夢現・蠢く闇と王都での召喚者
幕間になります。
今回はラティエたち以外の様子です。
今後彼らがどういうふうにかかわってくるのでしょうか。
~???~
全てを飲み込む様な闇が広がっていた。
それらは魔道具で世界を見渡す。
それらは己が目的の為、全てを切り捨てることができる。
共通の目的を持つが故に手を組んだ。
「あのキメラの群れ、全部やられちゃったよ?
折角、僕がいい感じに暴走させてあげたのに。」
「あの人間、いや、混ざり者か。あれの魔術によって大半が葬られたようだな。」
「ふぅん。おもしろいな。あそこまで綺麗に混ざっているのは珍しいぞ。」
「ねぇ、僕に行かせて。あの子、すごくいい闇を持っていそうだから。
悪夢に落としたらどんな反応するかなぁ。ね、いいでしょ?」
「かまわんが、やりすぎるなよ?」
「はーい。ちゃんと加減はするって。仲間になってくれないなかなぁ。
いい感じに落せたらいけそうだよね。」
「欲張らないほうがいいよ。君はそれで身を滅ぼすきかい?」
「そんなつもりはないよ。それじゃ行ってくるね。」
闇は胎動する。全てを喰らわんと蠢く。
その矛先は一体どこへと向かうのか。
放たれるは悪夢の主。彼らが物語の主と出会うのはまだ先の話。
~王都ロストガスト・王城・召喚の間~
荘厳な広間で少女が誓言を唱える。
古より伝わりし異界の住人を呼ぶそれを。
世界の大変を解決するために異世界人の力を欲するが故に。
国を守るのは王族の務め。
そのためならば、どのような手段でも使う。
少女はそう強く考えていた。
だからこそ異世界人の召喚というリスクの高い賭けだってやってみせる。
召喚されたものの責任だって背負ってみせる。
「………来たれ、界を違えし旅人!」
光は満ち、魔法陣の中心に門は開く。
門より導かれるはいかなる人物か。
それを知るのはまだ先の事。
その日、王都に異世界人が一人、召喚されたことだけは確かである。