第四十二話:自由恋愛というモノ
私:
僕の親の世代になると、皇族の方の "テニスコートの恋" みたいな話もあってね。
お見合い文化は確かに主流だったけど、恋愛結婚への憧れは強くあったんだ。
まあ…実際に実現できたのは、一部の積極的でモテる人たちの特権だったけど。
女性社員:
結局、今も昔も自由恋愛はモテる人たちのゲームなんですね。
イタリア:
うーん、その感覚がよく分からないな。
モテそうな相手ばかり狙ってたら、そりゃ難易度が高いのは当たり前だろう?
もっと、こう……戦略的に動くべきじゃないのかい?
女性社員:
それは、まあ。分かるんですけど……
恋愛って、感情の部分がやっぱり大きいので。
MtF:
そうなのよねぇ。妥協って言葉が頭に浮かんだ瞬間、
気持ちが冷める人は多いのよ。
男性社員:
その妥協にすら至れないのが、現代日本男児の厳しさなんだよ……。
イタリア:
どういう意味だい?
男性社員:
例えば――
女性の「付き合ってくれる人が居なくて」は、
"喉が渇いてるけど、自販機の欲しいジュースは売り切れてる状態" 。
男の「付き合ってくれる人が居なくて」は、
"干からびて倒れそうなのに、サハラ砂漠のど真ん中で水が存在しない状態"。
イタリア:
……地獄かな?
MtF:
生々しすぎて笑えないわねぇ。
韓国さん:
(嘆息)
結局男女双方にとって、リスクとリターンが釣り合っていないんですよね。
誰かと妥協して付き合い、結婚するくらいならー独りのほうが気楽で自由だと。
恋愛が難しくなるのも、当然といえば当然です。
男性社員:
ここまで来るともう、ほんとにどうしろと(´・ω・`)
・テニスコートの恋
昭和日本で最も有名なロマンティックな実話のひとつ。
昭和32年(1957年)、軽井沢のテニスコートで当時皇太子殿下だった上皇陛下は、
民間出身の正田美智子さまと対戦することに。
試合では、美智子さまが殿下の強打を正確に返し続けて勝利。
そのひたむきなプレー姿と、コートの外で見せる清楚な振る舞いに、
殿下は強く心を惹かれたと言われている。
その後、関係者を通じてお二人は引き合わされ、交際を開始し、
二年後にはご成婚――皇室史上初の "民間からのお妃" として、
まさに時代を象徴する恋となったのだ。
恋愛結婚に憧れがあった時代を象徴する、あまりに有名なエピソードである。




