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クロニクル・ファンタジア  作者: clover
第1章 リーシア村編
7/19

魔力の使い方と、彼女の経歴

 現状、クロウェルという青年剣士に保護されてこの世界の説明を受けたってところだ。

 さて、ここからは俺自身のことについて、あとルディアさんについて聞いてみよう。

 まずは、混ざり者かどうか、水晶の使い方らへんかね?


「……えと、私はたぶん、この世界の魔術師と、異世界人との混ざり者だと思う。

 初めてこの世界で目覚めた時に得られた情報から考えるとなんだけど。」


 鞄はベッドの横にかけられていたので中を確認する。

 とられたものはないようで安心した。

 その中からあの遺言が再生された水晶を取り出す。


「これ、魔力を流せば再生できるらしいんだけど、やりかたわからなくて。

 再生すれば、私のことに関してはいくつかわかると思う。」


 確証はないけどな!

 専門用語っぽいのはなかったし俺でもある程度理解できたから大丈夫なはず。

 クロウェルは水晶を見るとどんなものか一目でわかったらしい。

 混ざり者と聞いただけでも驚きだろうに遺言の再生をお願いするなんてな。

 少し申し訳ない気分になったが、構うものか。


「……そっか、じゃあ、魔力の使い方の練習も兼ねて、君が再生してみよっか。

 叫んだりして、魔力を現象に変換できるんだし、コツを掴めばできるよ。」


 なん、だと!?

 クロウェルはそういうと水晶を俺の両手にしっかりと持たせて、

 其処に自分の手を当てて、何か集中し始めた。


 ちょ、まて、さわるな。

 俺がビビッているのそっちのけでクロウェルはなんか言い始めた。

 触られてんのだめなんだよ、こわいから。


「最初のうちは僕が魔力を君に渡すから、そこから魔力の流れを掴んで見て。

 流れが掴めたら、それを水晶に流して御覧。

 変化させなければただの魔力として水晶は受け取ってくれるから。」


 えぇっと、つまり、体で覚えろって事か?

 魔力の感覚は人それぞれだから、口で説明できないってのもありえるのか。

 とりあえず、頷いて手元に集中してみる。

 正直言って、触られるのは怖いんだが、仕方ない。

 これが終わったらこいつにも言っておこう。


 眼を閉じて手元にだけ意識を持っていく。

 手の甲に何かが流れ込んでいる感じがするが、これが魔力、か?

 なんかこう、攻撃とかには向かない感じの質だな。

 クロウェルはきっと攻撃系の魔術は使えないんだろう。

 って、何考えてんだ俺は、集中せねば。


 流れてきているものと似た、俺の中に流れているものを意識する。

 えぇっと、混ざっている感じがして読み切れない。

 混ざり者ゆえなのか、異世界人ゆえなのか分からないが、どちらかが原因だろう。

 これを加工しないで、ただ手の中にあるものに流し込む。

 少しづつ、ゆっくりと、慎重に。


 ……ぶ、ぶぶぶぶ


 水晶から音が漏れ出した。

 成功したのだ。


 再生が終わった後、クロウェルは何とも言えない顔をしていた。

 遺言を聞かせた様なもんだしそうもなるか。


「えと、その、大丈夫ですか?」


 一言もしゃべらないもんだから心配になってきた。

 声をかけると、はっとして、慌てて手を放した。

 にしても、女言葉って疲れるな。


「う、うん。大丈夫。君、元は男だったんだね。

 ただ、君を助けてくれた魔術師のことはあまり話さないほうがいいと思う。

 あ、苗字を出したりとかは問題ないよ。そこは安心して。

 えと、此処ではないけどある国で禁忌とされていた術を研究していたみたいだから。

 彼女にかけられていた呪いもそれに関係することだと思う。

 一部の冒険者には有名な話で、見つけたら賞金が出るらしいから。

 あと、混ざり者っていうのもあってるよ。

 ただ、どこまで彼女が君に引き継がせているかはわからないけどね。」


 ルディアさん、あなた何者なんですか!?

 指名手配レベルってことじゃありませんか。

 今聞けて良かったよ、クロウェルありがとう!


「もとは男だったんだよ。目が覚めた時、女になっていて、かなりの衝撃を受けた。

 ルディアさんについてはわかった。あと、引き継ぎって?」


 気になる単語だ。

 大事なことなきがするぞ。

 元性別がばれたから口調が変になってるが構うものか。


「術の設定の仕方によってはもとになった人から魔力とかを引き継げるんだ。

 そこまでできる術者は少ないけど、視野に入れておいた方がいいかも。」


 ………なん、だと!?

 驚いてばっかだな。衝撃的な事実ばかりだからしゃーないのだが。

 記憶の端には留めておこう。はっきりとさせたい部分もあるしな。


「えと、教えてくれてありがと。」


 御礼は言わないと、だよな。

 普通はここまでのことは言わないで役所とかにつきだすだろうに。

 お人よしにもほどがあるんじゃなかろうか。


「気にしなくてもいいよ。」


 そういえば、さっき言おうと思ってたのにまだ言っていないことがあった。

 素直にいろいろ白状してしまおう。

 同情とかされても困るが、

 助けてくれた上、此処までしてくれた相手に黙っておくわけにもいかない。

 今後も関わる可能性があるし、損はないはず、だ。


「それならよかったんだけど。

 元居た世界で、あまりいい扱いを受けてなくて

 触られたりするのとか、ヒトを信じることとか、苦手なんだ。」


 元居たところじゃひどい虐め受けてたからな。

 人間不信、対人恐怖症、接触恐怖症あたりはあるんじゃなかろうか。

 内容については思い出すのも嫌だけどな。

 一部はトラウマレベルなんだよ、割とマジで。


 このお人よしはそこまで酷いことしそうにないし、なんとかなる、よな?


「……そっか、じゃあ、さっきは怖い思いさせちゃったかな。

 ごめん、気づかなくて。」


 クロウェルはそういって心なしか慌てたような雰囲気になる。

 しかも、本当に申し訳なさそうだ。

 俺のせいなのになんだか申し訳ない。


「さっきは理由が理由だから仕方ないと思う。

 えと、過度な接触とかじゃなきゃ大丈夫だから、気にしなくてもいい。」


 さっきのは魔力の感覚を教えるためにも必要だったんだろうし、

 仕方ないっちゃ仕方ないんだと思う。

 だから我慢できたわけだし。


 いろいろと情報は得られた、今後どうするかだな。

 暫くはこの村を拠点にしてダンジョンだとかに潜って修行かね。

 魔力の扱いを覚えないことにはどうしようもないわけだし。

 あとは、生活技能系の習得か?

 出来れば調合関係は覚えておきたい。


「異世界人ってなると住むとこないよね?

 もしよければなんだけど、部屋が余ってるし、

 村に滞在する間はうちにいても大丈夫だよ。」


 クロウェルは何処までお人よしなんだ!?

 まさか、そんな提案してくるとは思ってなかった。

 宿にいるよりは費用抑えられるけど、一緒に住んでいいのか?

 ……へたれそうだし、こっちが心配になりそうな気もするな。


 ま、実力はあるほうだよな、盗賊との戦いを見た感じだと。

 なーんか裏がありそうで気になるんだよなー。


「本当か?でも、邪魔になるんじゃ……。」


 断るのも理由がないしなー。

 とりあえずいろいろ聞いてみるか。


「僕、実はダンジョン以外だと上手く戦えなくて。

 独りじゃ不安だっただけなんだ。

 一人暮らしって、思ったよりも辛かったのもある、かな。」


 ……いま、こいつ凄い事言わなかったか。

 ダンジョン以外だと上手く戦えないって。

 つまり、修行とかで付き合わせても問題ないんだな。

 んー、事情を知っているのはこいつだけだし見張りも兼ねられそうだし、いいか。


「じゃあ、お世話になります。よろしく。」


「ホント!?ありがとう、よろしく!」


 クロウェルって、なんだろう、爽やか系イケメンなのに可愛い性格してるな。

 とりあえず、当面の住処と仲間?を得られた。

 もう少し体調がよくなったら村でもまわるか。

というわけで、ラティエとクロウェルの即席パーティーです。

暫くの間はこの2人がメインで活動します。

ルディアさん、指名手配はされてませんが、

禁忌とされていたものを研究していただけあって

お国から追われてはいました。

一部の冒険者には賞金を出すといって個人に依頼を出している程度ですね。

リーシア村には冒険者がいくらかいますが

依頼状況に関してはやりようによっては噂程度で漏れていたりします。

数が少ない村ゆえの性質かもしれません。

ちなみにルディアさん、天才魔術師だったりします。

転生させる魔術を作り上げ、実際に扱えるんですから当然ですよね?

引き継ぎに関してはそのうち別の人が情報くれますので今はまだ、とだけ。

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