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災難だね、戌峰くん

 パラリと視界を舞う影。

「あっ」

 学院の校庭に咲く満開の桜。

 美しく咲き誇る桜の花びらが春の吐息に吹かれ、太陽の光がその身で煌めかせる。

 そう、季節は春。

 満開の桜の下、多くの生徒達が登校している時間。真新しい藍色の学生服に身を包んだ小柄な少年が一人、春が織りなす優美な光景の中、声をもらす。

「綺麗だなぁ…………」

 至極単純。だが、その単純な一言に込められた感情は咲き誇る桜に対してこれ以上ない賞賛だった。

 木もれ日の中で桜の花びらが踊る幻想的な光景。

 そんな光景に魅入る一人の少年――――戌峰柚太いぬみねゆた

 柚太がいる校門から学院玄関まで一直線に延びる赤煉瓦の並木道。そしてその先に悠然と建つ煉瓦造りの校舎。明治時代に創立された校舎は管理も行き届き、時間という仕上げにより一個の芸術品と言える程の存在感が醸し出されていた。

 この芸術品、もとい学院が今日から柚太が通う学舎――――――私立天慶学院てんきょうがくいん

 東京都心から離れた郊外に存在する学院は総敷地面積は東京ドーム三個分。教育施設としては十分すぎる敷地には永遠が通う高等部をはじめ、やや離れた場所に中等部と初等部の二つの校舎も建てられている。

 それ以外には学生寮に教員寮。それに学生や教員達の為の雑貨店がいくつか並び、嗜好によるこだわりを持たなければ下着から文房具、雑誌や漫画といった物までそろえる事が出来る整った環境だ。

 そんな恵まれた環境の中で柚太の新しい生活がスタートするのだが…………。

「ほぁ…………っ!?」

 幻想的な光景に釘付けになった柚太を現実に引き摺り戻す様に、不意に右胸に奔る鈍痛に顔をうつむける。

「っぁ………………っ、まだ治ってないの、忘れてた」

 痛む右胸に左手をそっと添え、柚太は呻くように呟き…………脳裏に浮かぶ満足げな母の笑顔に眉が寄る。

「全く、母さんも加減ってものを知らないんだから…………」

 痛む右胸をさすりながら顔を上げ、正面奥。生徒玄関脇に建つ木製の時計台に視線を向ける。

 時計台に設置された時計。時刻を刻む時計、『6』と数字で刻まれた板の下部。そこには回転式の西暦表示板が日付を示す。


 示された日付は―――――――二〇××年四月一二日。


 柚太が入学したここ、私立聖納学院の入学式は四月九日。

「もう…………おかげで入学式出られなかったじゃないか」

 人生の中で一度しかない高校の入学式。そんな貴重な行事を自分は病院のベットの上で過ごしてしまった。

 原因はちょうど一ヶ月前。中学校の卒業式、その日の夜の出来事だ。

 その夜、母と姉に妹。そして自分の四人で中学卒業祝い兼妹の小学校卒業祝いをした。卒業祝いと言っても家で普段よりも豪勢な食卓になっただけで、別段他には特別な事をしたというわけでない。

 だが、その後が問題だった。

「全く、息子の肋骨をへし折るって……僕ん家じゃなかったら完全に」

 虐待だよ、と柚太が言い終えようとした時だった。


 ドンッ!! と不意に正面から突進してきた衝撃。


「わっ!?」

 柚太は突然の衝撃に地面に尻餅をつき、

「ってて…………もう、いきなりなんなの?」

煉瓦の硬さに悲鳴を上げる尻をさすりながら、正面へ視線を向けると。

 一番最初に柚太の瞳に映ったのは服の隙間からのぞく蓄積された脂肪。額、というよりは体中から汗が噴き出しており、まごう事なきメタボの男が身につけていたTシャツはびしょ濡れでジーンズも汗で色が深くなっていた。

 暑苦しさこの上ない二十代後半の男は、汗の量も目につくが、それ以上に焦っているのか鼻息が荒く、目も異様な興奮に充血していた。

 フラグ要員でも学院の関係者でもない男に、柚太は呆気にとられながらも声をかけ、

「あ、あの…………?」

「ッ!! は、はやくっ!!」

だが、男は柚太の声など気にも止めず、地面に四つんばいになり何かを拾い集めていた。

「え?」

 焦りしか感じられない男の野太い声に柚太は疑問符を浮かべ、

「いたぞっ!!」

桜並木の脇、その奥に遠目に視えるテニスコートの脇で一人の男子生徒が怒声じみた声を上げた。

「な、なに?」

 柚太は男子生徒へ顔を向けるとその脇から男女数人の生徒達が現れた。

 その生徒達全員がそれぞれ金属バットに竹刀、木刀にテニスラケットと長物を握り締め一斉に走り出した。

 そんな生徒達全員の表情は敵意や怒気、殺気と害意剥き出しで。

「ヒッ!?」

 身元不明の男は小さな悲鳴を上げ、飛び上がるように立ち上がった。

 男の表情は身に迫る恐怖からなのか、はたまたただの運動不足か。垂れ流し状態だった汗が滝のように流れ、

「待てコラーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

「見つけたわよっ!! この変態っ!!」

「盗んだもん、返しやがれ!!」

生徒達の怒号が汗の滝を濁流と変える。

「ウアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 捕まれば最後、自分の命は無い。そう、悟った男は腹部に蓄積された脂肪を縦横無尽に振り回しながら逃げ出した。

「えぇ…………と」

 柚太は逃げ出した男の姿に呆然とし、その脇を生徒達が猛スピードで駆け抜け、男を追っていく。

 そんな異様な光景を驚きと戸惑いに足を止める多くの生徒達。

「……………………」

 柚太も無言で校門を眺めながら立ち上がり、

「……………あれ?」

ふと、視界の端に足下に落ちていた布きれが目にはいった。

「コレって…………」

 足下に落ちていた布きれをつまみ上げると、それは自分のあり方を主張するように末広がりになり、柚太の大きな瞳に映し出された姿は純白。

「……………………………」

 一瞬。柚太は自分の目を疑いそうになったが、手に持っソレは間違いなく。

「…………女の子の、下着」

 サイドから垂れる細く長い紐。そしてシルク特有の艶感に滑らかな透け感が扇情的で、布地の面積が少ないデザインは男の情欲にストレートに突き刺さる。

 純白と言えど、淫靡さを醸し出すショーツ。

 つい拾ってしまった思春期まっただ中の少年を桃色世界への誘う案内人。だが、その案内人に柚太は自分の表情が引き攣るのがわかり、

「あ、あの人…………し、下着泥棒だったのか」

緊張とショーツの持ち主、いや履き主への罪悪感に右手が震える。

 どっどうしよう、これ? 今すぐにでも放したい所だけど、ちゃんと持ち主に届けないと駄目だろうし……でも、このまま事務室まで行くのもかなり気まずい。

 周囲から集まる奇異な視線。

「えっと…………」

 柚太はそんな視線に周囲を見渡すと、柚太に視線を向けていた生徒達は気まずそうに視線を逸らす。

 頬を赤く染める純情君や初心ちゃん、それに事情は見て知ってるけど関わりたくない薄情君と軽蔑ちゃんと、ガン見したいけど女子の目を気にしてるムッツリ君。

「とっ!! とりあえず事務室に」

 視線の痛い視線から逃れようと校舎へ振り返ろうとして、

「おい」

刺々しくも静かな声が背後から柚太へと突き刺さった。

「っ!?」

 柚太はその声に慌てて振り返り、

「てめぇ…………」

冷たい眼光を揺らめかせ、踝まである黒の長いスカートと薔薇のように赤いネクタイをあしらえた短いセーラー服に身を包んだ少女が仁王立ちしていた。

 学院の藍色を基調としたセーラー服とは違う色、そして十数年以上前の不良女子のような風貌に首を傾げる柚太。

 だが、背中まで伸びたハネ癖のある栗毛色の髪にスラリと伸びた手足。柚太よりも頭一つ分高い背の高さから大人びた印象を受け、顔立ちも鋭く尖った目付きが印象的だが比較的に整っており、綺麗と言って問題な部類だ。

 女性下着を摘んで立つ柚太の姿に少女のつり上がった瞳がより鋭くなり、

「その握ってるモン…………」

「あっ!! こ、これはっ」

「わぁってる」

事情を説明しようとした柚太の言葉を遮り、少女は胸の前で両手をそっと重ね、指を鳴らした。

「てめぇがあのデブの仲間だって事はな」

「へっ!?」

 少女の怒りの矛先が自分にも向けられている事に、思わず素っ頓狂な声を上げる柚太。

 柚太は摘んでいた下着をパッと放し、慌てて両手を振って否定する。

「ち、違うよ!! 僕は下着なんか盗んでないよ!! それに今日学院に来たばかりでっ」

「変態の言い訳なんぞ誰が聞くか!!」

「いや、だから違うんだってば!!」

「ウダウダ言ってんじゃねぇっ!!」

 柚太の言葉を跳ね飛ばすように拳を振り上げ、殴り掛かる少女。

「ご、誤解」

「変態は黙ってボコられろっ!!」

 聞く耳持たず、と少女の細腕から繰り出される弾丸の様な拳。

 はっ、速い!!

「くっ!?」

 咄嗟に首を横にたおし顔面に迫る攻撃を避け、一歩後ろへ飛び退く柚太。

「逃がすか!!」

 拳を振り抜いた体勢から更に一歩踏み込み、柚太との間合いを詰める少女。

 そこから煉瓦地スレスレまで左腕を伸ばし、柚太のアゴ目掛け抉り込むように拳を振り抜き、

「っぁ!!」

柚太は顔を跳ね上げて、アゴ先スレスレに拳を回避。

「あっぶなっ!?」

「ちょこまか逃げてんじゃねぇっ!!」

 二度の攻撃をかわした柚太に少女は怒りを吐き捨て、左アッパーを振り抜いた体勢から右足を軸に左足で回し蹴りを放つ。

「っ!?」

 予想外の攻撃に柚太は避けられないと判断。持っていた鞄を盾に蹴りを受け、

「ぐぅ!!」

「ラァッ!!」

きれず、鞄事蹴り飛ばされる柚太。

 柚太の小さな体は悠々と宙を舞い、地面と激突する直前で左手で地面を叩き着地。

 蹴りを受けた右腕が痺れ、握っていた鞄を落としそうになる。

「ぐっ」

 なんて重たい蹴り。まともに食らってた気を失うどころか、三途の川だって平気で渡れそうな気がする。

 柚太は右腕に残る重々しい衝撃に背中に冷たい汗が噴き出て、 

「さっさと地獄に堕ちろ!! このド変態ヤローがっ!!」

「しまっ!?」

痺れる右腕に気を取られ、少女の追撃に反応が遅れる柚太。

 柚太が反応した時には既に少女渾身の右ストレートが顔面に放たれており、速度、間合い、タイミングとそのどれもが完全に一致した一撃。

「くっ!?」

 避けられないまでも直撃を避けようと反射的に首を倒そうとするが、少女の拳は眼前まで迫り――――駄目だ、避けられない!! と、柚太が瞳を閉じかけた時だった。


「そこまでです!!」


 鋭さだけが込められた澄んだ声と共に、柚太の背後から稲妻の様に黒の人影が割って入った。

 その人影が割ってはいると同時にドガッ!! と重々しい音が響き、

「なっ!?」

「っ!?」

柚太と少女の瞳が驚愕に大きく見開かれた。

「てめぇは…………」

「間に合ったようですね」

 黒セーラー少女は拳を受け止めた少女の姿に険しい表情を浮かべ、拳を引きながら後ろへと下がった。

「怪我はありませんか?」

 良く通るアルトが響き、少女が振り返った。

「ぁ………………」

 瞬間、柚太は自分の瞳に映し出された少女の姿に。


 ――――すごく、綺麗。


 まるで映画のフィルムのコマ送り。そんな時間の流動の中で、柚太の瞳は釘付けになる。

 ポニーテールで纏められた長く、濡れたような美しい煌めきを放つ黒髪。静寂と強靱、そんな二つの明確な意志を宿し、どこまでも澄んだ切れ長で黒みがかった瞳。まっすぐ通った鼻筋に、触れてしまえば弾けてしまいそうな瑞々しい唇。

 一分の隙もなくそこにある事が必然とばかりに整った顔立ちは冷たさと理知的な印象を受け、女性特有の柔らかさも相まって正に『美貌』と称えるに相応しかった。

 腰の高さも自分も含めた同世代の生徒達とは違い、スッとした長身に白一色の制服に赤いネクタイが良く映える。

「……………………」

 まるで流麗な映画のワンシーン。そんな優美な情景に思わず見とれていると、不意に柚太の視線に異質な物が目にとまった。

「え?」

 天女の如き美少女が左手に握るそれは―――――――――黒い鞘に藍色の柄の長物。

「か、刀……?」

 それ以外言いようがない物騒な物に柚太の意識が向き、

「少年、怪我はありませんか?」

それを遮るように黒髪の少女が肩に掛かっていた黒髪を後ろへ流し、怪訝そうに柚太の顔を覗き込んだ。

「っ!?」

 柚太は凜とした声と眼前に迫った美貌にハッと我に返り、

「あぁ、あの、はい!! 大丈夫です!!」

身を引きながら、慌てて少女の問いに答えた。

「そうですか、良かった」

 あたふたしていたがハッキリ答えた柚太の様子に小さくホッと息をつき、

「少年、貴方の名前は?」

「あ、僕の名前は」

「おい、いきなりしゃしゃり出てきて仕事の邪魔してんじゃねぇぞ」

安堵の表情を浮かべた黒髪少女の背後から、柚太の声を遮る敵意丸出しの声が投げつけられた。

 その声に咄嗟に身構えてしまいそうになる柚太に、

「あっ」

「安心してください、彼女には私が事情を話します」

黒髪の少女は優しく微笑みかけ、黒セーラー少女へと体を向け相対した。

「貴女はこの少年に対して大きな誤解をしています」

「誤解だぁ?」

 黒セーラーの少女は白セーラーの少女の言葉に眉をピクリとつり上げ、

「そう、誤解です。この少年は下着泥棒とぶつかっただけで、下着も落ちていた物をたまたま拾っただけです」

「証拠は?」

白セーラー少女の言葉を鼻で笑い飛ばし、睨み付ける。

「離れてはいましたが、彼が下着泥棒と接触した際の様子は私が一部始終見ていました。その私の証言であれば証拠としては充分だと思いますが」

「見てた、ねぇ…………まぁ、『風月院ふうげついん』の頭がそう言うなら信じてやっても良いが」

 黒セーラー少女は面倒くさそうに頭を掻きながらポツリと呟き、

「よ」

良かった、と柚太がホッと胸を撫で下ろしかけた時。

「ウチら『架月院かげついん』の懲罰方針は――――疑わしきは叩け、だ。てめぇが証言したところで完全に白ってわけじゃねぇんだよ」

 ギンッ!! と猛獣じみた凶暴な視線を柚太にぶつける黒セーラー少女。

「細けぇ事は後回しだ、ひとまずそこのド変態チビはぶん殴って連れて行く」

 上体を前のめり気味に腰を落とし、両手を固く握りしめ脇に構える姿に。

「ちょっ!?」

「…………全く」

安堵から驚愕へ目を見開く柚太と癖癖とばかりに溜息をつく白セーラーの少女。

「っ」

 柚太はチラッと痺れの残る右腕に視線を向け、理不尽と言える黒セーラー少女の発言に奥歯をかみしめた。

 ど、どうしよう? あの様子だと先生とか目上の人じゃないと何を言っても話を聞いてくれなさそう。逃げるのは簡単だけど下手に逃げ回ると下着を盗んだのを認めた感じになっちゃいそうだし、僕を捕まえるまで追いかけてくるだろうしなぁ。

 柚太は自分の置かれた状況に少し太めの眉をハの字にし、どうすればいいかとあれこれ悩み始めて。

「あっ」

 自分の正面にいる白セーラーの少女の姿にパッと名案が浮かんだ。

 あの子。どうせ逃げても僕の事追いかけてくるんだろうし、助けてくれたこの人と一緒に職員室まで行ければ何とかなるかも……僕は職員室の場所なんてまだわからないし、この人にお願いして連れて行って貰おう。

 思い立ったら吉日とばかりに柚太は白セーラーの少女の隣へ歩み寄り、道案内兼逃走のお願いをしようと口を開いて。

「少年、貴方は自分の教室へ」

 白セーラの少女は右手を刀の柄、鍔元に静かに添えながら一歩前に踏み出した。

「えっ?」

 思いも寄らなかった白セーラー少女の行動と言葉に、柚太はすぐに言葉を返す事が出来ず、白セーラー少女が横目で柚太に言葉をかける。

「もうすぐHRが始まってしまいます。この場は私が治めますから貴方は自分のクラスへ向かってください」

「で、でも………」

 柚太は白セーラー少女の言葉に呆気にとられながらも対峙する二人の少女を交互に見据え、

「私と彼女の事は気にせずに。いつもの事ですから」

自身を諫めるように苦笑いで答える白セーラー少女。

「い、いつもの事って言われても」

 少女の苦笑いにどう答えを返せばいいのか一瞬悩んでしまった柚太に。


 ――――ゴーンッ!! と自身の存在を示すように、柚太達に降り注ぐ重々しくも通る音が響いた。


 その音に柚太は顔を上げ、生徒玄関の真上。屋上から一段高い場所で、威厳という芸術を引き立たせるように金色の鐘が鳴り響く。

「さぁ、はやく教室へ。一般生徒の生活を守るのも『風月院』の仕事ですから」

 白セーラー少女の微笑みと急かすように鳴り響く鐘の音に、柚太は自分は恩知らずだなと悔いながら小さく会釈をした。

「じ、じゃあ……お言葉に甘えて」

「はい」

 柚太はもう一度会釈し、生徒玄関へと走り出して、

「あっ」

ある事を思い出し、一旦立ち止まり大声で白セーラー少女に言った。

「あ、あの!! 僕、一年六組の戌峰柚太です!! あ、あとで必ずお礼にいきます!!」

 バッと勢い良く一礼し、再び桜並木を走っていく柚太。

「お礼なんて」

 律儀な少年だ、とその柚太の姿に白セーラー少女は小さく微笑んで、

「逃がすかっ!! このド変態チビが!!」

凶暴さを増した荒々しい声が跳ね上がる。

「ここは通しません」

 白セーラー少女は左脇に刀を構え、黒セーラー少女の行く手を阻む。

「この……仕事の邪魔すんなよ、クソ『風月院』がっ!!」

 黒セーラー少女は両足を大きく前後に開き、両拳に力を込める。

「…………言葉が過ぎますよ」

 白セーラー少女は切れ長の瞳に鋭さを宿らせ。


 ――――僕、戌峰柚太です。


 唐突に柚太の声が頭の中でリフレインした。

「っ!?」

 頭の中で鮮明に再生された言葉に、白セーラー少女は体事、生徒玄関へ向きを変え、

「まっ」

待ちなさい!! と、柚太を呼び止めようとしたが既に後の祭り。

 白セーラー少女の視線の先には一人の生徒の姿もない、厳かさだけを漂わせた玄関だけ。

「っ…………」

 瞳に映る情景に、後悔を張り付けた険しい表情で唇を噛む白セーラー少女。

 まさか、あの少年が『戌峰柚太』だったとは…………迂闊だった。彼の安全を最優先にと、彼女へ意識を集中させていたとはいえ、彼の名を安易に聞き流してしまうとは。

 なんたる失態、と白セーラー少女は自身の迂闊さに後悔しかけた時。

「邪魔だっ!!」

「っ!?」

 背後から怒声が飛び、反射的に体を反転させる白ーセーラー少女。

 振り返った先には敵を打ち砕かんと迫る強烈な拳。

「っ!! 今はこちらが最優先ですね」

 体を反転させた勢いをそのまま利用し、鞘を振るい、拳を弾いた。

「ぐっ!!」

 黒セーラー少女は弾かれた拳を引き、間合いを取るように一旦後退。

 弾かれた右拳の痛みに、まるでこれから始まる戦いを楽しむように笑みを浮かべた。

 白セーラー少女も体勢を立て直す為に一歩後退。自身への苛立ちを押し殺すように深く息をつき、黒セーラー少女を睨み付ける。

「申し訳ありませんが、少々荒くいきますよ」

「ハッ!! 上等だっ!!」

 互いにゆっくりと間合いを計りながら戦闘態勢をとる白黒セーラー少女二人。

 一歩、また一歩と間合いを詰め、ぶつかり合う二人の視線に割ってはいる桃色の花びら。

 その花びらを合図にドッ!! と地面を蹴るように飛び出す二人。

「フッ!!」

「オラッ!!」

 鞘と拳。二つの矛の激突に戦いの火ぶたは切って落とされた。




   ††††††††††††††††††††††††




 一言だけ、言っておきたい事がある。

「…………どうしよう」

 教室の窓際。その一番後ろの席で不満とやるせなさにまみれた声がボツリとその場で消える。

 現在は午前の授業を終え、昼休みに入ったばかり。

 柚太は自分の席で机に項垂れながら、深い溜息をついた。

 朝の騒動の所為ででギリギリだったがなんとかHRに間に合い、自己紹介から始まる事が出来た。

 HRの自己紹介を終えて次に数学に英語。科学に古典と馴染みのある教科から高校で初めて受ける教科まで、滞りなく終える事が出来た。

 他にはクラスでの自分の係や委員会と言った役割も教師からある程度決まったとの話を聞いた。自分はクラス内での役割は特にはなく、委員会は図書委員会に決まったらしい。

 まぁ、担任の教師の話では「もし希望があれば変えられるけど?」と確認はあったものの、特に希望も意義もなく決められた役割に落ち着いた。

 授業も良好、クラス内での役割も万全…………なのだが。

「………………」

 柚太は重い首をもたげ、クラスを見回した。

 柚太の瞳に映るのはクラスメイト達が昼食という安らぎに身を浸らせている光景。

 あるグループは男女問わず机を寄せ楽しげに弁当を広げ、あるグループは男二、三人で一つの机に売店で買ってきたパンやおにぎり類を広げていた。それ以外にも弁当片手に教室を出て中庭や屋上、お小遣いに余裕がある者は食堂と心地よい学院での昼食生活を形成していた。

 柚太も青と白の水玉模様の包みに包まれた弁当を持参し、これから三年間を共にするクラスメイト達と親睦を深めていきたいと思っていたのだが。

 チラッ。

「………………」

 チラッ、チラチラッ。

「っ……………」

 柚太は時折、というか朝から今まで一日中突き刺さる視線に耐えながらため息をつき、弁当の包みをほどいていく。

 そんな一抹の寂しさと疎外感に肩を落とす柚太に、

「よっ!! 早速はぶられてんな、柚太」

楽しさに弾んだ声が教室に響いた。

 柚太は楽しさ全開で掛けられた聞き慣れた声に、眉間に皺を寄せながら教室の出入口へ顔を向けた。

「はぶられてるって…………そんなに楽しそうに言わないでよ」

 売店で買ったのか、サンドイッチと今時珍しい瓶入りの冷たい牛乳が入った袋片手に歩み寄ってくる少年。

「ははっ!! 悪い悪い」

 少年は口では悪いと言っておきながら笑みを潜める事はなく、空いていた柚太の前の席に陣取り、トッと袋を柚太の弁当の隣に置いた。

「…………絶対悪いと思ってないでしょう、夏目」

 どこか拗ねたような口ぶりで、正面で笑っているある少年をジトッと睨む柚太。

 そんな柚太を悪戯っ子のような笑顔で眺める黒髪少年――――名前は季月夏目きづきなつめ、天慶学院一年三組在籍。

 歳は十六。柚太とは幼稚園の頃からの幼馴染み。

 柚太よりも頭二つほど高いスッとした長身に、それに見合うだけのがっしり目の細身が柚太の成長への憧れを増長させる。

 顔立ちも妬む事すらおこがましいと思わせるほどの端麗。性格も基本マイペースながらも誰隔てなく気さくに接し、男女関係なく信頼されている。容姿、性格以外にも勉学にスポーツと共に優秀で文武両道を難なく体現。家柄も江戸時代から続く旧家で『季月薬品』という名で企業しており、現在の医薬品関係シェアの九割を掌握する大企業の長男と文句なしのハイスペック男子。ちなみにこの学院の経営も、季月家が運営している。

 神は二物を与えず、という言葉があるがそんなもんクソ食らえとばかりに恵まれた幼馴染みに、柚太は本日何度目かわからない溜息を深々とついた。

「もぅ、こっちは登校初日から怪我は治ってないし、下着泥棒に間違えられるし。そのおかげでクラスメイトからは変な目で見られてるし…………ほんと散々だよ」

 朝からの不満を吐き出しながら弁当を開き、手を合わせる柚太。

 いただきます、と小さくお辞儀をし右手に箸を握る柚太。

「まぁ、助けてくれた人がいたからそれが唯一の救いかな」

「助けてくれた奴?」

 袋から取り出したサンドイッチの封を切り、ツナサンドを手に取る夏目。

「名前は?」

「んとね、名前はわからないけど『風月院』って呼ばれてた。お昼食べ終わったら職員室に行ってどの学年の人か聞きに行こうと思ってるところ」

 柚太は夏目の問い掛けに答えながらお手製弁当のおかずから卵焼きをチョイス。小さな口を出来るだけ大きく開けて頬張った。

「『風月院』って……多分、ってか、それ名字じゃないぞ」

 ツナサンドを小さく振り、柚太は卵焼きをコクンと飲み込んで夏目に問い返した。

「名字じゃない?」

「あぁ、『風月院』ってのはウチの学院の生徒会の派閥名だよ」

「は、派閥って」

 学校生活にはやや物々しい言葉に柚太は眉を顰めた。

「ウチって小中高って集まってて、小中校もそうだけど学院の生徒数が半端ないだろ」

「う、うん……確か、天慶学院の生徒は高等部だけでも二千人はいるよね?」

「あぁ、そんな大所帯の学院をたかだか四、五人の生徒会だけで管理するのは厳しいからな。ウチの生徒会は他の学校と違った組織構成されてんだよ」

 学校事で細々とした組織構成の違いはあるだろうが原則、生徒会という組織は生徒会長を筆頭に副会長、会計、書記、庶務の五人で構成されている。

 勿論、天慶学院でもその五つの役職の生徒がいるが、学院の生徒会は三つの派閥で組織されている。

はじめに生徒会長一名と補佐として副会長が二名、計三名で構成される『天壌院てんじょういん』を筆頭に『風月院』と『架月院』の二つの組織に分けられ、二つのグループは上から順に院長、副院長、会計、書記、庶務の各五人編成。全三グループで計十三名の生徒会構成となっている

 主な生徒会の仕事は生徒の自発的な活動からの学院生活の充実や改善向上を図る風紀活動、部活動などの課外活動への支援、学級、ホームルーム間の連絡など。学校行事への協力に関する活動、ボランティア活動などを行う。

 ちなみに生徒会役員は各院の所属であることと一般生徒と区別する為に制服が色分けされており、『天壌院』は赤、『風月院』は白、『架月院』は黒という風に分けられている。

「あと他の学校と違いがあるとすれば『生徒管理権』ってのが学院理事会から与えられてるってことかな」

「えっと……生徒、管理権? って」

「言葉のまんまだよ、生徒会が高等部の生徒を管理できる権利。わかりやすい話で言えば停学や退学を教師の判断とか学校側の指示なしで決めたりする事が出来るんだよ」

「う、嘘!?」

 つまらなさそうにツナサンドを一口口にする夏目に、裏声じみた声で驚く柚太。

「嘘じゃないぜ。生徒会役員の採決で役員の半数、もしくは三分の二以上の可決で停学および退学に出来るし、実際になった奴も過去に何人もいるらしいからな。まぁ、下手すら校長よりも権限がでかいからあまり生徒会の目にとまるような事はしない方が賢明だな」

「そ、そんな……生徒に対してだけって言っても先生よりも生徒の方が権限が上なんて」

「まぁ、普通は「この学校の教師や理事会は頭おかしいんじゃねぇの?」って思うだろうけどな」

 興味ないとばかりに夏目は残っていたツナサンドを押し込むように頬張り、数度の咀嚼でゴクリと飲み込んだ。

「まぁ、ウチの生徒会はこんなモンだな……ってか、柚太。お前、刀伽とうかさんから何もウチの学院の事聞いてないのか?」

 生徒会の説明を一通り終えると、訝しげに柚太に問い掛ける夏目。

「う、うん…………一応、何度か聞いてみたんだけど『彼方は何も知らなくて良いのよ』って言って、何も教えてくれなかったんだよ」

 疑問符を浮かべる夏目に、行き場のないもどかしさを思い出す柚太。

 天慶学院の学科や部活動等といった基本的な特色は自分でも受験の際にある程度は把握していたものの、姉である刀伽に普段の学院生活はどんなものなのかと何度か質問してみたが答えてくれた事は一度もなかった。

それどころかその質問をする度に恨めしいと表情を浮かべて、ストレス発散とばかりに自分に八つ当たりをしてくるものだからたまったものではない。

 質問には答えず一方的な仕打ちにばかりの姉に自分も嫌気がさし、次第に興味が薄れてしまい今に至る。  

「知らなくて良いって……柚太に知られるとまずい事なんて何もないと思うけどな」

「だよねぇ…………」

 夏目も柚太の言葉に首を傾げ、柚太もそれにつられるように首を傾げた。

「まぁ、その話は置いといて。助けてくれた人が生徒会の人だってわかったし、ご飯食べ終わったら先生にに聞いてみるよ」

「生徒数が半端ない学校だからな、それが一番手っ取り早いだろ」

「うん」

 そうと決まれば、と柚太は手早く昼食を済ませてしまおうと箸を淀みなく動かし、夏目ももう一つのツナサンドにかぶりつく。

「ちなみに、だけど。っ、お前を助けてくれた奴ってどんな感じだったんだ?」

 ツナサンドを飲み下し、興味津々とばかりに夏目が問い掛け、

「すごく綺麗な女子だったよ。結構大人びた感じでさ、多分上級生だと思うんだけど」

「へぇ、助けに入ったのは女子だったんだな。お前をとっつかまえようとしてたのも女子だったらしいし、最近の女子は随分とお転婆だな」

年頃の男子らしく、女子トークで話に花を咲かせる二人。

「それでその人、テレビに出てるアイドルとかモデルの人とかよりも綺麗でさ。長い黒髪をポニーテールにしてて、白の制服がすっごく似合っててさ」

 災難といえる今朝の出来事が吹き飛ぶほどに鮮明に瞳に焼き付けられた少女の姿に、柚太の声が自然と高くなり、

「あぁ、でも。一番ビックリしたのは刀を持ってた事かな」

「刀?」

全く脈絡のない話の転機に夏目の声も疑問符に語尾が上がった。

「うん、刀。模造刀だと思うけど、それ見た時はビックリしてさ」

「刀、ねぇ…………」

 苦笑しながら話す柚太に、夏目は何か引っ掛かるような表情で呟いた。

「言っておくけど嘘とか冗談じゃないからね」

「あぁ、わかってるよ…………ただ、な。お前を助けた女子なんだが……多分、俺知ってるぞ」

 切れ長で涼しげな瞳が苦悶に歪み、

「え、ほんと?」

「あぁ、長いポニテに『風月院』の制服着てて、刀を持ってる女子は一人しかいねぇからな」

まぁ、何人もいたら困るんだけどな。と、呻くような呟きをもらす夏目。

 柚太は夏目の様子に首を傾げながらも、恩人の素性を聞き出そうと問い掛けた。

「それで? その人の名前は? 知ってるなら学年とかクラスも教えて欲しいんだけど」

「あぁ、そいつ……ってか、その人なんだけどな」

「うん」

 どこか弱腰で歯切れの悪い夏目の様子に、柚太は小さく頷いて言葉を待ち、

「戌峰柚太という少年はいますか」

場を切り裂くような鋭さを帯びた声が静かに響いた。

 その瞬間。教室中の視線が声の主へと集まり、

「え? 僕?」

自分の名を呼ぶ声に柚太も、その方向に顔を向けた。

 柚太や夏目、教室にいた全生徒の視線は教室の戸口へ集まり、そこに立っていたのは。

「あ、今朝の」

 柚太の窮地を救った白のセーラー服に身を包んだ目の覚めるような美貌の少女。

 何度見ても引きつけられる美貌には明確な厳しさが漂い、澄んだ黒の瞳には勝ち気で好戦的な光が宿っていた。

 柚太は少女の姿に立ち上がり、

「あっ、姉貴」

意外、と驚きの表情で少女に声をもらす夏目。

「えっ? 夏目のお姉さんなの!?」

 夏目の思わぬ発言にぎょっ!? と目を丸くする柚太。

「まぁ、そうだな」

「お姉さんがいるっていうのは聞いてたけど……同じ学院だったんだ」

「あぁ、幼稚園から中学までは別の学校だったからな……柚太は会った事ないんだった」

 驚きに目を見開く柚太に苦笑で答える夏目。

「あの人が『風月院』院長の季月真姫きづきまき。俺の姉でお前の恩人だな」

 夏目の紹介に合わせるように、柚太は視線を真姫へ戻した。

 そして柚太と真姫の視線は必然のように重なり、

「あ、あの今朝は」

「貴方に確認したい事があります」

ひとまずお礼を、と口を開いた柚太に刃の様に鋭い声で切り落とす真姫。

「か、確認……?」

 突然の事に呆気にとられる柚太を余所に、真姫はまるであふれ出る感情を抑えているような面持ちで歩み寄った。

 真姫は柚太まで二メートルほど手前で足を止め、腰の刀用ホルスターに提げられ鞘に収まった刀の柄に手を添える。

「貴方の名前は……戌峰柚太で間違いありませんね?」

 静かで、それでいて今にも破裂してしまいそうな危うさが帯びた声に、

「は、はい。僕が戌峰、ですけど?」

戸惑いながらも素直に答える柚太。

 柚太の答えに厳しさを帯びていた表情が険しくなり、混乱する柚太は何故か言い様のない不安が胸に広がってくるのを感じた。

「…………それではもう一つ確認します。貴方の母親の名前は――――戌峰朱羅いぬみねしゅらで間違いありませんか?」

 鋭さと危うさの中に見え隠れする否定への渇望。

 柚太はその否定を求めているのだろうと感じた真姫の様子に、心苦しい思いで答えた。

「はい、母の名前は朱羅、ですけど…………それが」

 どうしたんですか? と柚太が問い掛けようとした瞬間。

「ッ!!」

 真姫が柄を握り、間合いを詰めるように踏み込んだのはほぼ同時。

 柚太は無意識、とまではいかないが反射的に首をわずかだが後ろへずらし、

「なっ!?」

数本の前髪がパラリッと床に落ち、瞳に映る光景に絶句した。

 自分の目が正常であれば今、自分の瞳に映っているのは刀の切っ先。

 それも模造刀でもなく、居合い用に刃をつぶした刀でもない――――正真正銘の真剣。

 業物であればあるほどその殺傷力は爆発的に跳ね上がり、いとも簡単に人の命を奪う事の出来る凶器。それを目の前にいる上級生が眉間スレスレで突きつけている。

「ぁ………と」

「あ、姉貴!?」

 自分の置かれた状況に言葉が出てこない柚太に代わるように、座っていた夏目が跳ね上がるように立ち上がり、

「いきなり何してん」

「戌峰柚太!!」

夏目の叫びを押しつぶすように、教室の窓を振るわせるほどの怒声を放つ真姫。

「ひっ、ひゃい!?」

 刃と怒声。その二つに触れあがる恐怖に裏声で答える柚太。

 そんな柚太を真姫は苦汁をなめ尽くしたとばかりに険しい表情で睨み付け、切っ先を突きつけたまま感情をぶちまけるように叫んだ。

「わ、私の自由を賭けて……私と死合いなさい!!」

 まるで親の仇に吐き捨てるように、高らかに宣言された果たし状。

 怒りなのか、殺意からなのか。感情の高ぶりに鼻息を荒くする真姫の言葉に、その場にいた全員が呆気にとられ、教室は異様な静寂に包まれた。

「……………」

「……………」

 突き刺さるような静寂が数秒。

 意図もわからない、原因も不明。何言ってんの、この人? としか言い様がない真姫の唐突すぎる発言に、柚太は一言だけ呟いた。

「………………へっ?」




 入学式不参加、下着泥棒、クラスからの村八分。登校初日から波乱に満ちた柚太の学院生活はこの出来事により、本当の意味で波乱と災難に満ちた学院生活の幕開けだった。



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