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クロニクル・ファンタジア  作者: clover
第1章 リーシア村編
10/19

ダンジョン探索へ

 クロウェルと買い物に出かけた日から、4日ほどが過ぎた。

 日課に武器の鍛錬、調合の練習が追加された。

 文字はまだ読めないものがあるので継続して勉強している。

 悲しいかな、魔術の勉強は文字が読めない限り、無詠唱の物しか練習できない。

 魔力制御は上達してるし、やって無意味ってわけじゃないが、

 ゲームとかやってた元男子としては、呪文を唱えるくらいはしたいんだよ。

 一応、少しは読めるようになったから簡単な呪文とかは覚えたけどな。


 まだこの世界に来て2週間は立っていない。

 もうそろそろ戦闘も行ってみたいとは思うが安全を考えると嫌だと思ってしまう。

 あの時のダンジョン、クレメントの遺跡だったか、あそこが1番いいんだろうな。

 クロウェルもあそこなら良く潜ってるらしいし、道に迷うこともない。

 あと『クレメントの鍵』の使い方も調べたいしな。


 冒険者カードという身分証明書を作った。

 これは異世界人にとっては唯一の身分証明証だそうだ。

 また、あらゆる人物にとって、最も入手が容易で管理が厳しい物だそうだ。

 出身問わず作成可能、偽造不可、持ち主証明機能付き、魔物判別、アイテムボックス機能有り。

 持っているだけでも十分に価値はある。

 ただ、混ざり者である私はもしかしたら別の身分証も用意されているかも知れない。

 だから、ルディアさんの住居にはいつか行く必要がある。


 そんな考えのもと、私はクロウェルと共にクレメントの遺跡にやってきた。

 正式名称「クレメントの賢者の遺跡」

 古代から存在するダンジョンの一つで多くの冒険者が挑みに来ている。

 エリアによって難易度が大きく異なる。

 そのため、深部の探索は高レベル冒険者でも困難を極めるらしい。

 遺跡の管理者であると示す『鍵』さえあれば難易度はがくっと下がるらしい。


 ルディアさんが隠れ住むには適した環境なわけだ。

 鍵の所有者であった彼女にとって最も安全な場所であったのだから。

 それに私が無事出ることができたのにも関係がありそうだ。

 いろいろ考えさせられるな。


「ラティエさん、覚悟はいい?

 異世界出身の人は戦闘を忌避する傾向にあるから聞くけど、

 ‘命の遣り取り’をすることになる。その事実に向き合える?」


 クロウェルは優しいな。

 わざわざ、命を奪う事の覚悟を事前にさせてくれるなんて。

 正直、怖い。逃げ出したい。

 でも、この世界で生きていくために戦うと決めたんだ。


「少し怖いけど大丈夫。覚悟をする時間は充分にあったから。」


 あの時、魔物や盗賊に襲われて、命を狙われた。

 弱いままじゃ、また、搾取されるだけになってしまう。

 そんなのは嫌だ。命を救ってくれた人に胸を張れるようになりたい。

 だから立ち向かって戦えるようになりたい。


 死にたがりで、臆病で、弱くて、自分が嫌いで、

 そんな俺でも生きていいんだって、命を救ってもらえた。

 分からないことだらけで、逃げてばっかりで、迷惑をかけてるのに、

 信じることができないのに、そんな私でも助けてくれた人がいる。


 そんな人たちの為にも前を向いて行かないといけない。

 考える時間だけは沢山あった。

 だからこそ、覚悟を決めることができたんだ。


「だから、行くよ。怖いけど、それでも、決めたから。」


 そう告げるとクロウェルは苦笑した。

 にしても初遭遇の時見たく強そうに見えないんだよな。

 平野とかだと実力出せないらしいから間違ってはいないんだろうけど

 あの時のことを考えると凄く複雑だ。


「それじゃ、ダンジョン探索、行ってみようか。」


 頷く。それを確認した彼は遺跡の扉に手をかけた。


 鍵の使用は後回しにして、戦闘や仕掛けの解除になれるのがメインだ。

 流石に最初から楽をするわけにはいかない。

 ルディアさんの住居に行くときにあれは使うことにする。


 入ってすぐのところは出入りが多いせいか魔物の姿もない。

 少し奥に進むと青いスライムが現れた。

 冒険者カードには「スライム」と表示されている。


「見たまんまの名前なんだ。」


 鎌で軽く切っただけで倒せました。

 流石に出入り口付近じゃこの鎌の威力だけで何とかなるか。

 狭いとこでの取り回しを覚えるのにはいいんだろうけど、

 弱い者いじめしてる感じは好きじゃないな。


「半分くらいの魔物は見た目か能力にまんまの名前だよ。

 もう少し奥の方に行ってみようか。」


 まじか。そんなこんなで駄弁りながらのんびりと進んでいった。

 血を流す生命系の魔物とはまだあっていない。

 そのせいか命を奪っている実感があまりない。

 奥の方ってトカゲみたいなのとかいたはずだよな?


 奥に進んでいく。そしてついにトカゲみたいのを発見した。

 初めてみたのとは色違いの奴だ。こいつは赤いが奴は黒かった。

 ファイアリザード、炎属性の魔物だ。

 好戦的な性格らしく、いきなりブレスを吐いてきた。


「ちょ、ま、えぇーーーー!?あ、アクアシールド!」


 反射で水の壁を作った私は悪くないと思うんだ。

 クロウェルは壁をけって、天井をけって、奴の後ろに行ってました。

 どんな身体能力してるんだ、あいつは。

 あ、自己強化を応用してやってるのか。

 ……もしかして壁や障害物を使うのが当たり前で

 ダンジョン以外だと実力出せないんじゃなかろうか。


「ラティエさん、挟み撃ちにしよう!

 ブレスは連続使用できないからしばらくは爪か尾での攻撃になるよ!」


 だから、後ろに跳んだのか。

 尾での攻撃は全部クロウェルに行き、爪のは私の方に来た。


 コワイ。


 これが命の遣り取りなんだろうか。

 身体がすくみそうになる。

 クロウェルは尾を切り落とそうとしている。


 コワイ。


 水の盾は一度目の爪の攻撃で消えた。

 ブレスに対してはすべて持ちこたえたからそれで充分だ。

 彼がこちらに気を取られたせいか、少し攻撃を喰らっている。


 コワイ。


「ぁ、ぁぁぁああああ!!!」


 気が付いたら、叫びながら、ファイアリザードに斬りかかっていた。

 無詠唱で風を操り、動きを予測して、爪の攻撃を鎌で弾き、首を直接落とす。

 それでも動き出さないか不安で腹のあたりにもう一撃入れる。


「ラティエさん、大丈夫。大丈夫だから、落ち着いて!」


 声が聞こえるけど、どうすればいいのかわからない。

 だって、怖かったんだ。命の遣り取りが、命を奪うことが。

 でも決めたじゃないか、怖くても戦うって。

 乗り越えられるかはわからなくても、この恐怖とは向き合うしかないんだ。

 そう考えて、やっと手を止めた。


「ごめんなさい。少し取り乱した。」


 接触恐怖障だって知ってるから触れないで声掛けだけにしてくれた。

 クロウェルは優しい。それに救われてばかりいる気がする。


「もう、大丈夫。なんどか戦えば、取り乱すこともなくなると思う。」


 弱いままでいたくない、だからそう告げた。

 心配そうな顔をされたけど、まだ探索は始めたばかりだ。

 もっと奥に進んでみたい。


「次からは、怖いって思ったら素直に言ってね。

 なるべく声をかけやすいように傍にいるから。」


 その言葉を聞いて、安心した私がいる。

 信じてとか言い出さない辺り、まだ信じられる。

 そんな初冒険の一幕だった。

戦闘って書くの難しい。

もっと読みごたえがあるように書くにはどうしたらいいんだ。

精進します。


ラティエがランクワード無しで魔術を使ってますが

いい忘れているだけで発動しているものは下級です。

無詠唱で発動する場合はランクワードを意識しないで任意のランクで魔術を扱えます。

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