表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ホラー短編作品集

つり橋。

作者: 候岐禎簾

「ちょっと押さないでよ。怖いじゃない!これ二人同時で渡っても大丈夫なの?」


「ハハハ…。大丈夫だよ。つり橋って古くても意外と頑丈なんだよ」


楽しそうな二人の声が周囲にこだまする。

私達は共通の休日を利用してT県の山間部にあるつり橋へ来ていた。もちろん目的はつり橋観光なのではなく山登りだ。

偶然、山の中で見つけた古いつり橋に二人は興味をもった。つり橋を渡る機会なんてめったにないから、この橋を渡るだけでも良い思い出になる。


「はい、笑顔笑顔。ビデオ撮ってるんだから」


「怖いんだから笑顔なんて無理よ。このつり橋けっこう高いんだから!」


そう言いながらも香緒里はぎこちない笑顔を見せてくれた。


俺は彼女にビデオカメラを向けながらつり橋を渡り始めた。

それにしても眺めの良い場所だ。

周辺の風景をカメラに収めるためにグルグルと周りを撮す。


その時だ。


「あれ…橋の向こう側の森の中に誰か…いる?」

カメラに俺達以外の何かが写ってる。遠くてよくわからないが誰かがこっちを見ている。


カメラをズームにしてみる。


いる。たしかにいる。着物を着た女がじっとこっちを見ている。

「おい、香緒里。あそこ誰かいない?ほら、つり橋の向こう側の森の中に」

俺は指差しながらそう言った。


「えっどこ?誰もいないよ」


香緒里は不安そうな顔を浮かべながらそう言った。


「えっ…。いや、でもカメラに写ってるよ。ほら…これ見て…あれ?」


カメラに視線を戻すとそこには誰も写ってなかった。ただの見間違みまちがいだったのだろうか?


「ちょっと脅かさないでよ!ただでさえこのつり橋怖いのに…」


「あぁ、ごめん。気のせいだったみたい。」


俺はカメラを香緒里に向けた。


不安そうな顔をした香緒里がカメラに写る。


いる…。香緒里の後ろに誰かがいる。


さっきの着物を着た女だ。


じっとこっちを見ている。


カメラにしっかり写っている。


「おい、香緒里!後ろ……」


「えっ!?」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] これは怖いです。実際にこんなことあったら、叫んでしまうと思いながら読みました。つり橋というシチュエーションと橋の向こう側の森の中に最初はいたという設定が、非日常への入り口を思わせました。
[一言]  こんばんは。幽霊を目で直接見るのも怖いですが、カメラのレンズ越しで間接的に幽霊を見るのも違った怖さを感じ、想像するだけで背筋がゾクッとしました。
2015/05/22 18:11 退会済み
管理
[一言] 先が気になる終わり方ですね。欲を言えばこの後吊り橋の上でパニクる2人の顛末 が 見たいところです。
2015/05/22 08:19 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ