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第一章
よく通る渋い声の弁護士が代表弁護士の藤森法律事務所…。
そこに眼鏡に黒いスーツの弁護士が在籍している。
彼の名は伊賀倉亮廣、32歳、弁護士歴10年のベテランだ。
主に扱う事件は刑事事件、民事事件、離婚案件など数多い。
「伊賀倉君、ちょっといいかい?」
所長弁護士の藤森から呼ばれ、彼は所長執務室へ
ボスの机には山積みになった書類。
扉が閉められ、2人きりの執務室。
「済まないね。実力、人柄ともに申し分のない君を所長執務室に呼びだして。」
いえ。自分は先生に育てられたので。
先生には感謝しています。
「君に担当してほしい案件はこれなんだ。」
亮廣は所長から預かった書類に目を通している
裁判は刑事事件で、被告人は20代の男性。
罪状は傷害致死だ。
「先生、被告人は警察の事情聴取時に自供したんですか?」
いや。一貫して否認している。
検察の取り調べで起訴か…。
「いろいろと調べてみます。」
そう言い、彼は所長執務室を後にした。