愚かなオナニープレイ
あらすじの注意書き読みましたか??読んでない人は読んでくださいね!!
初めて、友達に裏切られた。いや、裏切ったのは私の方かもしれない。
もちろん痛かった。でもそれと同じくらい、友達も痛いんだと思う。
泣いているのは友達で、私は涙の気配すらない。
なぜ泣く必要があるのか、私には理解できなかった。
そのまま、友達は私の元を去っていった。きっともう、私の元に戻ってくることはない。今までの経験からそう感じた。
それなのに涙の気配はいっこうに現れない。我ながら不謹慎な女だ。
その足で、男のもとへと向かった。男のもと、といっても男の家なのだが。
男は快く私を家に入れてくれた。
「おろしたよ」
男にそう告げると、男は興味がなさそうに返事した。携帯を操作する手を止めない、視線も携帯の画面のまま。
また沈黙がおとずれる。
子供が出来たとわかったのは、ついこの前だったような気がする。バイトもしてない私はお金なんて持ってない。子供をおろすなんて無理だった。
誰との子供なのか、そんなことすぐに分かった。子供が出来るような行為は今までしてきたけど、本当に許したのはこの男だけだったから。
お金もこの男に全額払ってもらった。金持ちの息子だからいいだろう。
この男と付き合ってるわけじゃない。ただの友達。いや、もしかしたら友達以下かもしれない。
だって今こうして、おろした後の私に気も使わないで携帯にだけ集中してるんだから。
こんな友達が他にいる?
男はまだ携帯をいじってて、私には関心がなさそうだ。もちろんおろした事にも。
それに対して私が良い気分であるわけが無い。
たしかに無くなった命なんて興味ない。でも、その態度はないだろう。
この子は望まれなかった子なんだ。
しかし、涙はやっぱり出てこない。
「ね、しようよ」
でも、この胸の痛みはなんだろう。
すると、男は携帯を閉じた。
「おろした後にいいのかよ」
「うん、良いよ」
即答すると、男は私を抱え、ベットに優しくおろした。
いつもより荒っぽくないのは、私がおろした後だからだろうか。痛いのは嫌いだから、どっちでもいいけれど。
「ねー、好きだよ」
「知ってる」
「私ってあんたの何」
それに対しての答えは返ってこなかった。その代わりに、たくさんのキスマークを付けられる。
チクリチクリと、首筋が痛い。それは、男が私に触れている証。ほほが緩んでいくのが分かる。
男は私に触れている。男は私に笑いかけてくれる、キスしてくれる、たくさんたくさん愛してくれる。
そして私は溺れていく。
友達には、おかしいなんて言われた。またしても、私には理解できなかった。
何がおかしいの? 私はこの男と互いに利用しあってるだけなんだから。友達なんだから。
男だって何も思ってない、断言できるさ。
昔は、まさか私がこんな風になってるとは思わなかった。
どうしてこうなったのかは分からない。初めはただの興味本位だった気がする。
その快楽に見事にはまってしまったのだ。
今時の子だったら、中学生で初体験を済ませるのは当たり前だし、ファッションの一つと考えていたからさほど抵抗はなかった。
後悔はたくさんする。こんな上辺だけの関係に嫌気だってさす。
それでも許してしまうんだ。
それ位この男が―――
「あ、だめ、そこだめ」
「おい、締め付けんな、指動かしにくい」
「だって、あ、ぁ、あ」
「クク、淫乱だなぁ、結衣は」
「うっさい、ぁ、だめだってば、あ、ねえ、あ」
「ん?」
「すき」
「しってる」
「すき、って、ぁ、いって」
「スキ」
「あ、ぁ、もっと」
「スキ、スキ、アイシテル」
愚かな私。
この行為も、子供も、言葉も全部、ただの自己満足にしか過ぎないのに。
子供なんか死んでも悲しくなんてならないの。
この男さえいてくれれば良い。
ただ悔しいから、本当のことは伝えない。
伝えなきゃ何も起こらないなんて、そんなの綺麗ごとだ。
伝えてしまったら、何もかも終わる事くらい、馬鹿な私にも分かる。
だから、ずっとずっとこのままで。
たとえそれが私の一人遊びであっても。