第六十六話:初詣2
~~ 境内・参拝後 ~~
女性社員:
えへへ。参拝が終わったら御神籤ですよね!
イタリア:
オミクジ?
MtF:
神様のご意思を伺って、今年をどう過ごすと良いか助言を頂くの。
大吉とか凶とかあるけど……結果の良し悪しよりも、
書いてある内容をどう受け取るかが大切なのよ。
男性社員:
大凶。「待ち人、来ず」……うう。
女性社員:
あはは、気にしすぎない気にしすぎない。
~~ 境内・出店エリア ~~
男性社員:
で、最後は出店で軽食っすね。
まあ宗教行事のガワを被った、お祭りみたいな側面もあるんで。
イタリア:
ゼンザイ?モチとは?
MtF:
甘い小豆のお汁に、お餅が入ってるの。
ムスリムさんもどうぞ。食事には、神様のご意思は無いから大丈夫よ。
ムスリム:
ハイ。
……美しい建物ですネ。
地元の人々に大切にされているのが、よく伝わってきマス。
イタリア:
日本は無神論者が多いって聞くけど、正直疑わしいよね。
男性社員:
んー、まあ。
日本はあらゆる日常に、ゆる〜く色んな宗教が染み込んでる変な国なんで。
信じてないというより、生活と一体化しすぎてて意識しない、って感じっす。
ムスリム:
なるホド。ある意味では、生活すべてが信仰の表れ、ト。
女性社員:
そんな固い意識、ぜんぜん無いですけどね。
ムスリム:
今日は勉強になりまシタ。
日本の方々も、我々とは違う形で、神への敬意を持っていらっしゃるヨウだ。
相容れぬ部分もありマスが……何かを大切だと思う心は、同じなのカモしれません。
MtF:
ふふ。お疲れ様。
かなり際どい発言だけど、大丈夫なの?
ムスリム:
……神はアッラーだけなのは、変わりまセーン。
男性社員:
まあ日本の感覚だと、米一粒にも神様が宿ってるんで。
さっき皆で食ったぜんざいにも、神のご意思は宿ってるんですけどね。
ムスリム:
…………
MtF:
最後の最後で解釈の地雷を踏み抜かないでくれる!?
ああ、もう……どうしろと(´・ω・`)
・初詣
初詣とは年の初めに神社や寺を参拝し、
一年の無事や幸福を祈る日本の年中行事である。
その起源は、平安時代に行われていた「年籠り(としごもり)」と呼ばれる習慣にある。これは大晦日から元日にかけて氏神や寺に籠もり、新年の訪れを迎えるという、比較的私的で信仰色の強い行為だった。
現在のように「元日に神社へ行き、参拝し、御神籤を引き、屋台を楽しむ」という形が一般化したのは、実は明治以降である。鉄道網の発達と新聞広告によって「正月は有名な神社へ行くもの」というイメージが広まり、全国的な行事として定着していった。
そのため現代の初詣は純粋な宗教儀礼というよりも、信仰・習慣・娯楽が混ざり合った、日本独特の年中行事となっている。
神を強く意識して参拝する人もいれば、単に新年の区切りとして何となく訪れる人もいる。そんな多様性を含んだ曖昧さこそが、日本の初詣の特徴なのかもしれない。




