをゆっくりと燻らせていました。キセルからは良い香りのする煙が白い雲のようにぽっかりと浮かんでいきます。
クレティアは、ふとイズーのことを想いました。
「なあ、イズー。お前は知っていたかい?」
クレティアの言葉は煙を追うように、広い広い空へと昇っていきます。
「お前の鱗は、真っ青に晴れた空の色をしていたんだ」
彼女の言葉に応える者は、いませんでした。