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中級魔法 『風刃』

風刃考察


 前回の攻撃魔法に続いて代表的な形態変化系魔法『風塊』からの『風刃』、所謂ウィンドカッターです。主な使用目的は対象の切断、つまり攻撃ではあります。


  まず『風』属性とはなんぞや

 風魔法では色々とやっている事があるので幾つかまとめてみましょう。

・風を起こす

・「風」と呼ばれる透明な何かを作り出す

・「風」と呼ばれる透明な何かでの攻撃(主に切断)


 一つ目は「気圧」を魔法的な何かで操作して大気の「対流」を起こす、「大気」を魔法的な何かで直接操作する、の二つが思い浮かびます。

・前者は「突風」後者は「風弾」向きでしょう。

 二つ目はところにより『風属性魔力』『風の塊』と呼ばれていますが『固体空気』だと思います。

・『風属性魔力』という真の意味で謎物質を創造するのならばビックバン、核反応など桁がおかしいと思う程のエネルギーを要します。

 三つ目は『固体空気』をぶつけているのだと考えます。そもそもが気体での直接攻撃が無理なのです、空気銃の様に間接的に使用した方が簡単だと思います。

・『鎌鼬(かまいたち)』つまり気圧差や飛んでいる木の葉説のあるものですが、これらは不確定なのでやめておきます。

・『真空波』で切断している人達も居ますが現状、真空をぶつけてもそうなるか判明していないそうなのでここではやめておきます(鎌鼬の気圧差説の拡大解釈だとも言われています)。


  風ビーム説

 薄く速く続けて風、空気を吹きつけてる説です。やはり恐ろしいパワーが必要になります(ウォーターカッターの様に混ぜ物をしておけば良いのでしょうけど)、そもそもあの風刃の形を再現するとビームは無理になります、弾丸の様に混ぜ物を飛ばすのも超絶技巧が必要になります(飛ばせるなら推奨)。

 やはり風ビームは難しそうです。



 つまり風属性魔法とは『固体空気』の生成及びそれと気圧or対流の操作、とここではなるのでしょうか。

 それを再現する方法として一つ思いつくものがあります、空気の分子結合そのものの操作です。少年ガンガンに掲載されていた漫画にある錬金術の要領です。別に強引な冷却でも良いのですが氷属性になるので錬金術にしておきます(圧縮でも可能ではある)。

 これなら風の塊を生み出したり風を起こす事も可能です、何より簡単に固体空気を作る事が出来るかも知れません。



  では何を考察すべきか

 『風塊』(研ぎ澄まして刃とする)を再現する為の『固体空気』に必要な性能、です。

 となると刃に相当する必要があるのでナイフや剣と同じくらい、もしくはそれら以上の

・鋭さ(鋭い程に強度や威力を補える)

・強度(切断までに霧散しない様に)

・威力(軽さを補う程の速度)

 が要求されます。


 まずは強度、硬さです。そもそも『固体空気』などと言い出した理由は「気体では難しいから」というわけでだったら固体にすれば良いじゃない、という発想です。ではここで『固体空気』について説明してみたいと思います。


 固体空気とは空気が固体になった物、つまり大気中の主な気体の酸素か窒素が冷えて固まった物質です。

 そう、空気も固まるのです。有名な液体窒素も窒素を196℃(沸点)まで冷やして液体になったものです、そのまま融点まで冷やせば固体になります。

 では窒素酸素の融点を調べてきました。

・窒素の融点ー210℃(小数点以下略)

・酸素の融点ー218℃(小数点以下略)

・絶対零度ー273.15℃


 ……うん。


 冷たいですね、でも大丈夫、ハ○レン式錬金術だと再結合の際に「ついで」で熱を追い出される(冷却)ので結合の構造さえ知っていれば可能です(真空ポンプを使えば固体になるまで冷却出来ます)。

 では酸素にします、素手で握るのはお勧め出来ませんが無理ではない筈です。


 圧縮して生成していた場合

9GPa〜96GPa以上の圧力が必要です、ギガです。10GPaあればダイヤモンドが出来ます、地球中心部の推定圧力は360GPaなので凄まじい圧力です。


 では固体酸素ですが、これは圧力によって相転移だかなんだかが発生して磁気モーメントを持ってたり超伝導体になったり金属になったりします(形も変わっていき、色は薄い青に近かったり黒に変わったりします)。恐ろしくロマンがある物質ですね。

 まあその相転移自体が錬金術なら自在ということになりますけど。

 そして朗報です、これを飛ばしているのなら視認することが可能となります(ファンタジーの疑問解決)。


 問題は強度や質量です、質量は計算出来ます。空気中の酸素の1000倍ほどの密度をもつそうなので1.429g/cm^3となります(どっかの論文では更に密度を上げていましたが)。

 体積は2cm×1cm×110cmで220cm^3だとします(テキトー)。すると220×1.429となって314.38gです、竹刀が大体440gなので中々重いです(密度を上げることも出来そうなので更に重くする事も可能)。

 実際にはもっと薄く研ぎ澄ますんでしょうけれども強度が不明です。


 結晶構造体も見たことがないので計算で求める事も出来ません。

 仕方ないので同じ立方晶と圧力馴染みのダイヤモンドくんを参考にさせていただきます。

 ダイヤモンドは靭性が低い為に瞬間的な力で砕く事が出来ます、代わりに摩耗や引っ掻き傷には強いとのこと。まあ『風刃』は使い捨てる魔法なので一撃加える事が出来れば充分です。


 では速度です、意外にも重みのある刃になったためそんなに高速にする必要はありません。

 刀や剣などの速さだと突きに0.5秒ほど(恐らく1m以上先まで)だったりするみたいなので軽さなどを考えてその4倍くらいあれば切れるでしょう(余談ですが抜刀術師範代の中には刀を打ち込む速度が0.0125秒の化け物も居たそうです)。

 つまり秒速8m、空気中の音速の45分の1ぐらいです時速なら28.8kmで、人間の走力の限界が50km程なのでファンタジーの住人なら逃げ切れます(ボクサーパンチは秒速10m程らしいです)、何か遅い様にも思えますが4m先の相手まで一秒かからないので中々ファンタジー準拠の威力になっております。



  ここまでのまとめからの『風刃』

真空ポンプを駆使して、ある意味ではダイヤモンド級の物質『固体酸素』を生成、刃状に成型

・-200℃をも下回る「冷たい刃」

・重量は刀などの4分の1ほどを想定(300g程)

・強度は不明だがガラス並は期待してる

・使い捨て

それを4mを1秒かからない程度の速度で精確に投げます

相手は致命傷を負う(凶器は自動で蒸発する為に完全犯罪)


  本当の『風刃』

『酸素分子の結合操作』魔法により作り出した『固体酸素』で刃を作る

形態変化系必須の『運動エネルギー操作』で飛ばす

精度と強度と威力が高い程に攻撃力を増す。



  結論


 中級と言うだけあって工程が二段回ありました、わざわざ物質を介して発動する必要がある分手間が増している感がありました。


 初級魔法の『火球』(残念火球ではないほう)に比べて難易度が遥かに高いのに威力にはさほど差はありません(当たれば燃える)。


 尚これだけややこしくなったのは『風』をチョイスしたためと見られる(『土』や『水』ならば固めて研いで打ち出すだけ)。




ついでに


初歩魔法=属性毎の特性を発動出来る程度

・『火』の指先ライター

初級魔法=属性毎の特性を応用出来る程度

・『火』のファイアボール

中級魔法=特性を複合出来る程度

・『風』のウィンドカッター


攻撃魔法系

・加熱、冷却、電流など文明的には攻撃向き

形態変化系

・大気、大地、大海など物質操作向き

 最初っから中級魔法な風属性マジ中級、やっぱり程良い難易度であるだろう土属性を推します。

 といっても風は特性で言うなら『気圧差』の初歩相当の『風』→初級相当の『突風』→中級?相当の『風刃』

 になるんだろうなあ。

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