第八話:嵐の前の静けさ
女性社員:
なんかすみません。私がイナゴで大騒ぎしちゃったせいで。
イタリア:
いや、レディは悪くないよ。ただのホームパーティーのつもりだったけれど、思った以上に考えさせられた。これが多文化共生の現実って奴なんだな。
男性社員:
まあ、俺も少し安直だったよ。日本のローカル文化のを紹介するのに良いネタだと思ったんだけど…刺激が強すぎたのは認める。
私:
(おぉ、なんだか丸く収まりそうだ)
ムスリム:
…デハ、こういうのはどうでショウ。お互いのタブーに配慮しナガラ、ホームパーティーのホストを持ちまわりにしてみまセンカ?文化理解の一助になるはずデース。
男性社員:
お、いいじゃん、それ。…とはいえ、俺料理はあんまりなんだよなぁ。
女性社員:
料理苦手なら、鍋とかでも良いと思うよ?あれだって日本の定番だし、ほぼ出汁と食材だけじゃない。
私:
そもそも私は包丁すら使えないんだよ…どうしよう(´・ω・)
・鍋料理と白菜
冬の食卓を代表する鍋料理。湯気と共に広がる出汁の香りは、日本の冬の風物詩として深く根付いている。そして鍋の味を優しくまとめ上げる立役者といえば、言わずと知れた白菜である。
ところがこの白菜、日本の食文化に根付いた歴史は、意外と浅い。
本格的な伝来は明治時代(1875年)。東京博覧会に中国・山東省から持ち込まれたのが始まりとされている。
それまでは大根、ネギ、小松菜など、伝統的な和野菜が中心だったようだ。
白菜が全国に広く普及し、"鍋といえば白菜"という地位を確立したのは、大正~昭和初期にかけて、品種改良が進んだ後のこと。日清・日露戦争で大陸へ渡った兵士が種を持ち帰ったことも、結球性の高い品種(仙台白菜など)が生まれるきっかけになった。
わずか100年ちょっとの歴史で、白菜はすっかり日本の食文化に溶け込んだ、というわけですね。これは白菜の持つ淡白で優しい甘みが、醤油や味噌、昆布などの日本の出汁文化と奇跡的なほど相性が良かったから、なのかもしれません。




