第五十三話:クリスマス2
男性社員:
そういや、ヨーロッパのクリスマスってどんな感じなんだ?
イタリア:
ふむ。ヨーロッパ、少なくとも僕の育った地域では、
クリスマスは「家族と過ごす年中行事」だね。
女性社員:
あまり宗教色は強くない、んですかね。
イタリア:
もちろん起源はキリスト教だよ。教会にも行くし、ミサもある。
でもね、それはおそらく日本人が「正月に初詣へ行く」くらいの感覚に近い。
私:
なるほどねぇ。
イタリア:
信仰心の強さと、クリスマスへの本気度は必ずしも比例しない。
敬虔な人もいれば、「プレゼントと食事がメイン」な人もいる。
MtF:
確かに、映画とかでもそんな描写が多いわね。
イタリア:
ツリーを飾って、家族で食卓を囲んで、少し豪華な料理を食べて。
子どもたちがプレゼントを楽しみにしつつ騒いで、大人がワインを飲む。
男性社員:
めっちゃ平和ですね。
韓国さん:
しかしムスリムさんにとっては、やはり起源がキリスト教の祝祭である以上、
文化と信仰を完全に分離して楽しむ、という訳には行かないんでしょうね。
ムスリム:
仰るとおりデス。これは忌避感や嫌悪感ではナク、
我々の生活の在り方そのものなのデス。
MtF:
「常識として、やっちゃダメなこと」という認識ということかしらね。
女性社員:
私たちは「慣れすぎた結果、宗教だと意識しない」だけで
クリスマスも、それから初詣も宗教ではあるんですよね。
私:
「前提が違う」ということだね。
ムスリム:
しかシ、皆さんに気を使わせてしまうのは本意ではありまセン。
「クリスマスパーティー」ではなく「年末の職場行事」という認識で、
同席だけはさせて頂きマース。
イタリア:
大丈夫なのかい?その、気分的に。
ムスリム:
遠い異国の地でのことです。アッラーも多めに見て下さるでしょう。
…と考えておくことにしマス。他にどうシロと(´・ω・`)
・韓国のクリスマス
作中では触れなかったが、韓国におけるクリスマスもまた、
ヨーロッパや日本とはやや異なる位置づけにある。
韓国は人口の約3割がキリスト教徒(プロテスタント・カトリックを含む)で、
クリスマスは正式な祝日として扱われている。
この点は、東アジア諸国の中では比較的珍しい。
キリスト教徒にとっては、教会での礼拝や家族との時間を重視する、
明確に宗教的意味を持つ行事である。
一方で非信者層にとってのクリスマスは、宗教色よりも
「都市型イベント」「カップルの日」としての側面が強い。
イルミネーション、デート、レストラン利用など、
日本のクリスマスに近い消費文化として楽しまれることも多い。
そのため韓国では同じクリスマスという言葉でも、宗教行事として
捉える人と、単なる季節イベントとして受け取る人が明確に分かれる。
職場においても、宗教的意味を重く受け止める人と、
そうでない人が混在しやすく、立場や価値観によって
温度差が生まれやすい行事と言えるだろう。




