付き合おうか!?
私、月守水穂が彼、東条数紀に出会ったのは、小学校五年生の頃だった。その頃の彼にたいする印象は、ただの変なやつだった。私が、その印象を変えるのは、夏休みが終わる頃だった。
その頃、と言うか、その前もだが、私はイジメられていた。原因はそのイジメっ子が好きだった子が私に告白したことが原因らしい。今となっては笑える話だ。だが、その時の私は深刻なダメージを受けていた。本気で思い悩んでいた。そして、ある日、私が忘れ物を取りに教室に戻った時だった。
彼の声が聞こえた。
「彼女をイジメるのはやめてくれませんか?」
どうやら、私の事を喋っているという事に気付くのまでに、数秒かかった。
何で彼が?イジメっ子達と?
彼とはろくに話した事もないのに。
「は?何?あんたあの子に惚れてんの?」
瞬間、私の顔が少し赤くなるのを感じた。
「いや、そんなわけは無いんだか」
なによ、馬鹿と思ってしまった私が少し恥ずかしい。
「じゃあ、なによ?」
「うーん、ま、あんな顔を見たくなかったって、ところかな」
「それを惚れてるって言うのよ!」
「うーん埒があかない」
そう言うと、彼は右手を…
気がつくと私は自分の部屋にいた。
冷や汗だらけになって私はあの後の事を必死で思い出そうとしたが、ノイズがかかったかのように思い出せない。何かモヤモヤしながら、次の日学校に行くと、イジメっ子達がいない。嫌な予感がしながらHRの時間になって、先生がやってきて、こう言った。
「皆さん、残念なお知らせです。佐藤さん達が交通事故に遭い意識不明の重体です。」
瞬間、私の目の前が真っ暗になった。
彼がやったんだと私は、直感的に気が付いた。私は、放課後、彼に問い詰めた。
「あなたがやったの?」
「何を?」
つまらなそうに彼が言う。
「佐藤さん達の事故の事よ!私、見たのよあなたが佐藤さん達と話している所を!」
「だから?」
「だからってあなたが何かしたんでしょう!」
「うん、した。」
「!!」
「大丈夫だ彼女達は死なない。」
「本当に?」
「本当だ。」「何でそんな事を言えるの?」
「これ。」
そう言うと彼は小さな瓶を取り出した。
「何これ?」
「毒薬。」
「!!」
「大丈夫だ嗅いだり飲んだりしても死なない。一時的に意志みたいになるだけだ。」
「何で、あなたがこんな物を?」
「父親を殺すため。」
「何でっ!」
「あ〜も〜うるさいっ!分かった。はぁ全部話せばいいのか?」
私はコクリと頷く。
「そのかわり、手伝えよちゃんと。」
私は首を縦に振ってしまった。好奇心に負けてしまった。
そして、彼は、私に今まで起きたことをすべて話してくれた。心が壊れたことも、自分が死にたがりだって事も、そして私がイジメられていたのが、ほんの少しだけ、彼にかぶって居ても立ってもいられなかった事も。
そしてあれから、4、5年たち、彼の父親が彼のお母さんと別れて彼には自殺願望のみが残った。 そして昨日、彼の元に死神がやって来た。間違いなく彼は、その誘いに乗るだろう。何故なら彼は死ぬ事が夢なのだから。
残り59日いつもの様に、自分は二人分の朝食を作り、母さんを起こし、朝食を食わせた後仕事に行くのを見送った後、学校の準備をし、さあ、行こうかと、ドアを開けると
「おはようございます数紀さん。」 と鎌を持った少女かいたと言っても、俺と同い年だが、多分、16ぐらいだと思うんだが
「とりあえずデコをだせ。」
「え?こうですか?」そう言ってだして来たデコをおもっきりデコピンしてやると
「とりあえず、鎌置いてくるか、捨ててくるか、しまえ」 そう言って俺はとっとと歩き始める。
待ってくださいよ〜とか聞こえるが無視する。多分半泣きだろう。ズルッ あ、こけた。酷いです。シクシクシクとか聞こえるけど無視する。
「おはよう。」 「おう、おはよう。」
「何、あれ?」
「イジメられっ子の末路。」
ふーん、と水穂 「気に入ったんだ。」
「誰を?」
「彼女を。」
…俺は無言で歩き始める。冗談だってと言いながら俺と歩を進める水穂。
「でさあ。」
「何だ?」
「本当に死ぬ気なの?」
「お前ならわかっているだろうに。」
「分かっているから聞くの。で、本当に死ぬ気なの?」
「ああ」
そっかと、水穂
「じゃあさあ、付き合っちゃおうか私たち。」
………
「今、なんと?」
「だから付き合うって事」
「誰が?」
「私と。」
「誰と?」
「数紀と。」だめかなと、顔を真っ赤にしながら上目使いで見てくる水穂。
「いいけど。」俺の口が勝手にいっていた。やったぁと俺に抱き着いてくる水穂。嫌々違うだろこれとか思いながら、 「だが、後、二ヶ月しか俺の命がないぞ。」
「…だからだよ。」
「何か言ったか。」いんや、何もー、と水穂は笑顔で走っていった。
「一体、どうしたんでしょう?」と後から追いついてきた。夢野が言うが、お前は知らんでいいと、いいつつ、学校の門くぐる