第四十六話:食品添加物
男性社員:
次のホームパーティーは俺の番ですね。
とはいえ、手の込んだ料理は作れないんで……そこは勘弁してください。
イタリア:
今どきのレディは、料理できる男を好むものだよ?
まあ、腕前はこれから磨けばいいさ。
女性社員:
そうそう、手の込んだ歓待をするパーティーじゃなくて。
お互いに配慮しつつ、文化を紹介するための催しなんだから。
男性社員:
そうなんだけどさ。MtFさんとか韓国さんとか…いや他もみんな高レベル手料理だったじゃん。上司さん(*17、18話参照)以外。
私:
なんかごめんね!
MtF:
まあ気張りすぎずにやっていいのよ。イナゴは出さない方がいいと思うけど。
男性社員:
まあ――ちょっと考えてみます。
~~ ホームパーティー当日 ~~
韓国さん:
おじゃまします。…玄関でも既に、香ばしい匂がしますね。
私:
あ、いいねぇ……僕こういうの大好きだよ!
男性社員:
はいはい、良く来てくださいましたー。ちゃんと掃除もしてありますよっと。
今日のメニューは、鉄板焼きソース焼きそば、枝豆の塩ゆで、ノンアルコールビール っす。
女性社員:
おお、豪快ですねー。
でも家飲みって感じで楽しいかも。
イタリア:
ノンアルコールなら……ムスリム氏もいけるのかい?
ムスリム:
考え方はいろいろありマスが、個人的にはセーフだと解釈していマス。
(*諸説あり)
~~ 実食開始 ~~
韓国さん:
この焼きそば、とても美味しいですね。
辛味と甘味のバランスが絶妙です。
男性社員:
あざっす。と言いたいところだけど──
それ、市販のソースなんですよw
女性社員:
いいんじゃない?手間暇かけることが、必ずしも正解ってわけじゃないんだし。
美味しいは正義ですよ。
MtF:
市販品……?
(何か思い当たるところがあったのか、ソースの容器を手に取る)
ムスリム:
………………ポークエキス入り、でスネ。
男性社員:
え、なんかヤバかった??
私:
あああああ……
またやっちゃったか……どうしろと(´・ω・)
・加工食品とハラール(小話)
イスラームの食規定というと、
「豚肉とお酒がダメ」くらいの認識で語られがちだが、実際に日常生活で守ろうとするとかなり難易度が高い。なぜかというと、問題になるのは、いわゆる "主役の食材" ではない部分にこそ潜んでいるからだ。
酒精
ポークエキス
ラード
ゼラチン
乳化剤・香料・酵母エキス など
これらは加工食品の原材料欄に、ごく普通に紛れ込んでいる。日本人にとっては
「風味付け」「隠し味」「気にするほどでもない量」だが、ムスリムにとっては量の問題ではなく由来の問題なのである。
歴史上、イスラーム圏において豚やアルコールが禁忌とされたことにも一定の合理性はあったのだろう。だが現代社会においては――その在り方が、ときに息苦しさを伴うのも、否めないのではないだろうか。




