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クロニクル・ファンタジア  作者: clover
第2章 王都への旅編
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街道の異変

 ロダ街道は本来にはないほど、魔物で溢れ返っている。

 特に昼間ならめったに見ない『ナイトメア』と呼ばれる種族の物が多くみられる。

 本来、『ナイトメア』は暗いダンジョンや夜間の街道・廃村などに現れる魔物だ。

 しかも数が少なく、条件が整っていたとしても発見できる例は稀なのだ。


 能力としては『ナイトメア』の名の通り、悪夢を見せるのがメジャーなものとして知られている。

 これは上位種の魔物なら軽くこなせるそうだが、下位種の魔物では滅多にみられない能力だ。

 ちなみに『ナイトメア』系の魔物は下位の段階でこの能力を行使可能である。

 上位種になると応用技なども行使できるそうだ。

 つまるところ精神攻撃に特化しているともいえる。

 身体は不定形の闇と表現してもいい。物理系の攻撃には耐性がある。

 弱点は光属性。闇属性は吸収する。

 精神攻撃以外だと闇属性の魔術、もしくは身体を武器に変化させての物理攻撃が主だ。


 とはいえ光属性の魔術さえ扱えれば下位のナイトメア相手に苦戦することはない。

 上位種相手だと、知性が発達しているため弱点攻撃を喰らわないよう対策を取ってくる。

 たとえば闇属性魔術で光属性魔術を打ち消すなどがそれにあたる。

 他には詠唱妨害を術的・物理的に行使してくるので術を使わせてくれないこともありえる。

 そも、上位種は直接戦闘になる前に対象に精神攻撃を仕掛けられる状況に持ち込み、『戦闘する前に行動不能に追いやる』という行動をとってくるため、精神攻撃に対して強い耐性がないとまともに相手をすることもままならないらしい。

 まぁ、精霊の加護を応用してその状況を防ぐなど対処法も限られてはいるが存在する。

 探知系の技能さえあれば、仕掛けられる前に対処をすることも可能だからだ。

 私は存在には気づけても、相手がナイトメアなのか判断ができないで策に嵌りそうだ。


 さて、なぜこんなことを考えているのか。

 それは昼間の街道でこいつらを10対以上、狩ったからだ。

 おかしい。昼間の街道なのにこんなに遭遇できる時点で変だ。

 ディルムートは異変が起きていると軽く言っていたが、これは大事件だろう。


 魔族が街道にいるかもしれない。

 そうきいているがこれはナイトメアの上位種の仕業なのではと思えてくる。

 おそらく悪夢を見せられたら私は大ダメージを負う自信がある。

 この世界に来る前がひどかったからとしか言いようがないが。

 人間不信と接触恐怖症をそれぞれ軽度とはいえ発症しているのだ。

 精神系の攻撃に耐性なんてあるわけがない。


 もし‘俺’の記憶を追体験させられたら‘ラティエ’として成り立っている今の精神が崩壊しかねない。

 自分の精神がいかに脆いか自覚しているからこそ、ナイトメアほど恐ろしい種族はいない。

 下位種に限定すれば、他の種族相手なら、一掃できる自信がある。

 これまで出てきているのはナイトメアの下位種だけで行動させる前に撃破出来ているから問題はない。

 だが上位種がいる可能性が高いからこそ、私は恐ろしい。


 嫌な予感がする。まるで足場が壊れそうな、そんな予感。

 だからこそ魔力の節約など考えずに術を行使し続ける。

 そも、『空気中に漂う魔力を回収』すれば魔力など気にしないでもいい。

 漂っている魔力をもったいなと思って、気が付いたらできるようになっていた。


「主は器用な事をするのう。普通は魔力還元など早々できるものではないぞ。」


 ディルムートは呆れたように告げているが、そういうアンタもやってるだろう。

 くえないご老人である。

 彼は猫姿のまま爪で斬り裂いたり、光属性の下位魔術をぶっぱなしている。


「ナイトメア系の魔物が多いのって生まれて初めての状況だなぁ。」


 クロウェルはディルムートに光属性を付与してもらった剣でナイトメアを斬り裂いている。

 ダンジョンで身についた『障害物を利用する』という戦術が使えないため、苦戦しているようだ。

 そしてお前は暢気に現状を判断するな。

 そんな気楽に考えていい状況じゃないと思うんだけど。

 メンタル面に自信でもあるのか、それとも精神攻撃を喰らう気がないのか。

 どちらかは知らないが対策があるのかもしれない。

 いや、何も考えていないこともありうる。


「私は精神攻撃されたら駄目になる自信がある。

 魔族が居たら絶対にナイトメア系だと思うんだけど。」


「そうじゃな。上位魔族に一人おったはすじゃ。ナイトメア・ロードだったか。」


 私の心が折れる音が聞こえた気がした。

 上位魔族かよ。よりにもよってナイトメア系に上位魔族がいるのか。

 神様は私に死ねとでも言っているのか。


「えっと、それってつまりその人がいる可能性が高いってことですよね。」


「クロウェル、私はその現実を認めたくない。」


 ほんとに認めたくない。

 クロウェル、現実を直視させないでくれ。


 そんなことを話しながら私たちは街道を突き進んでいく。

 その先に何があるのかも考えないまま。

久しぶりの投稿です。

思った以上に筆が進まなくて困りました。

無事、異変の元凶に会うことはできるのだろうか。

なんだかその前にラティエが発狂しそうで怖いです。

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