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クロニクル・ファンタジア  作者: clover
第1章 リーシア村編
9/19

魔術適正

 初めての買い物はまさかのレアものゲットでした。

 私は凄く運が良かったのか、

 それとも何かの思惑でも動いてるのか気になりはした。

 だが、デメリットは小さそうだし、今は考えないでおく。


 武器屋で『風纏いの大鎌』を手に入れたところで、

 クロウェルがある提案をしてきた。

 魔術関係の専門の店にも行ってみてはどうか、ということだ。


「魔術の教本を入手できるからね。

 適正がなにか調べるのも必要だと思うし、魔術のコツとかも聞けると思うよ。」


 ごもっともで。

 クロウェルはホントに親切で助かる。

 裏があるならまだ納得がいくんだろうけど、

 数日過ごしてきた私としては素なんだろうと思う。

 これで騙された経験は少ないというのだから笑えない。


「そういえば、クロウェルの適正ってなに?」


 治癒関係に適性がありそうだと思ったけど、どうなんだろうか。

 一緒に戦っていくことになるんだろうし、

 確認しておくべきだと今更ながら思った。


「僕は癒属性に適性があるかな。よく使うのは付与系の魔術だよ。」


 付与魔術ですと!?

 つまり後衛職だったらヒーラーかエンチャンターってことじゃないですか。

 付与魔術で強化、剣技で相手を倒すセルフバフ型の剣士なんだな、こいつ。

 経験さえ積めば強力な前衛になれるんだろうな、経験さえ積めば。


 そんな話をしていると魔術関係の専門の店(魔術屋というらしい)についた。

 気のよさそうなおばあちゃんがカウンターと思しき場所で腰かけていた。

 魔力の流れが驚くほど洗練されている気がする。ベテランみたいな感じだ。

 素人の私じゃ言い切れないのが悔しいが実力があるのは確かだろう。


「変わった御嬢さんだねぇ。そこまで綺麗に‘混ざっている’は初めて見るよ。」


 ………!?!?!?!?

 まて、このおばあちゃん、今、混ざり者だって一目で判断したのか!?

 武器屋のおじさんは魔術使えるかどうかしか判断してなかったぞ!

 どうなってるんだ、この世界の住人は。


 私が戦慄している間におばあちゃんは水晶を取り出して手をかざしていた。

 そのうえで私を見ている。

 クロウェルも混ざり者か判断できると思ってなかったらしく驚愕している。


「あらまぁ、異世界人だったのかい。

 それにどんな属性にも適性があるなんて、珍しいねぇ。」


 …………この人には逆らわないでおこう。なんか怖い。

 水晶に何らかの機能でもあるんですかね。


「この水晶はね、適性を見れるんだよ。

 一緒に出身や種族まで見るから、一長一短なんだけどねぇ。」


 のんびりとおばあちゃんはそういう。

 つまりレアな魔具の力でいろいろと分かっただけという事なんだろうか。

 どちらにせよ凄い事に変わりない。

 私にはできないと思うんだよなぁ。魔力適正は見れそうだけどさ。


「あの、混ざってるって言ってましたけど、どうしてわかったんですか。」


 出身まで見えるって事なら異世界人であるのがばれたのもわかる。

 種族が見えるって言ったし、混ざり者に関してもわかるんだろう。

 いや、混ざり者に関しては初見で水晶なしで気づいてなかったか?

 …………やっぱり、この人はただ者じゃないんだろうな。


「混ざり者はね、どうやっても複数人の魔力が混ざってしまうから、

 私らみたいな長生きした魔術師には歪に見えるんだよ。

 歪みが少なければ少ないほど体や魔力が安定しているのさね。

 それでも相性の悪いところは歪んでしまうから、わかるんだけどねぇ。」


 つまり、体外に流れる魔力の流れだけで判断したのか。

 そういえば、どんな属性にも適性があるとか言われなかったか。

 やりたいことに合わせて好きに魔術を選べるって事なんだろうか。

 自由度が高い方が私には嫌なんだけどな。


 適性を見てもらうだけなのもなんだし、なんか見繕ってもらいたいな。

 この人なら、いいものを見繕ってくれそうだ。

 魔術の発動媒体、落とさないですむのがあればいいんだが。

 あとは、魔術教本とかの勉強用の道具だな。


「そうなんですか、ありがとうございます。

 あの、指輪とかのアクセサリーみたいな発動媒体ってありませんか。

 あとは、魔術を勉強するのに向いたものとか。」


 そう告げるとおばあちゃんはカウンターを立って、裏の方から何か持ってきた。

 武器屋の時みたいなことになるんじゃなかろうか、それはそれで嫌なんだが。

 面倒事とかは反対なんだよ。


「御嬢さん、首にかけているそれがなんなのか知らないのかい?

 それは『クレメントの鍵』っていう、あるダンジョンのマスターキーでね、

 そのダンジョンの仕掛けを無視したり、魔物を制御できるんだよ。

 それに、強力な魔術の発動媒体でもあるんだ。

 この世界に来て短いし知らないのも仕方なんだろうけどね。

 魔術の勉強に向いたものは教本くらいしかないねぇ。」


 まじか。私はすでに持っていたのか。

 鍵の使い方に気づいてればあんな目に合わないで外に出られたじゃねーか!

 気づけなくても仕方ないとはいえ、これはヒドイ現実だ。泣きたい。


 教本しかないのは、諦めるしかない。

 実践あるのみてことかね。


「教本だけでも大丈夫です。あとは自力で何とかしてみる、から。」


 うん、此処に長居してたらまた心臓に悪いこと言われそうだし。

 今回はクロウェルがお金を出してくれることになっている。 

 ほんとは武器代も払うはずだったのだが、あれはタダで手に入ったしな。


 何とか教本を購入して、あることを思いついた。

 調合をやってみたいな、と。

 旅をすることになればいつか必要になる技能だとは思うし、

 魔力を回復できる系の薬を作れるようになれば、魔術うち放題になるはず。


「薬草の調合くらいならできるし、教えようか?」


 魔法薬とかの高位のは無理だけれど一応作れるよ、と言われた。

 さっき考えてたことが漏れていたらしい。

 クロウェルはいろいろできるんだな。

 いや、出来ないと生きていけなかったのか。


 今更ながら、この人に助けられた自分は運が良かったのだと思った。

 こんなお人よしでいろいろできる人物にはそう易々あえるとは思えない。

 そんな人にさえ警戒して信じきれていない自分が醜く思えた。

ちなみに魔術屋での彼女はずっとクロウェルの後ろでびくついていました。


新しいアイテムの説明です。

今回は判明したの方が正しいんですけどね。

『クレメントの鍵』

 クレメントの賢者の遺跡(通称:クレメントの遺跡)のマスターキー。

 クレメントの遺跡の構造操作、仕掛け運用、魔物への干渉が行える。

 また、古代の遺物であり、強力な魔術発動媒体にもなる。

 禁呪にも耐えうる程の魔術的な強度・柔軟性をもつ。

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