掲示板
いつからこうなってしまったのか…。僕が有名になってしまったから?君たちと近くなりすぎた…から?
『聞いて〜!今日優と会っちゃったvもうすっごく格好よかった〜』
あるファンサイトでの掲示板の書き込み。最初は大物ではないがミュージシャンである僕に会って喜んでくれてるんだ…、そんな事を思っていた。ファンの子達が喜んでくれるなら…、僕を応援してくれるなら…僕はこの子達の望みをできる限り叶えてあげたかった。
『はぁ?優がそんなところにいるわけないじゃん。嘘ついて優の気をひこうとしても無理だよ』
しかしそんな僕の気持ちとは裏腹に、ファンの間で起った中傷。僕の心にもトゲが刺さる。繰り返される言い合い、止まらない中傷と罵倒。
『最近そういうの多すぎ。ウザくない?』
何より大切な君たちの口からそんな言葉は聞きたくない…。やめてと心が鳴く、見たくないと視界は滲む。僕は君たちのお陰でここにいるんだよ?なのに君たち同士が傷つけあっても、嬉しくないよ。僕がここにいるが為に傷つけあうなら、僕はここにいたくない。
滲む視界でキーボードを叩く。
『…お願い、そんな言い合いは止めて。優しく包んで応援してくれたように、君たちも…優しい君たちでいて。』
それから僕は掲示板は見なくなった。ファンにも近づかなくなった。
ファンは減った。
でも君たちが痛い言葉を使わなくなったなら、それでいいと思う。だから僕はついてきてくれる君たちの為に曲を綴ろう。
瞬間でも僕を愛してくれたあの子達にも、感謝と謝罪を。
『君たちがいたから僕は今ここにいる、ありがとう。そしてごめんなさい』