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クロニクル・ファンタジア  作者: clover
第1章 リーシア村編
12/19

クレメントの賢者の遺跡

 不安を吐き出したりとかしていて休憩とは思えなかった休憩を終えたあと、

 いままで保留にしていた『クレメントの鍵』を使ってみることにした。

 基本的に魔具は所有者が念じたり、対応する使い方をすることでその機能を発揮する。

 ギルドカードで扱い方を調べることはできないので自分で調べるのが主だそうだ。


 とりあえず、私がこの世界で目覚めたあの部屋に行きたいと念じてみる。

 念じるだけでいいならこれで何とかなると思いたい。

 が、結果として言えば何も起こらなかった。


「決まった使用条件でもあるのか?なら………」


 鍵なんだし、差し込んでまわす動作とかしないといけないのかね?

 試しに虚空に鍵を差し込んでまわしてみた。

 行先のイメージは先ほどと同じままで、だ。


 カチ、ギ、ギギィ


 なにやら音がしたと思って鍵の周りを見ると扉が現れていた。

 鍵らしい使い方しろって事か、これは。

 にしてもホラーな光景だな、これ。


「………あってた、のかな?調べてみよっか。」


 クロウェルの言葉に頷き、調べてみることにした。

 扉そのものは変哲もない唯の扉だった。

 なぜ、いきなり出現したんだ。

 扉を開けてみると見覚えのある部屋だった。

 とりあえずクロウェルと共に中に入り扉を閉める。


「どうなってんだ、この遺跡!?鍵が凄いのか遺跡が凄いのかはっきりしろよ!」


 そして再度扉を開けると別の光景が広がっていた。

 ……鍵を使用してない場合は扉とかは固定されてんのか?

 使用した場合はショートカットできると考えた方がいいな。


 部屋にある資料を見ることにする。

 あの時は文字が読めなくて無視したけど、今は多少読めはする。

 参考になる資料でもあればいいんだが。

 研究者だったからか、そっち関係の資料が多そうだな。


「……禁忌とされていた研究って、まさか。」


 資料を読み漁っていくうちにわかったことがいくつか。

 ルディアさんが研究していたことは『転生・生命創造』に関する魔術であること。

 私に使った転生魔術がその集大成だったということ。

 クレメントの鍵の使い方と遺跡との関係。


 まず研究内容に関しては深く考えないことにした。

 何もわからない今の私じゃ、どう扱ったところで無駄にするだけだ。

 何故禁忌なのか、なんとなくわかる。

 そして、なぜ研究する人が存在するのかも。


 次に自分に関することである、転生魔術について。

 引き継ぎされている経験や記憶などは鍵がかけられており、

 転生後の人物が受け入れられると判断された場合にのみ、継承が発生する。

 そして、それは本人にとって違和感のない形になるように調整された形で行われる。

 引継ぎされているものがなんなのか知るすべはない。

 また、いつ鍵が外れて、継承が発生したのかは判断できない。

 つまり、第3者が内容を知っていない限り、継承に関しての詳細はわからないという事だ。

 だから、考えないことにした。


 最後にこの遺跡と鍵の関係。

 これが今、1番欲しい情報だ。


 クレメントの賢者の遺跡。

 クレメント・ハーケンスという人物によって生み出された人口のダンジョンである。

 そう、人工的に生み出されたダンジョンなのだ。

 もともと魔物が多かった洞窟を改造して、様々な魔術を用いて作り出したらしい。

 古代から存在するというだけあって、少なくとも三千年前には存在した遺跡で、

 状態保存の魔術や、決められた場所に一定期間ごとにアーティファクトを再設置する術など、

 様々な術が今なお損傷もなく稼働状態にある。

 一部は天然のダンジョンと化しているが術式は有効なままであり、

 魔物の種類が当時よりも増え、能力が高いものが多く生まれている。

 そのため、生み出された当時よりも今ダンジョンは危険度が増しているといっても過言ではない。


『クレメントの鍵』は遺跡の術式を制御に用いられる魔具で、

【鍵を回す動作】を遺跡に対応する術式への発動キーとするアーティファクトである。

 最奥の部屋は鍵の持ち主とその同行者にしか出入りができないようになっており、

 空間魔術によって、遺跡内ならどこにでも出入り口を生成できる。

 なお、出入りしたことがある人物なら空間魔術を用いれば侵入は可能らしい。

 難易度は相当高くなるそうだがな。

 持ち主の思考から起動する術を検索、発動キーに対応する動作が認められた場合、

 検索された術を起動するようになっている。

 魔術媒介としても優秀な性能を有しており、空間魔術に対しての適正が高い。

 空間魔術は無属性に属しているらしいが詳細は資料があまりなくてわからなかった。

 魔術媒介として用いるなら魔力を経由させて魔術を使おうとするだけでいいらしい。

 ごく一般の魔術媒介と同じ使い方でいいという事だ。

 持ち主認証機能があり、それ以外の人物には扱うことができない。

 ただし、認証機能さえはずせれば奪うことは可能なようだ。


「とりあえず、この鍵は奪われないように気を付けないといけないよね。」


 使い方がわかったのはまだいい。

 機能も判明したのもい。

 だが、なにげにとんでもない情報が紛れていなかっただろうか。

 そう、この遺跡が人工的に作られたとか。

 しかも術式は未だに健在だとか。

 一部は天然のダンジョン化しているけど、それでも術は有効なままだとか。

 どうなってるんだ、古代にこの遺跡を生み出した時代の術は!


「罠とかあったから人の手が入っている可能性はあると思っていたけど、

 まさか、古代の時代に生み出されたなんて思ってもみなかったよ。」


 うん、そうだね、クロウェル。私も予想外だった。

 にしても、ルディアさんはどうやってこれを調べたんだ?

 今となっては闇の中なんだよなぁ。


「そうだね。そろそろ戻ろっか。調べたいことも調べ終わったし。」


 読み終わった資料を片づける。

 他の遺跡にも似た様なのがありそうで怖いな。

 今は関係ないか。

 この遺跡と周辺の平原や森ででてくる魔物を狩って経験を積むのが当面の目的だ。

 他の場所にまで考えるつもりはあまりない。

 片づけ終わったあと、鍵を使って遺跡の中層にでて、そこからは自力で探索しつつ帰還した。


 そういえば、私の治療をルディアさんに依頼した人物って誰なんだろう。

 今更ながら疑問に思った。

 だって、その人物は交通事故に遭った私を目撃して、

 このローグミナーエに死にかけの私を連れてきて、

 この遺跡の最奥に容易に侵入して、

 ルディアさんに依頼できるだけの実力があるはずなのだ。


 目覚めた時の私は一人だった。依頼した人物の姿はなかった。

 なぜ、かの人物は私の治療なんかを依頼したんだ?

 私に何かを望んでいるのか、生かすことに意味があったのか、それがはっきりしてこない。

 今はまだなにもわからない。でも、いつかは知りたいと、強く思った。

実はスタート地点が結構恵まれているラティエ。

本人にその自覚はありませんがね。

治療を依頼した人物に関してはそのうち出てくるので今はまだ秘密です。

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